病虚弱児の心理・生理・病理
 Psychology, Physiology, and Pathology of Children with Disease
 担当教員:村上 由則(MURAKAMI Yoshinori)
 担当教員の所属:地域教育文化学部地域教育文化学科児童教育コース
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):岩手県特別支援学校教員(12年間)
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:児童教育コース  科目区分:発展科目 
【授業の目的】
特別支援学校や地域の学校等での指導実践や小児病院などでの療育活動について紹介しながら、障害や教育的ニーズの側面から明確な概念規定が難しい慢性疾患児・病弱児の置かれた生活行動における課題状況の分析と指導方法・内容を検討することを目的とする。

【授業の到達目標】
(1)慢性疾患児・病弱児の置かれた課題状況を理解できるようになる。【知識・理解】
(2)慢性疾患児・病弱児の経験する困難を擬似体験を通して、論理的に推論することができるようになる。【知識・理解】
(3)慢性疾患児・病弱児の適応とその支援が、病状の改善のみではなく、病気を抱えながらの生活の質の向上であることを理解できるようになる。【知識・理解】
(4)慢性疾患児・病弱児の知識にもとづき、その指導・支援内容を具体的に考えることができるようになる。【技能】

【授業概要(キーワード)】
慢性疾患児 病弱児 病院の中にある学校

【科目の位置付け】
(1)特別支援教育に関する科目(心身に障害のある幼児、児童又は生徒の心理、生理及び病理に関する科目)
(2)児童教育コースの発展科目として、特別支援教育における病虚弱児の心理・生理に関する専門知識を習得するものである。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を
04.質の高い教育をみんなに

【授業計画】
・授業の方法
1)概論的な講義のほかに、教育現場での実践映像等の視聴、受講者による教材作製等を通じて、慢性疾患児・病弱児の支援方法を検討する。
2)授業において取り扱う疾患は、気管支喘息、血友病、インシュリン依存型糖尿病、心臓疾患、腎臓疾患、食物アレルギー・アトピー性皮膚炎、てんかん、重度重複障害(超重症児含む)などである。
・日程
第1回 オリエンテーション:病気と人間のかかわり
第2回 時代の変化と病気 :疾病構造の変化と病弱教育
第3回 病弱とは :障害としての慢性疾患
第4回 慢性疾患の生活・行動的側面1 :病状変動の要因
第5回 慢性疾患の生活・行動的側面2 :病状変動の認知
第6回 慢性疾患の生活・行動的側面3 :生活行動様式の変更
第7回 慢性疾患の生活・行動的側面4 :生活行動様式の維持
第8回 慢性疾患児への教育的支援1 :病状変動要因の認知の促進
第9回 慢性疾患児への教育的支援2 :病状変動初期症状の認知の促進
第10回 慢性疾患児への教育的支援3 :生活行動様式変更と動機づけ
第11回 慢性疾患児への教育的支援4 :生活行動様式維持と動機づけ
第12回 病気と心理発達1 :乳児期~幼児期
第13回 病気と心理発達2 :学童期~青年期
第14回 超重症疾患児への教育的支援 :身体状況と行動との関連
第15回 病弱教育とは何か-支援学校と院内学級  

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
1)関連科目に目を通しておく。
2)授業のポイントを押さえながら聴講する。
3)授業内容のポイントを中心にノートを整理してまとめる。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
1)予習のあり方:事前配布の資料をよく読んでおくこと。
2)復習のあり方:授業で使用した資料をよく読み返し理解しておくこと。
3)その他:授業内容に関連する事項などを図書館やインターネットで調べてみること。

【成績の評価】
・基準
1)慢性疾患児・病弱児の置かれた課題を理解し、その指導・支援内容を具体的に考えることができること。
2)慢性疾患児・病弱児の経験する困難の擬似体験を通して、彼らの支援が、病状の改善のみではなく、病気を抱えながらの生活の質の向上であることを理解できること。
・方法
講義終了後の試験(集中講義のため15回目以外にもテストを行う場合がある)により評価(100%)

【テキスト・参考書】
テキストは特に指定しないが、参考書は以下の通りとする。他は講義内で適宜紹介する。
・特別支援児の心理(北大路書房):梅谷・生川・堅田編(ISBN:4762824860)
・特別支援教育への招待[改訂版] 宮城教育大学特別支援教育講座 編(ISBN:978-4-316-80415-6)

【その他】
・学生へのメッセージ
1)慢性疾患児・病弱児への観察や体験を多く持つようにすることが大切です。
2)理論を実践に活かすように、学習を振り返ることを忘れないようにしましょう。
3)授業おいて提示したビデオや教材等の活用を踏まえ、慢性疾患児・病弱児の困難の理解と支援のあり方を考えましょう。
4)人間と病気との関係を考えることこそが、病気の子どもたちへの教育的支援を検討する最善の方法であることを感じ取ってください。
5)可能な限り、視聴覚教材や具体モデルを提示する予定です。教材活用や意見の表明に積極的に参加してください。
・オフィス・アワー
集中講義のため、教室において相談の時間を設けたり、メールを利用するなど柔軟に対応します。

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