【授業の目的】
グローバル社会に関する広範な視野と見聞を持ち,多文化間の相互理解に貢献できる能力を身につけるため,言語学の専門的な知識と考え方を身につけ,コミュニケーションの手段として人間が使用する言語を客観的に分析し,言語の本質を知ることを目的とします。 言語学は,ことばを分析し,「ことばの仕組み」を記述する学問です。言語学では多くの言語を視野に入れ,より適切な記述を目指します。この授業では言語記述に必要な基本概念を,主として日本語・英語を例として解説します。また,その過程で一つの現象に対する様々なアプローチを提示し,現代言語学で行なわれている主要な研究法も概観します。それらを通じて,世界の言語に見られる構造と言語現象,およびそれらを記述・理解するのに必要な基本概念を紹介します。
【授業の到達目標】
(1) 言語記述の基本概念を,日本語・英語を中心とした言語データを分析することによって理解することができる。【知識・理解】 (2) 世界の言語の多様な構造的特徴に触れ,母語の知識にとらわれず言語を客観的に分析し,その構造を記述することができる。【技能】 (3) 現代言語学の主要な研究方法について,その異同を説明できる。【知識・理解】
【授業概要(キーワード)】
言語学,音声学,音韻論,形態論,文法範疇,統語論,意味論
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
グローバル・スタディーズコースの専門基礎科目として,「言語」の本質を知ることを通じて,グローバル社会に関する広範な視野と見聞を持ち,多文化間の相互理解に貢献できる能力を身につけるための授業である。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに
【授業計画】
・授業の方法
日本語・英語を中心に数多くの言語の実例を提示し,様々な研究法を紹介しながら,言語記述の基本概念を概観します。(対面授業です)
・日程
・第1回:ガイダンス ・第2回:言語を構成する単位[分節性],人間の言語の特徴 ・第3回:音声学[調音器官,母音,子音] ・第4回:音韻論(1) [音素,相補分布] ・第5回:音韻論(2) [超分節素] ・第6回:形態論(1) [形態素,屈折と派生] ・第7回:形態論(2) [様々な形態現象(1) ] ・第8回:形態論(3) [様々な形態現象(2) ] ・第9回:文法範疇(1) [性,数,格,人称] ・第10回:文法範疇(2) [テンス,アスペクト,モダリティ,ボイス] ・第11回:統語論(1) [句構造規則,普遍文法] ・第12回:統語論(2) [機能的構文論], 意味論(1) [語彙意味論] ・第13回:意味論(2) [認知意味論] ・第14回:世界の諸言語に見られる言語現象 ・第15回:まとめと学期末筆記試験
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
ノートを取りながら講義を聴き,不明な点は遠慮なく質問して下さい。特に,提示される諸言語の実例と講義内容を関連づけて理解して下さい。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
ノートと配付資料を読み返し,講義内容を確実に理解して下さい。また,WebClassに《確認問題》(翌週に解答と解説)を載せますので,自分で解いて理解を確認して下さい。オフィスアワーを利用して教員に質問したり,《参考書》を読んで理解を深めたり,発展的事項の学習をするなどの努力を期待します。
【成績の評価】
・基準
レポートと学期末試験を課し,知識の修得,理解の度合い,汎用的技能,参加の度合いのそれぞれの項目について判定し,その合計点を用いて判定します。「授業で学んだ方法で実際の言語データを分析・記述したり,そこに見られる言語現象を的確に説明できること」が合格の基準です。
・方法
学期末筆記試験(ノート,配付資料,参考書の持ち込み可):80点,レポート:20点,合計100点。出席回数が授業回数の3分の2に満たない場合は単位認定の対象としません。レポートは解答例と共に返却します。
【テキスト・参考書】
《参考書》 庵功雄(2011)『新しい日本語学入門 ことばのしくみを考える[第2版]』スリーエーネットワーク 亀井孝 他 編著(1988-92)『言語学大辞典 世界言語編』全4巻,三省堂 古閑恭子(2022)『フィールドワークではじめる言語学―なじみのない言語から考える』ひつじ書房 斎藤純男 他編(2015)『明解言語学辞典』三省堂 高橋留美ほか(2021)『やさしい言語学』研究社[第1章から第8章まで] 三原健一・高見健一編著(2013)『日英対照 英語学の基礎』くろしお出版 個別の項目に関する参考文献は授業中に紹介します。また,言語学全般にわたる「文献リスト」をWebClassに載せます。
【その他】
・学生へのメッセージ
WebClassの《確認問題》を自力で解くことにより,授業内容の定着をはかることが望まれます。
・オフィス・アワー
金曜日 12時から12時30分 および 月曜日 16時30分から17時30分 池田光則研究室 (メールアドレスは学部のHP,『学生便覧』に記載してあります)
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