安達峰一郎について考える(山形から考える)
 Mineitciro Adatci and International Law (Yamagata Studies)
 担当教員:丸山 政己(MARUYAMA Masami)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科総合法律コース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:1年,2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
安達峰一郎(1869-1934)は、山形県山辺町出身の、とりわけ戦間期の国際社会で活躍した外交官でありまた常設国際司法裁判所でアジア人初の所長となった人物である。本講義では、彼の業績をたどり当時の国際社会の中に位置づけて検討する。そうした検討を通じて、日本外交における国際協調の意味,国際組織や国際裁判のあり方(紛争の平和的解決や戦争の防止)、国際法の役割などについて理解を深めることを目的とする。

【授業の到達目標】
この講義を履修した学生は、
1)安達峰一郎という人物について、どのような業績があり、どのような面で貢献があったと言えるか具体的に説明できる。【知識・理解】
2)国際関係における国際協調、多国間主義、国際組織や国際裁判、国際法といった基本的概念について説明できる。【知識・理解】
3)現在の国際関係における問題にひきつけて考えることができる。【態度・習慣】

【授業概要(キーワード)】
安達峰一郎、日本外交、国際協調、多国間主義、国際組織、国際連盟、国際裁判、国際法

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25%
C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:1~25%
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
この授業は、安達峰一郎という山形出身の偉大な人物と彼が生きた当時の国際社会の構造や情勢を様々な視点・角度から考察することで、健全な批判的精神に裏打ちされた幅広い知識を習得するものである。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
10.人や国の不平等をなくそう
16.平和と公正をすべての人に

【授業計画】
・授業の方法
WebClassを通じてレジュメ・資料を配布し、講義を中心に進める。
グループで議論を行ない成果を発表する機会を設ける。
毎回、講義の最後に自分の考えをまとめる時間をとり、ミニッツペーパーを提出する。
・日程
第1回 ガイダンスーなぜ安達峰一郎を学ぶのかー(オンデマンド形式)
第2回 安達峰一郎の生涯―概観ー
第3回~第6回 外交官としての安達(条約改正、日露戦争、ベルギー・仏大使、外務省国際協調派)
第7回~第10回 国際組織発展への貢献(ベルサイユ講和条約、国際連盟の設立と発展、少数者保護問題、裁判官選挙)
第11回~第14回 国際裁判官としての安達(常設国際司法裁判所の設立、所長としての仕事、紛争の平和的解決方式としての国際裁判、満州事変)
第15回 まとめ
※第1回以外にもオンデマンド形式の授業となる回が複数回あります。日程の詳細は第1回のガイダンスで案内します。

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
レジュメと板書を参照しながら講義を聞き、ノートに筆記して内容の理解に努める。疑問に思うことがあれば積極的に質問する。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
自分でとった講義ノートを見直し、ポイントをまとめておく。参考文献にあたって問題に対する理解を深めておく。
普段から国際問題に関するニュースをチェックする。当時と現在の違いを意識しながら、現在の問題にどのような示唆を引き出すことができるか考えてみる。

【成績の評価】
・基準
授業における課題レポートの提出を通じて、知識の習得、理解の度合い、汎用的技能(論理的思考力や文章表現力)、参加の度合いについて総合的に評価する。具体的には、①国際関係における国際協調、多国間主義、国際組織や国際裁判、国際法といった基本的概念について自分の言葉で説明できるか、②国際法の基本的な仕組みとその現代的課題を一定程度理解できているかが合格の目安となる。
・方法
グループワークへの参加(20%)、毎回提出のミニッツペーパー(40%)、学期末レポート(40%)

【テキスト・参考書】
参考書:①柳原正治・篠原初枝編『安達峰一郎―日本の外交官から世界の裁判官へ』(東京大学出版会,2017年)
②柳原正治『帝国日本と不戦条約―外交官が見た国際法の限界と希望』(NHKブックス、2022年)
③井上寿一『日本外交史講義 新版』(岩波書店,2014年)
④篠原初枝『国際連盟―世界平和への夢と挫折』(中公新書,2010年)
⑤E.H.カー,井上茂訳『危機の二十年1919-1939』(岩波文庫,1996年)
⑥安達峰一郎著/柳原正治編『世界万国の平和を期して―安達峰一郎著作選』(東京大学出版会、2019年)
⑦安達峰一郎博士顕彰会編『国際法にもとづく平和と正義を求めた安達峰一郎―書簡を中心にして』(2011年)
その他については適宜講義において紹介する。

【その他】
・学生へのメッセージ
私語は厳禁(講義内容に関する発言は大歓迎!)
「安達峰一郎って誰よ?」「その人について学んで何か意味あるの?」「戦間期って100年も前の話でしょ?」このシラバスを眺めて少しでもそんな疑問をもった人こそ、ぜひ履修して欲しいと思います。実際のところ難解な内容も多くありますが、「あ!なるほど!」という知的刺激をきっと得られると思います。
・オフィス・アワー
水曜日12:10~13:30 人文社会科学部2号館3階 丸山研究室
その他の時間はメールでアポイントメントを取ってください。

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