【授業の目的】
(1)植物病理学研究の基本的な手法(接種、微生物培養、病原体の観察など)についての原理を理解し、実験実習科目での実践と合わせて、相互理解により知識と経験を深めることを目的とする。 (2)植物病の80%を占める菌類病の代表的な病原菌について、伝染環や生活環の理解を深めることを目的とする。 (3)病原体の植物への侵入・感染行動と、発病戦略と植物の病原体に対する抵抗反応の巧妙さなど植物-病原微生物間における相互作用の仕組みの理解を深めることを目的とする。
【授業の到達目標】
(1)植物病理学に関する基本的な考え方を関連の専門用語を用いて簡潔に説明できるようになる。【知識・理解】 (2)代表的な病原菌の伝染環や生活環に関する知識を基盤として、病原体全般について体系的に説明できるようになる。【知識・理解】 (3)植物と病原微生物間相互作用の仕組みを体系的に説明できるようになる。【知識・理解】
【授業概要(キーワード)】
菌類病、細菌病、ウイルス病、伝染、病原体の感染戦略、植物の抵抗反応、植物-病原微生物間相互作用、アクティブラーニング
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25% A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
この授業は、植物の伝染病(森林の伝染病を含む)について、診断・同定・防除を主な目的とする植物病理学の基礎知識を身につけるものである。また、植物病理学の基礎知識をさらに深め,当該分野の問題解決や研究開発へと応用する力を身につけるためのものである(農学部教育課程編成・実施の方針1-(4) 各コースにおいて定める専門的知識と能力が身につくように専門科目を配置することに位置付けている)。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに
【授業計画】
・授業の方法
この授業は主として面接授業である。 授業内容に関連するノート形式のプリントと関連図表を配布し、パワーポイントのスライドを用いて説明する。また、アクティブラーニングの一旦として適宜予習復習シートを配布する。シートには授業のはじめにキーワードについて予備知識を書いてもらう。授業終了時には、授業の要点や新規に理解したことをまとめる。
・日程
1. ガイダンス 2. 植物の病気と原因(緒論) 3. 病原体の種類と分類 4. 感染と発病、病原体であることの証明 5. 植物病原菌類による病気1(原生動物界、クロミスタ界) 6. 植物病原菌類による病気2(菌界、接合菌門、子のう菌門) 7. 植物病原菌類による病気3(菌界、不完全菌類、担子菌門) 8. 中間試験とまとめ 9. 植物病原細菌による病気 10. ウイルスによる病気 11.ウイロイドによる病気、その他の病原 12. 宿主寄生者間相互作用 13. 病原体に対する植物の応答 14. 病原体の感染戦略、 15. 試験とまとめ
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
(1)パワーポイントで示される講義内容をノートに筆記して内容の理解に努める。 (2)特に重要な内容について、授業の初めと終わりの各5分間で簡潔にまとめる。 (3)専門用語が多くなるため、複数の用語の関連付けて理解するように工夫する。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
植物保護学の一部と重なる内容も含まれるので、この科目の復習もしておくこと。内容が細かく多少複雑であるので、養賢堂の「新植物病理学概論」を読んでくること。専門用語が多いので普段からノートを十分に整理し、復習すること。
【成績の評価】
・基準
授業の到達目標で示した(1)植物病理学に関する基本的な考え方、(2)代表的な病原菌の伝染環や生活環、(3)植物と病原微生物間相互作用の仕組みに関する基本的な概念の事項について適切に説明できることを合格の基準とする。
・方法
平常点20%、中間試験40%、期末試験40%で評価する。平常点には予習復習に課す課題の内容も含む。
【テキスト・参考書】
参考書:新植物病理学概論(養賢堂)、最新植物病理学(朝倉書店)、植物病理学(文永堂出版)、植物病理学(化学同人)
【その他】
・学生へのメッセージ
国家公務員試験や都道府県の公務員上級「農業職」を受験すしようとする人には履修を勧める。また、伝染病に関する基本的な考え方は、植物病に限らず人畜の感染症を理解するのにも一助になる。効果的に理解するためには、植物保護学や植物病害防除論の関連科目を前後に履修することが望ましい。
・オフィス・アワー
16時10分以降(研究室)とします。また、授業の直後やメールで事前に連絡をくれれば、日時を調整します。
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