【授業の目的】
・テーマは、「特定の時代の歴史史料を読む-中世の日記・記録-」である。 ・日本の歴史を諸史料にもとづいて総合的に考察し、日本の伝統と文化の特色についての認識を深めていくためには、基本史料の読み方と読解力の基礎を身につけておく必要がある。そこで特定の時代の基本的史料を取り上げ、古文書学の基礎知識をふまえつつ、独特の読み方、解釈の仕方などの知識を得ることを目的とする。 ・本講義においては、『政基公旅引』や「菅浦文書」、及び鎌倉・室町時代の古文書をもテキストとして取り上げ、中世の村落や百姓の実態をつかむことを目的とする。また講読史料を必要に応じ追加する場合もある。 ・『政基公旅引』は戦国時代に前関白九条政基が、和泉国日根荘(現、大阪府泉佐野市)に下向し滞在していた時に記した日記。「菅浦文書」は滋賀県長浜市西浅井町菅浦に伝来した中世在地史料で、国宝に指定された文書である。両史料とも、戦国時代の村落や百姓の実態を記す貴重な史料として著名である。 ・これら各史料の重要性についての理解を深めることを目的とする。
【授業の到達目標】
・本講義によって、漢文体や平仮名で書かれた史料を、辞書・事典を用い、史料に書かれた用語・人名・地名などについて詳細に調べることができる。 ・関連史料や参考文献を探し調べることで、史料内容を理解するだけではなく、時代背景、歴史的意義を分析する手法を身につけることができる。 ・調べた内容をレジュメにまとめ、レジュメを用いて、分かりやすく、時間内に口頭で発表することができる。 ・中学校社会科および高等学校地理歴史科担当教員として必要な専門的知識を理解できる。
【授業概要(キーワード)】
村、百姓、村の武力、一揆、日記、古文書
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:1~25% C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
・この授業は、日本史を叙述するうえで必要な活字史料の読解を通じて、史料に基づく実証的な研究手法を習得する力を身につけるものである。 ・中学校教員免許状(社会)および高等学校教員免許状(地理歴史)取得のための選択科目である。
【授業計画】
・授業の方法
戦国の村の基本的論文を読み、時代の基礎知識を身につける。その後、受講生による発表形式とする。報告者は必ずレジュメを作成し、全員に配布し、内容豊かな報告となるように努める。報告終了後、担当教員によるコメント、他の受講生による質疑討論を行う。なお、講義実施における環境、受講人数、興味関心、進捗などの各状況により多少の変更もありえます。
・日程
第1回 授業の概要説明、授業の進め方 第2回:『戦国の村を行く』を読む~戦う村の姿~ 第3回:『戦国の村を行く』を読む~村の習俗~ 第4回:『政基公旅引付』文亀4年正月条を輪読 第5回:『政基公旅引付』文亀4年2月条を輪読 第6回:『政基公旅引付』文亀4年3月条を輪読 第7回:『政基公旅引付』文亀4年4月条を輪読 第8回:『政基公旅引付』永正元年閏3月条を輪読 第9回:『政基公旅引付』永正元年4月条を輪読 第10回:『政基公旅引付』永正元年7月条を輪読 第11回:「菅浦文書」関係の論文を読む 第12回:「菅浦文書」を読む~合戦注記(戦う組織)を輪読~ 第13回:「菅浦文書」を読む~合戦注記(戦い方)を輪読~ 第14回:「菅浦文書」を読む~騒動記を輪読~ 第15回:まとめと定期試験あるいはレポート提出
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
担当した史料を読解し、与えられた時間内で史料内容(現代語訳・時代背景など)の発表をするので、図書館やインターネットを活用し情報収集や配布資料の事前学習を行うこと。発表者以外の人は積極的に質問する。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
担当する史料読解に向けて、辞書と格闘し、人名・地名・語句説明・現代語訳・時代背景については確実に調べてくること。
【成績の評価】
・基準
・定期試験(レポート)においては、主に史料の読解力を問うが、十分な学力を示すことができること。 ・発表においては、報告者には発表内容や質疑への受け答えを、報告者以外の者には質問や意見を発表したか否かを成績評価の重要な要素となる。事前に史料やレジュメを読んで、質問等を用意しておくとよい。
・方法
講義に関する定期試験あるいはレポート結果(80%)点と、講義時の発表の有無やその内容(20%)を、合計した点数で判断する。
【テキスト・参考書】
テキスト:中世公家日記研究会編『政基公旅引』(和泉書院)や長浜市長浜城歴史博物館編『菅浦文書が語る民衆の歴史』(長浜城歴史博物館)、及び幕府・武家関係史料の中から必要箇所や古文書などをコピーして配布する。 参考書・参考資料等:藤木久志『戦国の作法』〈講談社学術文庫 1897〉(講談社)、同『戦国の村を行く』〈朝日選書 579〉(朝日新聞社)、その他の参考書は、授業時などで適宜指示する。
【その他】
・学生へのメッセージ
・『政基公旅引付』や「菅浦文書」は、戦国時代の村を知るには有益だが、同時代の他の史料との比較検討もしつつ、各史料も読解してもらいたい。この講義を通じて、史料内容を理解することは勿論のこと、史料批判の大切さも学んでほしい。 ・連絡は、Webclassを通じて行うので、頻繁に確認をすること。
・オフィス・アワー
オフィスアワーについての詳細は、講義時に説明する。相談場所は基本的に大喜研究室で行う。
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