【授業の目的】
生体の力学では、人体や生物への理解を深めるため、生体分子から生体組織までの構造や機能の知識を得た上で、力学的な視点から生体の仕組みの見方や考え方を身につけることを目的とする。さらに生体における代表的な運動のモデル計算を行なうことで、生体と工学が融合した分野の素養を得ることを目的とする。生体の力学Ⅰでは生体分子の構造と機能に基づいた力学を中心に学ぶ。
【授業の到達目標】
(1) 機械工学の基礎力の習得を目的とし、生体の階層構造や構成要素の構造や機能を説明できる(B)[DP5]および(F)[DP9]、(2) 生体分子の力学モデルを記述し運動を解析できる(B)[DP5]および(F)[DP9]、(3) 自主的・継続的な学習能力の向上を目的とし、生体力学の生体現象への適用や応用を考察できる(B)[DP5]および(F)[DP9]。
【授業概要(キーワード)】
細胞、タンパク質、遺伝情報、生物物理
【科目の位置付け】
本講義はこれまでの材料力学、熱力学、統計力学、ロボティクス系科目の知識を踏まえ、生体分子の力学のモデル計算を行なうことで、生体と工学が融合した分野で習得した知識を生かして、新たな応用領域を開ける。機械システム工学科の学習・教育到達目標(B)[CP2]および(F)[CP2]を養成する科目である。生体の力学Ⅰに続き、生体の力学Ⅱでは、骨格・筋肉運動システムなどの、巨視的な生体システムを扱う。
【授業計画】
・授業の方法
生体の仕組みを分子から細胞のレベルで講義する。細胞生物学の基礎知識を得る。さらに生体分子の構造と機能がどのようにして生体システムを生み出すのかを考察する。各回でスライドにより説明した後、WebClass上でのミニテストを実施する。
・日程
第1回:細胞の構成と生体分子の構造と機能 第2回:遺伝情報と生体反応のエネルギー論 第3回:タンパク質と核酸の熱力学 第4回:タンパク質と核酸の統計力学 第5回:細胞骨格の力学 第6回:生体分子モーターのブラウン運動モデル 第7回:最終テストと解説
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
WebClassに講義で説明するスライドのコピーを用意するので、事前にダウンロードして内容を確認する。テキストを指定しませんが、講義内容を詳細に聞き取り、重要なことはノートに記載する。分らないことは先延ばしにしないで、授業中あるいは講義後積極的に質問する。講義内容の理解を深めるために、WebClassでのミニテストに解答する。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
予習:参考書や予告された講義内容をあらかじめ確認し、授業内容の概要を理解しておくことが必要である。 復習:授業内容を整理し、自分が把握した知識を如何に授業の内容の理解を最大限に利用することを常に考える。
【成績の評価】
・基準
細胞や生体分子の構造や物性について専門用語や仕組みを理解しているかどうか、そして理論に基づいて生体分子のエネルギーや応力、状態を計算できるかどうかを評価する。
・方法
毎回の出席状況やミニテストの得点、最終テストの得点を総合して100点満点で評価する。60点以上を合格とする。
【テキスト・参考書】
・参考書 細胞の物理生物学、著 Rob Phillips 他、訳 笹井 理生 他、共立出版 ISBN978-4-320-05716-6. ・参考書 細胞の世界、著 Wayne M. Becker 他、訳 村松 正實 他、西村書店
【その他】
・学生へのメッセージ
無断欠席をしないこと。授業を通して視野をひろげ、柔軟なものの見方・思考を身に付けてほしい。第2タームの生体の力学Ⅱを合わせて履修してほしい。令和4年までの入学者は生体の力学Ⅰと生体の力学Ⅱの両方の授業履修で、旧科目の生体の力学(選択必修)の単位を認定する。
・オフィス・アワー
日時は特に設けないが、アポイントを取れば、いつでも対応する。
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