【授業の目的】
作物は野生植物と人間との関わりの中で生まれた植物である。作物が地球上のどんな環境で起源・伝播し、人間の生活にどのように利用されてきたかについて知識を得ること、さらに在来作物の定義やそれが伝えてきた歴史や文化、置かれている現状や課題、保存・継承のあり方を考えることを目的とする。
【授業の到達目標】
1)イネ、コムギ、チャ、野菜など、主要な作物の特徴とそのおよその起源地について記述できる。【知識・理解】 2)主要な作物の利用の文化を説明できる。【知識・理解】 3)国内の在来作物の現状と課題を列記できる。【知識・理解】 4)在来作物の保存と継承のあり方を考えることができる。【技能】
【授業概要(キーワード)】
在来作物、地域、伝統知、文化と歴史、風土、価値観
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:26~50% A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
作物と人間との関係をさまざまなテーマから考えることを通して、専門的知識や能力を身につけるための科目である。(DP3(3)およびCP1(4))
【SDGs(持続可能な開発目標)】
02.飢餓をゼロに 15.陸の豊かさも守ろう
【授業計画】
・授業の方法
面接授業で行う。しばしば講義を補足する映像やスライドを見せる。その作物がなぜ、そこに、その作物が伝わり栽培されてきたのか、多面的な視野から考える。
・日程
第1回:在来植物資源学のイントロダクション 第2回:根栽農耕文化と関連作物 第3回:照葉樹林文化とイネ 第4回:コメの食文化 第5回:チャの特性と生産 第6回:チャの利用の文化 第7回:地中海農耕文化とムギ 第8回:ムギの食文化:パンと麺 第9回:アブラナ科野菜 第10回:サバンナ農耕文化と新大陸農耕文化:雑穀とナス科野菜 第11回:在来作物とは何か 第12回:在来作物と地域の食文化 第13回:在来作物の文化や歴史を科学する試み 第14回:在来作物を取り巻く課題 第15回:在来作物を活用しながら継承する取り組み
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
学際的な内容なので、学ぶ内容が広範囲に及ぶ。知識を横断的に活用して一つのテーマについて考えるという醍醐味を楽しんでもらいたい。また質問・意見などはぜひWebClassに投稿して欲しい。興味深いまたは重要な質問は次の授業で答えるようにする。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
毎回講義の終わりに理解を助ける小問題を出すので、講義を復習しながら解いてほしい。また一つの物事を多角的な視点でとらえる練習として、下記の参考書などを読んでみてほしい。
【成績の評価】
・基準
主要な作物の特徴や起源地、それらの利用の文化を正しく理解していること、国内の在来作物の現状と保存・活用の事例を適切に記述できること、 授業を通して得られた知識に基づいて在来作物の保存と継承のあり方を論述できることを合格の基準とする。
・方法
授業態度を40点、レポートを60点とし、合計100点満点で、60点以上を合格とする。各回の授業ごとに質問・意見・感想をWebClassに書いてもらうので、その内容で授業態度を評価する。レポートは1-2回課題を出す。
【テキスト・参考書】
テキストは使わないので、プリントで講義資料を配布します。 以下は参考書です。 中尾佐助「栽培植物と農耕の起源」岩波新書 山形在来作物研究会編「どこかの畑の片すみで」山形大学出版会 山形在来作物研究会編「おしゃべりな畑」山形大学出版会 青葉 高「日本の野菜」八坂書房 青葉 高著「野菜の日本史」八坂書房 青葉 高著「野菜の博物誌」八坂書房 青葉 高著「野菜」法政大学出版局 タキイ種苗出版部編「地方野菜大全」農文協 鞍田崇編「ユーラシア農耕史〈5〉農耕の変遷と環境問題」臨川書店 原田信男・鞍田崇編「焼畑の環境学ーいま焼畑とは」思文閣出版 岩田三代編「伝統食の未来」ドメス出版 朝倉敏夫編「火と食」ドメス出版 舟田詠子「パンの文化史」朝日選書 石毛直道「文化麺類学ことはじめ」フーディアム・コミュニケーション 中村羊一郎「番茶と日本人」歴史文化ライブラリー 江頭宏昌編「人間と作物」ドメス出版
【その他】
・学生へのメッセージ
人間は植物とどのように関わり合い、利用してきたのか。さまざまな植物の利用について学際的に考える機会はあまりないと思います。人と植物との関係に関心を持つ学生さんに受講をお勧めします。
・オフィス・アワー
授業の終了時の他、木曜日12:00-13:00に設定していますが、事前にメールなどで連絡をもらえるとありがたいです。
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