【授業の目的】
「ヨーロッパの宮廷美術 ― ルネサンスからバロックまで」 ヨーロッパでは中世以降、王侯君主や教皇のような権力者とその臣下たちによって宮廷とよばれる集団が形成され、独自の文化を育んできました。さまざまな礼儀作法やファッション、人間関係(宮廷風恋愛)の理想が求められ、洗練と栄華をきわめました。美術もまたそれらの文化の中でひとつの重要な位置を占めたことはいうまでもありません。いわゆる「民衆芸術」とは異なる、独特なスタイルや図像内容が発展し、美術家もまた廷臣として高い栄誉を受けました。この講義では「宮廷美術」と呼ばれる絵画、彫刻がどのような歴史と文化を背景に成立し、継承されたかについて、ルネサンスからバロック、ロココまでを時代範囲として考察します。基本的にイタリアとフランスの例を多く取り上げる予定です。
【授業の到達目標】
ヨーロッパ文化における宮廷の意義を理解できるようになります。また芸術が社会や思想とどのように結び付くかを知ることで、文化を学問的に考察するための基礎力を身につけることができます。
【授業概要(キーワード)】
美術 宮廷 ルネサンス バロック 儀礼 ファッション 宮廷風恋愛 サロン
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
学部・学科のカリキュラム・ポリシーとの関係については、「カリキュラム・マップ」を参照し、よく理解したうえで履修してください。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
17.パートナーシップで目標を達成しよう
【授業計画】
・授業の方法
一回につき一つのテーマを割り当て、スライドを見ながら話を進めます。
・日程
1.ガイダンス 2.宮廷文化の成り立ち 3.「中世の秋」の文化をめぐって 4.初期ルネサンスの市民社会 5.イタリア各地における宮廷文化の形成 6.ウルビーノの貴族社会とカスティリオーネ『宮廷人』 7.16世紀フィレンツェにおけるメディチ家と芸術家たち 8.マニエリスム美術における「スプレッツァトゥーラ(さりげなさ)」の概念 9.マニエリスムの国際化とフランソワ一世の宮廷 10.教皇による「ローマの刷新」 11.バロック美術の成立と教皇政治 12. バロック時代の祝祭とアッパラートにみる為政者のユートピア 13.絶対王政の時代における宮殿とサロン文化 14.ロココ美術と貴族社会の終焉 15.まとめ
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
毎回、スライドで作品を提示しながら問題点を論じてゆきます。配布資料にはスライドで表示される内容のすべてが記載されているわけではないので、自分なりに要点をまとめノートをとるよう心がけてください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
特に毎回の予習は必要ありませんが、西洋美術の歴史について大まかにでも押さえておくとよいでしょう。講義で取り上げる作品以外にも多くの優れた作例がありますから、自主的に美術全集などを見るよう心がけましょう。
【成績の評価】
・基準
授業への取り組み(平常点)と筆記試験により、知識の修得、理解の度合い、汎用的技能(論理的思考力、文章表現力)、参加の度合いを判定します。基準は、1) ヨーロッパ文化における宮廷の意義を理解できる、2) 芸術と社会・思想との関係を知ることにより文化を学問的に考察することができる、の二点です。
・方法
学習意欲(30%)、筆記試験(70%) 学習意欲は、出席状況や質疑応答への積極的な参加などにより判断します。筆記試験では授業の内容に対する理解度と論理的な文章構成力を評価します。
【テキスト・参考書】
テキストは特に指定しません。配布資料を使って話を進めます。 参考書については、講義内で随時紹介します。
【その他】
・学生へのメッセージ
各時代の美術に関する概説的な説明もおこない、西洋美術史の初学者にも理解できるよう配慮します。
・オフィス・アワー
金曜日16:20-17:50 (その他在室時随時)石澤研究室(1号館4階) メールアドレス:ishizys@human.kj.yamagata-u.ac.jp
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