【授業の目的】
この講義では、わが国の地方財政の現状および制度を学んだうえで、個別市町村の財政分析を行う手法を身につけることを目的とする。 前半は、地方自治の統治機構や地方財政の役割を整理し、地方財政の現状を踏まえながら、地方税、地方交付税、国庫支出金、地方債等、国家レベルからの地方財政制度に関する主要なトピックについて学ぶ。 後半は、総務省が提供する市町村別の決算カード、類似団体比較カード、財政状況資料集を用いて、個別市町村の財政分析を行う手法を学ぶ。歳入分析では、歳入を自主財源と依存財源に分けたり、一般財源と特定財源に分けたりすることにより、歳入の構造を多角的に把握することを試みる。歳出分析では、性質別と目的別という費目の分類方法により、財政構造の弾力性、自治体の政策志向を探ることを試みる。収支分析では、実質収支、単年度収支、実質単年度収支という財政指標を紹介して、経年での財政状況の推移を捉えることを試みる。債務分析では、地方債現在高や積立金現在高の動きを収支と関連付けて把握することを試みる。
【授業の到達目標】
(1)わが国の地方財政の現状と制度に関する基本的な内容を説明することができる。【知識・理解】 (2)決算カードや類似団体比較カードを用いて、個別市町村の財政分析ができる。【技能、態度・習慣】
【授業概要(キーワード)】
地方税、地方交付税、国庫支出金、地方債、財政分析
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25% A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
この科目は地方財政に関する基礎的な知識を学んだうえで、個別市町村の簡単な財政分析を行う手法を学ぶものです。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
09.産業と技術革新の基盤をつくろう 11.住み続けられるまちづくりを
【授業計画】
・授業の方法
授業はスライドや板書による講義形式で行われる。講義概要と質問事項をまとめるレスポンス・カードの提出を課題として求める。質問事項には授業内で回答する。
・日程
第1回:イントロダクション(地方財政を学ぶ意義) 第2回:地方自治の統治構造 第3回:財政機能と地方財政 第4回:地方税 第5回:地方交付税 第6回:国庫支出金 第7回:地方債 第8回:市町村の財政分析(1)歳入分析 第9回:市町村の財政分析(2)歳出分析 第10回:市町村の財政分析(3)収支分析 第11回:市町村の財政分析(4)債務分析 第12回:市町村の財政分析(5)ケーススタディ① 第13回:市町村の財政分析(6)ケーススタディ② 第14回:市町村の財政分析(7)ケーススタディ③ 第15回:まとめ
※「市町村の財政分析」では、総務省が提供する決算カード、類似団体比較カードおよび財政状況資料集などを使って財政分析を行う基本的な方法と、それを用いたケーススタディについて学びます。
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
知識の修得、理解の度合い、参加の度合いを評価するために、授業の理解度を確認するレスポンス・カードを提出してもらうので、集中して講義を聴くこと。また、レスポンス・カードにより質問を受けるので、疑問に思うことはメモを取りながら講義を聴くこと。もちろん、口頭による質問も受ける。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
・受講のあり方 授業で示される板書や配付資料を参考に講義内容をノートに筆記するなどして内容の理解に努めてください。 ・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス インターネットやテレビ、新聞を活用して、市町村財政への関心を深めてください。
【成績の評価】
・基準
レポートとレスポンス・カードにより、知識の修得、理解の度合い、汎用的技能(論理的思考力、文章表現力)、参加の度合いのそれぞれの項目について判定し、その合計点を用いて判定する。基準は、1)わが国の地方財政の現状と制度に関する基本的な内容を説明することができるかどうか、2)決算カードや類似団体比較カードを用いて個別市町村の財政分析ができるかどうかとする。
・方法
レポートとレスポンス・カードにより100点満点で評価する。レポートとレスポンス・カードのウェイトはそれぞれ80%と20%である。
【テキスト・参考書】
配付資料を用いるため、特に指定しない。
【その他】
・オフィス・アワー
業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」を坂本研究室(人文社会科学部1号館3階)において、木曜日の10:30~12:00の間に設けます。
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