【授業の目的】
例えば,バイト中にうっかり物を壊してその額を給料から引かれてしまったら労働者は何も言えないのか,小さなミスを理由にクビだと言われたらクビになってしまうのか等,労働法が関わる問題は皆さんの周りにも様々に存在する。この授業は,基本概念や重要判例の解説を通じて,労働法2と併せて労働法の全体像を把握すること,及び,問題を解決するための法的思考力を養うことを目的とする。
【授業の到達目標】
(1)労働法の基本概念を正確に理解し,重要判例の事案及び判旨を説明できる。 (2)事案に応じて適切な法解釈を行い,論証に基づき一定の解決策を導くことができる。
【授業概要(キーワード)】
労働者,使用者,就業規則,労働時間,賃金,解雇
【科目の位置付け】
この授業は,労働問題について法学の観点から論理的に分析し,解決策を提案する力を身につけるために編成される科目である。 なお,労働法2と併せて労働法の全体を扱う科目であるため,労働法1と労働法2はセットで履修することが望ましい。また,講義の中で最低限の解説は行うが,労働法の理解には憲法や民法(総則,契約法,不法行為法等)の知識も必要となるため,それらの科目を事前に履修又は独学しておくことが望ましい。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
05.ジェンダー平等を実現しよう 08.働きがいも経済成長も 10.人や国の不平等をなくそう 16.平和と公正をすべての人に
【授業計画】
・授業の方法
資料を配布し,オンラインと対面を併用する。なお,各回の取扱い範囲は変更する場合がある。 第3タームで2単位の開講であるため,週2コマの講義となる。双方を履修できることを確認して履修登録すること。また,期末試験の時期に注意すること。
・日程
1 イントロダクション(労働法とは何か) 2 労働法の法源,労働関係の当事者(労働者概念,使用者概念) 3 労働関係の成立(採用,内定,試用期間等) 4 労働関係の終了①(解雇) 5 労働関係の終了②(その他の終了事由),労働契約の基本原理 6 就業規則①(基本事項) 7 就業規則②(不利益変更等),人事①(概説) 8 人事②(昇進・昇格・降格,配転・出向,休職) 9 企業組織の変動と労働関係 10 懲戒 11 賃金 12 労働時間①(労働時間概念,時間外労働・割増賃金等) 13 労働時間②(裁量労働制,フレックスタイム,適用除外等) 14 休暇・休業 15 試験とまとめ
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
パワーポイントを参考に,ノートをとって講義内容の理解に努めましょう。六法(出版社や判例の有無は問わない。労働関係法規集(労働政策研究・研修機構)等の労働分野に特化したものでも構わない。)を準備してください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
講義資料や参考書を利用して講義の理解度を確かめましょう。毎回,それまでの講義の復習課題を出題しますので,必ずきちんと取り組んでください。
【成績の評価】
・基準
授業の到達目標で示した通り,(1)労働法の基本概念や重要判例を適切に理解・説明できること,(2)事案に応じて適切な法解釈を行い,論証に基づき一定の解決策を導くことができること,を合格の基準とする。
・方法
期末試験(100点)により評価する。
【テキスト・参考書】
テキスト:村中孝史=荒木尚志編『労働判例百選(第10版)』(有斐閣,2022年) 参考書は講義で適宜紹介するが,例えば,以下のものがある。 参考書① 荒木尚志『労働法(第5版)』(有斐閣,2022年),水町勇一郎『労働法(第10版)』(有斐閣,2024年)・同『詳解 労働法(第3版)』(東京大学出版会,2023年),山川隆一編『プラクティス労働法(第3版)』(信山社,2022年) 参考書② 小西康之『働く世界のしくみとルールーー労働法入門』(有斐閣,2024年),原昌登『コンパクト労働法(第2版)』(新世社,2020年),森戸英幸『プレップ労働法(第7版)』(弘文堂,2023年)
【その他】
・学生へのメッセージ
労働法は,学生の皆さんにとって最も身近な法分野の一つであり,就職(公務員)試験で頻出のテーマにも関わる等の実用的知識としての有用性があると同時に,他の法分野と交錯しつつ,労働関係の特殊性を踏まえた固有の議論や雇用環境の変化に対応した様々な展開がある点等に面白さがあります。関心のある方は労働法2とともに積極的に履修してください。
・オフィス・アワー
授業に関する学生からの質問は,WebClassのメッセージで受け付けます。
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