住宅市場論
 House Marketing
 担当教員:小川 三四郎(OGAWA Sanshiro)
 担当教員の所属:農学部食料生命環境学科エコサイエンスコース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:3年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:エコサイエンスコース  科目区分:選択科目 
【授業の目的】
現在の大学生の居住環境について、さらに、近い将来、家族生活を営む場となる住宅について、また自然素材を活かした建築資材を供給する林業について考えていきます。国民的な課題である住宅問題と日本の林業問題との関連、そのあり方などについて、木造軸組構法・伝統木構法の住文化、住宅市場の構造と担い手問題を中心に講述します。

【授業の到達目標】
・居住に関する基本的人権の観点から住宅問題と林業問題について、川下(住宅)から川上(森林)までを体系的に理解し説明できる。【知識・理解】
・衣食住の中でも重要な要素を構成する住宅問題について、住宅の構造的安全と長寿命保証、居住者の健康確保、住宅資材の循環的資源利用などの観点からの十分な知識習得の上で、解決に向けた本質的な判断力を持つことができる。【技能】

【授業概要(キーワード)】
居住権、住宅問題、木造軸組工法、伝統木構法、大工・工務店、住宅産業、住宅市場、木材産業、林業問題

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%
D-2.事前学習(下調べ、調査等含む)で習得した知識等を踏まえて演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
エコサイエンスコースのディプロマ・ポリシーのうち、「人類の叡智と自然及び社会の多様性に関心を持ち、洞察力をもって主体的、自律的に学び続けることができる。」、「健全な批判精神を持つ良識ある市民としての倫理観と責任感を持っている。」、「森林・林業・林産業及び社会の実態を理解し、物事を多面的かつ重層的に考える能力を身に付けている。」、「得た知識をもとに、地域から地球レベルの自然と社会について自ら問題を掘り起こす能力を身に付けている。」を習得するための科目です。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
01.貧困をなくそう
05.ジェンダー平等を実現しよう
07.エネルギーをみんなにそしてクリーンに
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任つかう責任
13.気候変動に具体的な対策を
15.陸の豊かさも守ろう

【授業計画】
・授業の方法
授業実施形態は、面接授業と遠隔授業の併用です。講義中盤において、木造建築物の構造や特徴を実際に見るために学外視察(レポート提出)も行います。
・日程
1.はじめに(第1回)
2.基本視角―住宅をめぐる人権について
1)住宅問題と人権(第2、3、4回)
2)住宅問題の展開(第5、6回)
3.在来工法の住文化と住文化の地域性
1)在来工法の住文化(第7、8回)
2)日本の住宅問題と在来工法の担い手(第9、10回)
4.在来工法の現状と地域性(第11回)
5.地域住宅市場の構造と特徴(第12回)
6.地域住宅市場の担い手と生産者(第13回)
7.住宅市場の改革と林業政策の転換(第14回)
8.まとめと試験(第15回)
なお、以上は予定であり、変更になる場合もあります。

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
基本的にはパワーポイントと配付資料によって講義を進めます.配付資料には記載されていないことも説明する場合があるので,聞き漏らさずに,随時,メモを取って復習に役立てて下さい.不明な点は放置せずに積極的に質問して下さい.また,講義中は,スマートフォン,携帯電話等は電源を切って鞄にしまい,他の受講生の迷惑にならないように,お気遣いください.
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
参考書などをよく読んで、ジャーナルな情報を日常的に集めるといいです。配付資料は講義後にもよく読み直すといいでしょう。
本学が開講する森林学の社会科学系において、森林・林業・山村(川上)~製材・木材加工(川中)~住宅建築市場(川下)を対象とする林政学分野を体系的に理解するためには、2年後期「林業経済学」、3年前期「住宅市場論」、3年前期「森林組合論」、3年後期「林政学演習」を段階的に全て受講することが望ましいです。また同分野において調査研究を行う場合にも、これら全ては必要不可欠な科目です。

【成績の評価】
・基準
授業の到達目標で示した居住に関する基本的人権の観点から住宅問題と林業問題について、川下(住宅)から川上(森林)までを体系的に理解し説明できること、また、衣食住の中でも重要な要素を構成する住宅問題について、住宅の構造的安全と長寿命保証、居住者の健康確保、住宅資材の循環的資源利用などの観点からの十分な知識習得の上で、解決に向けた本質的な判断力を持つことができることを合格の基準とします。
・方法
100点満点として、期末試験(50%)、レポート(30%)、リアクションペーパー等(20%)にもとづいて評価します。レポートは、住宅等の現地見学に関する内容、あるいは、課題図書の論評のいずれかについて講義時に指定します。

【テキスト・参考書】
【テキスト】
1.講義時配付資料(住宅構造、大工棟梁、居住権等に関する資料)
【参考書】
1.松井芳郎他編:国際人権条約・宣言集 第3版、東信堂、2005
2.日本住宅会議:住宅憲章、岩波ブックレット123、1988
3.早川和男:居住福祉、岩波新書527、1997
4.早川和男他編:居住福祉学と人間―「いのちと住まい」の学問ばなし―、三五館、2002
5.増田一眞:建築構法の変革、建築資料研究社、1998
6.小川三四郎:森林組合論-地域協同組合運動の展開と課題、日本林業調査会、2007

【その他】
・学生へのメッセージ
日本の大学の授業料は世界一高いです。払った授業料のモトを取るように、積極的に受講して下さい。
広く住宅問題に関する文献を読破しつつ、受講した方が、より効果的に理解できます。木造住宅や木造の歴史的建築物等の見学を行うこともありますが、入場料等が必要な場合は各人の負担とします(講義時に詳細を説明します)。
・オフィス・アワー
講義に関して照会が必要な場合には、メール連絡または教員研究室への来室(要事前連絡)により対応します。

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