日本古代史特殊講義b
 Topics on Japanese Ancient History(b)
 担当教員:佐藤 真海(SATO Masami)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科人間文化コース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
歴史学研究を行う際には、その素材となる歴史資料(史料)の性格を十全に理解し、その内容を正確に読み解こうとする姿勢が不可欠となる。本講義においては、日本古代の法制書である『類聚三代格』などを素材として、日本古代史料の性格やその扱い方、読み解き方を概説するとともに、それを土台としていかなる研究が展開できるか、おもに寺院史・仏教史研究の見地から追究する。それらを通じて、日本古代史研究の学問的特徴や研究手法に関する認識・理解を深めるとともに、受講生が自立的に古代史に関する探究に取り組めるようになることを目指す。

【授業の到達目標】
本講義を受講した学生は、
(1)日本古代史に関する基礎的な知見を有し、説明することができる。[知識・理解]
(2)日本古代史の学問的特徴や研究手法を理解し、自らの研究に活用することができる。[知識・理解・技能]
(3)講義内容を応用して自ら興味あるテーマを設定し、文献やデータベースをもとに調査を行うことができる。[技能・態度・習慣]
(4)調査した成果を適切な文章でまとめることができる。[技能・態度・習慣]

【授業概要(キーワード)】
日本古代史、史料、類聚三代格、仏教、古代寺院

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:26~50%
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:26~50%

【科目の位置付け】
この授業は、日本古代史研究に関する基礎的な知見と研究手法の習得を通じて、人文学の専門領域について中核となる学術的成果を修得するとともに、自ら文化資源や問題を発見し、論理的・批判的思考の結果を意見としてまとめることができるようになることを目的とする専門展開科目である。(人文社会科学部のディプロマ・ポリシー)。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに

【授業計画】
・授業の方法
本講義は、原則として対面形式にて開講する。
教員が作成したレジュメをもとに講義形式にて進行する。毎時の講義の終盤には、コメントペーパーの提出を求め、講義内容の習得の度合いを確認する。レジュメの配布やコメント提出はWebClassを通じて行う。
・日程
第1回:ガイダンス
第2回~第6回:第Ⅰ部 日本古代史研究と史料学
第7回~第10回:第Ⅱ部 日本古代寺院史研究と史料学
第11回~第14回:第Ⅲ部 日本古代仏教史研究と史料学
第15回 講義のまとめ
第Ⅰ部では、日本古代史分野における各種史料の存在形態や特徴を概説し、その扱い方や読み解き方を学ぶ。『類聚三代格』をおもな素材として、古代国家と律令格式、『類聚三代格』の史料的特質など、古代の法制史料を扱う際の基礎知識を解説した上で、写本研究や本文校訂研究など、日本古代における史料学研究がいかに実践されてきたか概観する。第Ⅱ部・第Ⅲ部は、それと関連する日本古代寺院史・仏教史の具体的な問題について検討する。取り上げるのは、およそ八世紀から十世紀にかけての日本・東アジアにおける仏教寺院や僧侶集団に関する問題が中心となる。
なお、上記の内容はあくまでも目安であり、講義の進度や受講生の問題関心などに応じて、内容や順序を変更することがある。

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
教員が解説する内容を知識として習得することも大切だが、それとともに、それを支える思考のプロセスや研究手法を理解すべく努めること。とくに自身の関心のあるテーマの探求に本講義の受講成果を繋げるためには、後者の姿勢が肝要になる。また、口頭で解説した内容もレジュメやノートに適宜メモし、自ら振り返りができるようにしておくのが望ましい。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
本講義では下記の課題等を課す。単位制度の実質化のため、授業外における以下の予習・復習等の自主的な学修に取り組まれたい。
(1)準備学修に必要な学修時間の目安は以下のとおりである。
【4.5】時間/週 (注)大学設置基準で、1単位の授業科目は45時間の学修を必要とする内容をもって構成することが標準と定められている。
(2)講義内で紹介された参考文献をもとに、講義内容をよく復習すること。
(3)学期末レポートに向けて自身の関心のあるテーマにアンテナを張り、専門書の読書体験を積むこと。

【成績の評価】
・基準
授業の到達目標に沿って、以下の4点を満たすことをもって、合格の基準とする。
(1)日本古代史に関する基礎的な知見を有し、説明することができる。
(2)日本古代史の学問的特徴や研究手法を理解し、自らの研究に活用することができる。
(3)講義内容を応用して自ら興味あるテーマを設定し、文献やデータベースをもとに調査を行うことができる。
(4)調査した成果を適切な文章でまとめることができる。
・方法
コメントペーパー:30点
学期末レポート:70点
の合計をもって評点とする。

【テキスト・参考書】
テキスト:WebClassを通じてレジュメを配布する。
参考書:『新訂増補国史大系 類聚三代格 弘仁格抄』(吉川弘文館、1972年)
坂本太郎・黒板昌夫編『国史大系書目解題』(吉川弘文館、1971年)
川尻秋生『日本古代の格と資財帳』(吉川弘文館、2003年)
佐藤信・小口雅史編『古代史料を読む』上・下(同成社、2018年)
速水侑『日本仏教史 古代』(吉川弘文館、1986年)
上川通夫『平安京と中世仏教 王朝権力と都市民衆』(吉川弘文館、2015年)
佛教史学会編『仏教史研究ハンドブック』(法藏館、2017年)
その他の参考文献については、適宜講義内において紹介する。

【その他】
・学生へのメッセージ
・本講義の受講を検討する人は、必ず第1回のガイダンスに出席してください。やむを得ない事情で欠席する人は、事前に相談してください。
・本講義を受講する際には、日本古代史概論などを通じて、日本古代史に関する基礎的な知識を習得していることが望まれます。
・講義にはノートPCやタブレットを持参することをおすすめします。
・日本古代史分野で卒業論文を執筆しようとしている者は、原則として、3年時までに本講義を受講しておくこと。
・オフィス・アワー
火曜日:10時30分~12時30分(人文社会科学部1号館4階 佐藤真海研究室)
会議や出張等で不在にすることもあるため、確実に面談したい場合は事前に予約をお願いします。連絡先は、初回の授業でお知らせします。また、上記時間外でも相談を受け付けますが、その際も事前に予約してください。

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