【授業の目的】
コンピュータの中枢だけでなく,その周辺部でも電気回路が重要な働きをしている.本講義では,電気回路理論における基本的な考え方・取り扱い方を,情報分野の初学者向けにアレンジして提供する.電気回路の基本的な知識を身につけ,基礎的な電気回路の問題を解くことができるようにする.回路に関する理論的・抽象的な取り扱いに慣れると同時に,それが実際の回路と感覚的に結びつくことを目指す.
【授業の到達目標】
1)キルヒホッフの法則・重ね合わせの理・テブナンの定理を用いて直流回路の計算ができる.【技能】 2)基本線形受動素子で構成される基礎的な回路の過渡応答を微分方程式を解くことで解析できる.【技能】 3)基本線形受動素子で構成される基礎的な回路のインピーダンスおよびアドミタンスを計算できる.【技能】 4)基本線形受動素子で構成される基礎的な回路の正弦波定常応答を解析できる.【技能】 5)直列・並列共振回路の共振特性を計算できる.【技能】 6)トランジスタやダイオードといった能動素子の役割について説明できる.【技能】
【授業概要(キーワード)】
電気回路,回路方程式,回路素子,回路理論,周波数応答,過渡応答
【科目の位置付け】
情報・エレクトロニクス学科のディプロマポリシーのうち下記の項目を担う科目である. ・情報科学と電気・電子通信工学の基礎知識を身につけ、それらを応用する能力を身につけている. この分野は,情報科学分野で重要な回路解析や信号処理の基礎を学ぶものである.数学的基盤に関連する科目として「微積分解法」を受講していることが望ましいが必須の条件ではない.
【授業計画】
・授業の方法
講義形式で授業を進める.各講義の最初10分程度で前回の授業の小テストの解答を復習を兼ねて行う.講義の理解度を確認するために,最後の20分程度で小テストを実施する.
・日程
第1回 .電流・電圧と抵抗 第2回 キルヒホッフの法則と直流回路の解析 第3回 分圧・分流則、双対原理、重ね合わせの理 第4回 テブナンの定理・ノートンの定理 第5回 正弦波交流と実効値 第6回 正弦波交流の複素数表現 第7回 キャパシタとインダクタ 第8回 直流回路の解析、および正弦波交流の複素数表現に関するまとめ(中間試験を含む) 第9回 回路方程式と過渡現象、インピーダンス・アドミタンス 第10回 交流回路の定常解析 第11回 共振回路とフィルタ 第12回 電子回路とダイオード 第13回 トランジスタ 第14回 FETとCMOSロジック 第15回 正弦波交流回路・電子回路に関するまとめ(期末試験を含む) 具体的な授業日は,初回の授業で説明します. 上記の内容・日程は受講者の理解度に応じて変更されることがあります.
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
遅刻しないように努め,主体的に学ぶ姿勢を持つようにしてください.質問は随時受け付けるので,分からないことは積極的に質問するようにしてください. 教科書の内容をまとめた講義資料をWeb Classで配布します.講義資料を事前に印刷するか,書き込み可能な電子デバイスを利用し,適宜メモを取りながら受講することを推奨します.
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
授業中に行った演習問題と小テストの解答をWeb Classで配布します.内容を復習するようにしてください.特に正答できなかった小テストは解きなおし確実に内容を理解するようにしてください.
【成績の評価】
・基準
「授業概要(到達目標)」の各項目が達成されていることを,筆記試験(中間試験,定期試験)により示すことが,合格の基準となる.
・方法
中間試験(40点),定期試験(40点), 小テスト(20点)を合計し100点満点で判定する.単位認定は60点以上を合格とする.
【テキスト・参考書】
【テキスト】 小澤孝夫,「電気回路を理解する(第2版)」, 森北出版, 2808円
【参考書】 1. 柳沢健, 「回路理論基礎 (電気学会大学講座)」,電気学会, 2592円 2. 平山博,大附辰夫, 「電気回路論」, 電気学会, 2808円 3. 大野克郎, 西哲生, 「大学課程 電気回路〈1〉」, オーム社, 2600円 4. 高木亀一, 「大学課程 過渡現象」, オーム社出版, 2500円
【教科書の内容が難しいと感じる場合の参考書】 1.西巻正郎, 森武昭, 荒井俊彦, 「電気回路の基礎(第3版)」, 森北出版, 2160円 2.エレクトロニクス教育研究会, 「よくわかる電気と数学(第2版)」, 森北出版, 2592円
【その他】
・学生へのメッセージ
本講義では電気回路の基礎を学びます。本講義をきっかけにして、より深く広い知識を自ら学ぶ姿勢を大切にしてください。
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィスアワー」は齋藤(誠)研究室(工学部9号館704室)において,原則,講義が行われた日の16:00~17:00としますが,これに限らず在室しているときは随時対応します.出張などの業務で不在にすることもありますので,講義時に教員にアポイントを取ることが望ましいです.(アポイントがない場合は対応できない場合もあります.)
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