【授業の目的】
化合物および材料の性質、反応、および合成法などを理解する上で、その構造を正確に知ることは非常に重要である。この知識と技能を修得するため、前半では特に一般的な有機化学の研究室で日常的に用いられている機器分析法である核磁気共鳴法について学ぶ。一方、後半では無機・分析化学で特に重要な紫外・可視分光法、蛍光分光分析法、原子スペクトル分析法、電気分析法を学び、さらにX線を用いた構造解析と、分離技術として重要なクロマトグラフィーを学ぶ。 これらにより、①核磁気共鳴法についての基礎的な知識を習得し、有機化合物の構造決定法を習得すること、および②定性・定量分析に用いられる種々の化学分析法の原理、得られる情報、データの取り扱い方を習得すること、を目的とする。
【授業の到達目標】
1) 核磁気共鳴法の基礎的な理論を説明できるようになる。【知識・理解】 2) 核磁気共鳴法を用いて有機化合物の構造を決定できるようになる。【技能】 3) 定性・定量分析に用いられる種々の化学分析法の原理を説明できるようになる。【知識・理解】 4) 上記の化学分析法から得られる情報、データの取り扱うことが出来るようになる。【技能】。
【授業概要(キーワード)】
機器分析による構造解析・分析。NMR、紫外・可視分光法、蛍光分光分析法、原子スペクトル分析法、電気分析法、X線分析法、クロマトグラフィー
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25% D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
(2) 社会的・職業的に自立する意識と、社会と産業の発展に貢献する意欲を身につけている。 (4) 論理的な思考力と記述力、およびコミュニケーション力を身につけている。 (5) 豊かな発想力をもって、計画的に仕事を進め、課題を解決に導く能力を身につけている。 (7) 応用化学、化学工学及びバイオ工学の基礎知識と、それらを応用する能力を身につけている。 (8) 科学技術に関する知識・情報を的確に把握する能力と、生涯にわたって自発的かつ継続的に学習できる能力を身につけている。
化学・バイオ工学基礎I,化学・バイオ工学基礎II,無機化学 I・II,分析化学,物理化学 I・II・III,有機化学 I・II・IIIを履修していることが望ましい。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに 07.エネルギーをみんなにそしてクリーンに 08.働きがいも経済成長も 09.産業と技術革新の基盤をつくろう
【授業計画】
・授業の方法
下記の日程に従い、テキストに沿って、スライドを用いた講義を行う。各講義の最後に理解の程度を確認するための小テストを行うことがある。講義資料としてスライドのコピーを配布する。状況に応じてZoomでの配信・ハイブリッドとなるので、WebClassを確認すること。
・日程
第1回:有機化合物の構造解析法と核磁気共鳴法の基礎(担当:落合文吾) 第2回:炭素13核磁気共鳴法の基礎(担当:落合文吾) 第3回:様々な官能基の炭素13核磁気共鳴スペクトル(担当:落合文吾) 第4回:プロトン核磁気共鳴法の基礎(ケミカルシフト)(担当:落合文吾) 第5回:プロトン核磁気共鳴法の基礎(積分比とカップリング)(担当:落合文吾) 第6回:様々な官能基のプロトン核磁気共鳴スペクトル(担当:落合文吾) 第7回:核磁気共鳴スペクトルによる有機化合物の同定(担当:落合文吾) 第8回:核磁気共鳴スペクトルに関する試験とまとめ(担当:落合文吾) 第9回:紫外可視分光法と蛍光分析法(担当:神保雄次) 第10回:原子スペクトル分析法(担当:神保雄次) 第11回:X線分析法(1)X線の性質(担当:神保雄次) 第12回:X線分析法(2)結晶構造解析(担当:神保雄次) 第13回:電気分析(担当:神保雄次) 第14回:クロマトグラフィー(担当:神保雄次) 第15回:定量分析法に関する試験とまとめ(担当:神保雄次)
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
予習をしっかりして,配布資料の重要なキーワードや式,説明文にはアンダーライン等を付けるとともに,説明の要点を書き込むと良いでしょう。 私語、飲食、喫煙、その他、他の学生に迷惑となる行為を行った場合、退席してもらいます(欠席扱いとする)。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
予習:テキストの該当箇所を読み,理解できた箇所と理解できなかった箇所を明確にしておく。特に,専門用語の定義をしっかりと調べて下さい。 復習:テキスト,配布資料,講義ノート等を読み返し、テキストの演習問題を解き,理解を深めて下さい。どうしても理解できない事は,放っておかず,修学支援制度やオフィスアワーを積極的に活用して解決して下さい。 また、前半の講義で用いるスライド、プリント、および補足資料は落合研究室ホームページにアップロードされている。事前に学んでおくのが望ましい。 https://ochiai.yz.yamagata-u.ac.jp
【成績の評価】
・基準
1.化学分析の重要性を理解している(60-69点)。 2.各種分析手法の基本的な原理を理解している(70-79点)。 3.実験データを適切に解析し,データの示す意味を解釈することができる(80-89点)。 4.適切な分析手法・分析機器を選択して問題の解決に寄与できる(90点以上)。
・方法
第1回から第8回を50点、第9回から第15回を50点の計100点のうち60点以上で単位を認定する。 第1回から第7回までは、毎回小テストを行い各回の講義内容の理解度を問う(14点)。第8回で第7回までの内容を問う試験・レポートを行う(30点)。また質問、それに対する回答が可能な掲示板を設けるので、そこでの質疑を評価する(6点)。 第9回から第14回までは、適宜レポートを課し講義内容の理解度を確認する(20点)。第15回で第14回までの内容を問う試験を行う(30点)。
【テキスト・参考書】
第1回~第8回 マクマリー 有機化学(上)第9版、John McMurry 著、東京化学同人 第9回~第15回 基礎からわかる機器分析、加藤正直ら 著、森北出版
参考書 有機化合物のスペクトルによる同定法 -MS, IR, NMRの併用- 第6版、Silversteinら 著、東京化学同人 有機化学の構造とスペクトル、卯西昭信ら 著、三共出版 10年使える有機スペクトル解析」新津隆士ら 著、三共出版 理工系 機器分析の基礎、保母敏行ら 編著、朝倉書店 入門機器分析化学、庄野利之ら 編著、三共出版 クリスチャン分析化学 I 基礎編、G.D.Christian 著、原口紘き 監訳、丸善 クリスチャン分析化学 II 機器分析編、G.D.Christian 著、原口紘き 監訳、丸善 現場で役立つ化学分析の基礎、平井昭司 監修、日本分析化学会 編、オーム社
【その他】
・学生へのメッセージ
各実験や卒業研究を行うときに必要な、分子の構造決定・分析を行う基礎を身につけるのための科目です。スペクトル・データを読むための練習をします(慣れてくると、クイズを解くように楽しくなります)。「見えないものを見えるようにする」という分析化学の学問的価値観と,その先に拓かれる広大な自然科学のフロンティアに立つ夢と楽しみを少しでも見出していただけると幸いです。 中間、期末の両テストを受けることを単位認定の条件とします。また、2/3以上の出席が必須です。
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」を設けます。 落合 月曜日16:00~17:00グリーンマテリアル成形加工研究センター3階302 神保 金曜日16:00~17:00 9号館9-601-1号室 不在の場合も有るので、事前にメール等で予約することを推奨します。
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