社会教育論[児童教育コース]
 Social Education
 担当教員:安藤 耕己(ANDO Kouki)
 担当教員の所属:地域教育文化学部地域教育文化学科児童教育コース
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):学校教員の経験から学校と地域社会との連携・協働について具体的にあり方を講義する。
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:児童教育コース2年次以上  科目区分:発展科目 
【授業の目的】
日本の生涯学習体系の中で主要な位置を担っている社会教育の理念・制度の成立および展開について近現代を俯瞰しつつ理解することを目的とする。なお、その際、近年の施策上・実践上の重要さを鑑み、特に青少年教育に視座をおくものとする。それは「地域とつながる子どもの育成」を特にねらいとし、地域の人々とともに、多様な地域課題の解決に取り組むことができる教員・社会教育関係職員・NPOスタッフらの養成に寄与することを企図するゆえである。

【授業の到達目標】
(1)日本近代における社会教育概念の成立と国民教化施策の展開およびそれらの意味について理解できる。【知識・理解】
(2)戦後社会教育の理念および展開過程について理解し、それらの成果および課題と今日的意義を具体的に示すことができる。【知識・理解】【態度・習慣】
(3)高度経済成長期以後における、勤労青少年教育から在学青少年教育への施策上の転換をふまえ、地域社会における青少年教育のあり方について具体的に論じることができる。【知識・理解】【態度・習慣】
(4)特に近年展開する、学校と地域社会との協働に関し、その施策のねらいと展開、現状および課題について理解した上で、多様な人びとと協働し、地域の課題解決にいかにして関わりうるかを具体的に説明できる。【知識・理解】

【授業概要(キーワード)】
若者/青年、自己教育、勤労青少年教育、在学青少年教育、公民館と社会教育施設、地域学校協働活動

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:76~100%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
 児童教育コースにおける発展科目であり、社会教育主事任用資格取得(「社会教育士」付与)に関わる必修科目ともなる。特に本学部のディプロマポリシーである、「地域社会とともに学び地域に貢献する意欲のもとに、多様な考え方や異なる立場を尊重し、他者と協働して課題解決に取り組むことができる」「地域課題に柔軟に対応し、他者と協働しながら課題解決に取り組むことができるコミュニケーション能力がある」の実効化に寄与する。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
01.貧困をなくそう
04.質の高い教育をみんなに
11.住み続けられるまちづくりを
17.パートナーシップで目標を達成しよう

【授業計画】
・授業の方法
配付するテキストおよび補足資料、パワーポイントによる提示資料、DVDによる映像教材に基づき、講義を行う。対面実施を前提とする。
・日程
1.オリエンテーション
2.近代社会教育の成立(1)序論:若者と青年の間
3.近代社会教育の成立(2)青年団および教化団体の成立と全国組織化
4.近代社会教育の成立(3)地方改良運動と青年団
5.近代社会教育の成立(3)自己教育の先駆
6.戦後社会教育の端緒:青年団の復活と共同学習
7.公民館の設置と社会教育法の成立
8.優良公民館の実践
9.高度経済成長による地域社会の変化と社会教育
10.1970年代における若者の「たまり場」づくりにみる勤労青年教育のあり方
11.1970年代以降の生涯教育・生涯学習施策と社会教育
12.子ども・若者の社会教育
13.地域学校協働活動の展開
14.社会教育とNPO
15.試験および解説

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
1)講義内容について、適宜配付資料へのメモおよびノートへの筆写等にて内容の理解を深める。
2)時間内に内容を理解できない場合は、適宜講義中および終了後に質問をする。これは次回の講義に反映されるので、積極的に取り組むことが望ましい。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
 次回予告した内容に関して、インターネットや図書館配架雑誌によって事前に目を配っておくことが望ましい。その確認のため、小レポートを適宜課す。
また、近現代史の知識が相応に求められる。ぜひこの機会に暗記するだけではない歴史理解にも目を向けてもらいたい。その意味において、講義中に理解できなかった歴史的用語・歴史的事実については、自分で主体的に調べてもらいたい。

【成績の評価】
・基準
 講義した社会教育の概念および制度等の展開、重要な用語に関して、適切に文章にて説明できることを合格の基準とする。また、三分の二以上の出席がないと成績を評価しない。
・方法
講義中に適宜課題を示して提出させる小レポート(30%)および期末試験(70%)によるものとする。

【テキスト・参考書】
テキスト:適宜必要な資料(スライドのハンドアウトやレジュメ等)を配付する。
参考書:手打明敏・上田孝典編著『〈つながり〉の社会教育・生涯学習―持続可能な社会を支える学び―』東洋館出版社、2017

【その他】
・学生へのメッセージ
直接的には社会教育主事任用資格取得(「社会教育士」付与)のための講義となりますが、社会教育(学校外教育)を視座におきつつ近現代史を俯瞰する内容ともなっています。資格に関わらず受講してみてください。
・オフィス・アワー
授業時間以外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」を地域教育文化学部1号館5階507研究室において、原則、金曜日の昼休みに設けます。ただし、会議や出張等で不在にすることもあるため、確実に面談したい場合は事前に予約をお願いします。連絡先は、初回の授業でお知らせします。

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