河川環境調査論
 River and Stream Environment Investigation
 担当教員:渡邉 一哉(WATANABE Kazuya)
 担当教員の所属:農学部食料生命環境学科エコサイエンスコース
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):国土交通省 山形ブロック総合評価委員会 委員
国土交通省 リバーカウンセラー
国土交通省 東北の砂防を考えるアドバイザー会議 委員
 開講学年:2年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:エコサイエンスコース  科目区分:選択科目 
【授業の目的】
「科学的に川に接するために.農業水路の多面的機能を考える際に応用できるように」
渓流域を対象とした研究実例を紹介しながら、河川環境学・応用生態工学の基礎的視点と調査計画の建て方やフィールドでの調査手法を学ぶ.結果の整理では,物理・数学的アプローチの基礎的考え方などを学ぶ.物理・数学的取り扱いが簡単にできることを知る.

【授業の到達目標】
流域における水路・河川などの流水域を対象にして,物理・化学・生物的環境調査の基礎的な方法論を述べることができるようになる。

さらに,物理的生息域の改善や生態学的河川管理に向けての物理・数学的アプローチの基礎について記述できるようになる。

【授業概要(キーワード)】
河川形態,環境測定項目,調査計画,アクティブラーニング

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:26~50%

【科目の位置付け】
この講義は,河川環境を把握するための調査について,広義の農学的観点から理論と実践方法を修得するものである。(農学部のカリキュラム・ポリシー)

【SDGs(持続可能な開発目標)】
06.安全な水とトイレを世界中に
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
15.陸の豊かさも守ろう

【授業計画】
・授業の方法
プロジェクタを用いての講義.教科書は使用しない.
・日程
講義の内容は以下の通りである.
1.ガイダンス,講義のねらい
2.河川形態と流路区分,河川次数
3.環境測定の項目
1)physical factors
2)water chemistry
3)flow dynamics
4.河川の連続体仮説について
1)落葉の破砕と分解過程
2)水生昆虫の食性/Food Web
5.撹乱と流砂,フラッシュ放流
6.河床基質と水生昆虫の生活型・摂食機能
7.先行研究からみる調査・データ解析
1)サクラマス幼魚放流の効果を調べる1
2)サクラマス幼魚放流の効果を調べる2
3)河川改修事業(人為的河川攪乱)の影響を調べる
サクラマス降海型の産卵行動と河川環境
8.河川における空間スケールと応用研究
環境評価(診断)手法の検討
9.環境修復(治療)について
10.調査手法の効率化
UAVの活用、機械学習、電子野帳、環境DNA、
リモートセンシングによる水文モニタリング(防災)
11.本講義のまとめ

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
簡潔に要点をメモするノートテイキング(note taking)を工夫する.講義の理解をスムーズにするために欠席・遅刻はしないように.
準備・修学に必要な学習時間の目安は4時間/週です。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
図書館にある渓流生態学,河川生態学関連の書物を広く読む.
講義を受講した当日にノートを見直し,理解できるように加筆・整理し,完成させる.

【成績の評価】
・基準
授業の到達目標に従い,物理・化学・生物的環境調査の基礎的な方法論について,また河川調査に関する基礎と応用について正しく理解していることを合格の基準にします。
・方法
試験を実施する.その成績,出席状況などを踏まえ総合的に判断する

【テキスト・参考書】
テキストは使用しない.
図書については初回のガイダンスの際に実物を回覧する.
お薦めは,F. Richard Hauer and Gary A. Lamberti: Methods in Stream Ecology, Academic Press

【その他】
・学生へのメッセージ
陸水環境論(前期)を受講しておくことを強く勧めます。
・オフィス・アワー
質問など問い合わせはいつでも受け付けます。

60500183-2025-06-69405