【授業の目的】
皆さんの中には「歴史が苦手」という人もいるかもしれません。その原因は暗記中心の中・高校の歴史の授業にあると思います。私たちが進むべき正しい未来を選択するには、正しい現在社会の理解がまず必要です。これには当該の社会がどのように成立してきたかという、正しい歴史認識が必要不可欠です。すなわち歴史学は正しい歴史認識=現在社会の理解のためという、すぐれて現在的学問なのです。本講義は従来歴史学が対象としなかった、日常性を重視した「身近な日本史」を基本に進め、正しい日本(論)の構築ができます。
【授業の到達目標】
1.中・高校の日本史の授業のように、日本史は「政治過程の概観」(鎌倉幕府と朝廷との対立経緯等)、「政治制度の説明」(徳川将軍が大名を支配する幕藩体制等)、「経済構造の解説」(江戸時代の農業の発展等)、と考える歴史意識や先入観を排除することができる。 2.身近なものすべてに歴史があること=多様な歴史を認識することができる。 3.多様なものが連続あるいは消滅し、変化しつつ現在に至る点を理解でき、社会が不変でなく、未来に向かい変化していることを理解することができる。
【授業概要(キーワード)】
日本論、身近な日本史、自然、いのち、地域史、関西、関東
【科目の位置付け】
この授業は、日本の中世・近世の歩みを特定の観点から考察することを通じて、人文社会科学の専門領域(歴史学)について中核となる学術的成果を修得し、これにして問題を発見し、論理的・批判的思考の結果を意見としてまとめることができる能力を培うを目的とする専門基礎科目です(人文社会科学部のディプロマ・ポリシー)。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
05.ジェンダー平等を実現しよう 10.人や国の不平等をなくそう 16.平和と公正をすべての人に
【授業計画】
・授業の方法
1.配布資料を使用し講義形式で行います。必要に応じてビデオ等を使用します。 2.必要に応じテーマ毎の意見を提出してもらいます。 3.講義は基礎編及び地域編を含め、古代から中世・近世へという時代区分にしたがい、各テーマにそった授業を行います。
・日程
第1回 オリエンテーション 第2回 基礎編 日本史を学ぶための論文を輪読 第3回 古代から中世へ(1) 「日本国」号と「天皇」号 第4回 古代から中世へ(2) 「日本」という意味 第5回 中世(1) 日本国の支配領域 第6回 中世(2) 関西と関東~鎌倉幕府の成立 第7回 中世(3) 蝦夷と琉球王国 第8回 中世から近世へ 乱立する小国家~戦国時代の大名領国~ 第9回 近世(1) 近世的平和~江戸時代概観~ 第10回 近世(2) 幕藩体制 第11回 近世(3) 江戸時代の生活史~身体や命~ 第12回 近世(4) 江戸時代の生活史~自然~ 第13回 地域編 大阪のおもろい話し 第14回 地域編 山形のよもやま話し 第15回 総まとめと課題レポート提出
※講義実施における環境、受講人数、興味関心、進捗などの各状況により多少の変更もありえます。
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
講義で習った内容に関連することを自ら図書館やインターネットで自分なりに調べて、理解を深める努力が不可欠です。時代の流れの理解も重要となるので、高校の日本史の教科書などに、ひととおり目を通しておくことが望ましい。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
自分でも概説書などを読み、知識や理解度の深みをつけること。テーマを身近な自分の問題と置き換えて、講義内容への理解を一層深めてほしい。
【成績の評価】
・基準
本テーマに則した課題に関するレポートと提出の意見により、講義内容が理解できており、歴史的な物の見方と基礎的な日本史イメージがどの程度身についたかを評価します。
・方法
レポートを基本(80%)とし、提出の意見(20%)も総合して評価します。
【テキスト・参考書】
テキストは特に使用しません。講義時に必要な資料は配布します。参考文献としては、網野善彦『日本社会の歴史』上中下(岩波新書、1997年)、大喜直彦著『神と仏に出会う時』(歴史文化ライブラリー、吉川弘文館、2014年)、そのほかは講義時に適宜紹介します。
【その他】
・学生へのメッセージ
・高校までの暗記中心の日本史学習や、事件史のみの日本史とは違う点をよく理解してください。 ・連絡は、Webclassを通じて行うので、頻繁に確認をすること。
・オフィス・アワー
講義時に説明します。相談場所は基本的に大喜研究室で行います。
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