ドイツ語講読c
 Directed Reading in German c
 担当教員:渡辺 将尚(WATANABE Masanao)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科グローバル・スタディーズコース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:演習
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
ベルリンの壁-建設から崩壊までの軌跡
1961年8月13日,東西ベルリン間のすべての道路が遮断され,そこに突如として壁が建設されました。この出来事は,国ばかりではなく(1949年にドイツは東西に分断されています),その国最大の都市が分断されるという20世紀ドイツ最大の悲劇であるとも言えます。本授業では,壁が建設されてから崩壊するまでの経緯を,新聞・書籍等の文字資料をもとに概観していきます。

【授業の到達目標】
1)文法学習用に作られたドイツ語ではなく,ドイツ人が実際に使用する生のドイツ語を理解し(一部の簡単な表現については,実際に自分でも使えるようにする),その内容を日本語で的確にまとめ発信できるようになる。
2)ドイツ語を通じて学んだことを,他言語に対しても応用できるようになる。
3)ベルリンの壁の建設から崩壊の経緯,およびその時代に生きた人々の思いについて,自分なりの理解を持つことができる。

【授業概要(キーワード)】
敗戦,東西分裂,壁崩壊,再統一

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25%
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
この授業は,現在のドイツおよび世界のあり方に大きく影響した出来事について考察することを通じて,国際社会に関する高度な理解力を養うために編成される科目です(グローバル・スタディーズコースのカリキュラム・ポリシー)。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
10.人や国の不平等をなくそう
16.平和と公正をすべての人に

【授業計画】
・授業の方法
1回の授業は,以下のように構成されます。資料はすべて,WebClassを通じて事前に配付します。
0.予習
「予習プリント」に従って行います。「本文プリント」で使用する単語の理解が中心となります。
1.必要に応じて背景説明
2.資料読解・考察
※必要に応じて文法説明
配付されるプリント(「本文プリント」)には,あらかじめ授業者による「読解のためのヒント」が掲載されています。まずはそれに従って注意点を確認した上で,読解作業に入ります。
3.練習問題
「復習プリント」により,その日に学んだ文法事項・表現を復習し,実際に自分でも使える(つまり,それを使って会話できる)ものにしていきます。
・日程
※壁に関わる代表的な出来事を時系列で追っていきます。各回,ほぼ1つのテーマを扱う予定です(進度等により,若干変更されることがあります)。
1.壁建設前史-なぜ壁は作られたのか
2.「1961年8月13日」
3.壁の最初の犠牲者(1961年8月19日)。ベルナウ通り-建物は東独,窓の外は西独
4.ケネディの西ベルリン訪問とドイツ語演説(1963年6月26日)
5.「トンネル57」:57人による大脱出劇(1964年10月)
6.壁があった頃の人々のくらし
・1967年「通過協定」:規制緩和
・西から東へは行けた。ただし,30マルク強制交換。西へ戻る際,残額は没収
7.1989年2月6日-最後の犠牲者
8.ハンガリーの民主化と「汎ヨーロッパ・ピクニック」(1989年8月19日)
9.「月曜デモ」"Wir sind das Volk!"から"Wir sind ein Volk!"へ
10.スポークスマン・シャボウスキー,疑惑の記者会見(1989年11月9日深夜)
11.深夜の歓喜,壁の上で喜ぶ市民たち,国境警備兵発砲せず(同上)

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
〇背景説明:戦後ドイツを理解するために必要なキーワードがいくつか登場します。説明をよく聞いてください。
〇ドイツ語の読解:その都度必要な文法事項をまとめます。1年次の教科書を持参し,参照しながら聞くことも有効です。
※密閉容器の清涼飲用水のみ,持ち込み・飲用可とします。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
授業で使うテキスト(「予習」「本文」「復習」の3点)はすべて,授業前日(日曜日)の15時までにWebClassにアップします。必要に応じてプリントアウトし,教室に持って来てください。授業前に行うのは「予習プリント」のみでかまいません。プリンターがない場合には,ノートパソコン等端末を持ち込んでもけっこうです。

【成績の評価】
・基準
主体的な参加の度合い,知識の修得の度合い,理解の度合い,汎用的技能(論理的思考力・文章表現力など)取得の度合いのそれぞれの項目について判定し,その合計点を用いて評価します。特に,壁建設から崩壊までの流れについて的確に説明できる能力が身に付いているかを重視します。
・方法
授業への取り組みとレポートで評価します。授業への取り組みでは,主に主体的な参加の度合い,知識の修得の度合い,理解の度合い,レポートでは主に汎用的技能(論理的思考力・文章表現力など)取得の度合いを見ます。
授業への取り組み60点、レポート40点
※ただし,レポート提出は必須とします。また,全授業時数の3分の2以上出席していなければなりません。

【テキスト・参考書】
授業中に使用するのは,WebClassを通じて配付されるプリントのみです。
また,教員が文法表を持参し,必要に応じて黒板上に提示します。

【その他】
・学生へのメッセージ
外国語学習は,それ自体で十分目標になり得ますが,同時にいろいろな問題を考えるための非常に有効な手段にもなります。本演習では,そのどちらの側面をも視野に入れ,両者の相乗効果をねらいます。つまり,ドイツ語文をきっかけに問題を考えることによって,ドイツ語能力が向上し,また,ドイツ語能力が向上することによって,さらに様々な問題をより深く考察できるようになる,ということです。
・オフィス・アワー
木曜日12時〜13時,人文社会科学部2号館3階渡辺将尚研究室。会議・出張等が入る場合がありますので,事前にメール等で照会しておくことをお勧めします。

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