【授業の目的】
「組織」は複数の人々が共通の目標を持って何かを行うときに発生する。現代社会においてもっとも影響力が強く、もっとも身近な組織は「企業」といっていいだろう。企業には小さければ数名から数十名、大きければ数千名から数万名以上もの人々が働いている。これらの人々を組織全体の目標の達成に導くためにはどうすればよいか。 鍵は会計にある。会計は利益という組織目標を設定し、それを組織内の人々の目標に細分化して割り当てることができる。人々は、自らの割当を達成すれば報酬が得られるが、未達成であれば何らかのペナルティを追うことになるかもしれない(昇進機会の逸失など)。 会計を通して組織の人々に影響を与えることを「マネジメント・コントロール」という。本講義は、マネジメント・コントロールの基礎を学ぶことを通して、組織社会における会計の意義を理解する。また、学生グループ(4〜5名)による企業事例のプレゼンテーションの時間を作り、グループワークを体験するとともに、リーダー・サポーター等について考える機会を提供する。
【授業の到達目標】
(1) 組織およびマネジメント・コントロール・システムの原理について説明できる。【知識・理解】 (2) 組織のマネジメント・コントロールにおける会計の役割について討議できる。【態度・習慣】 (3) 組織のマネジメント・コントロールの事例に関連する資料を作成できる。【技能】 (4) 自分が組織で働く時、自分は組織からどのような影響を受けるのか、また自分がどのように組織に影響しうるのかを表現できる。【態度・習慣】
【授業概要(キーワード)】
組織、会計、マネジメント・コントロール
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:76~100% B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25% B-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、他の学生の意見を尊重しつつグループとしての結論を出すために議論をする機会がある。:1~25% B-3.習得した知識を活用する中で、学生グループがテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、互いの考えを理解し合う中から新たに独自の意見や考え方を創り出す機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
この授業は組織における会計の役割を学ぶことで、いかに人間が共通目標に向かって行動するかを学ぶ。その際、グループワークでのアクティブラーニングを伴う。グループは指定事例の考察、発表、討論を通してコミュニケーションとプレゼンテーションを実践する。また、それはリーダーとしての人間力を育成し、サポーターとしての役割分担を考える機会となる。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
08.働きがいも経済成長も 09.産業と技術革新の基盤をつくろう
【授業計画】
・授業の方法
教科書は多くの章が「理論」と「事例」の2部構成となっている。教員が理論の解説を担当し、学生グループが事例部分をプレゼンテーションする形式で進める。
・日程
1回目 講義の進め方、第1章 マネジメント・コントロールとは何か(前半) ※ 1回目はオンデマンド形式のオンライン授業 2回目 第1章マネジメント・コントロールとは何か(後半) 3回目 第2章 組織構造の設計 4回目 第2章 事例発表と討議 5回目 第3章 責任センターの設定 6回目 第3章 事例発表と討議 7回目 第4章 プロフィット・センターの管理会計 8回目 第4章 事例発表と討議 9回目 第5章 投資センターの管理会計 10回目 第5章 事例発表と討議 11回目 第6章 業績目標の設定 12回目 第6章 事例発表と討議 13回目 第7章 業績評価とインセンティブ 14回目 第7章 事例発表と討議 15回目 第8章 マネジメントコントロールにおける企業理念の役割
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
教員による理論解説の授業前には、教科書の予習をすること。 学生グループによるプレゼンの際には、資料と討議内容の準備をすること。また、プレゼン担当者でない受講者は教科書の事例部分を読んでおき、討議にどのように参加するか想定しておくこと。 授業終了後(教員解説と学生発表のどちらにおいても)にはリフレクションペーパーを提出してもらうので、授業内容をどのようにまとめるか考えながら受講すること。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
・教科書の予習:1〜2時間 ・学生グループによるプレゼン準備:グループの各メンバーがそれぞれ2時間。 ・授業後のリフレクションペーパーの作成:30分
【成績の評価】
・基準
組織における会計の役割、すなわちマネジメント・コントロールについてどの程度理解し、発表し、自らが組織で働く場面を想定しながら思考できるかが合格の基準となる。
・方法
・プレゼンテーション(40%) グループでのプレゼンテーションの内容に基づいて評価する。
・討議への参加度(30%) プレゼンテーション後の討議にどの程度寄与したかで評価する。主として発言回数で測定する。発言を促すために、発言内容の「質」については基本的に問わない。
・リフレクションペーパー(30%) 毎回の授業終了後に、学習内容をまとめるリフレクションペーパーを提出してもらう(200字程度)。
【テキスト・参考書】
テキスト 青木康晴. (2024).『組織行動の会計学 マネジメントコントロールの理論と実践』日本経済新聞出版社.
参考書 伊丹敬之・青木康晴. (2016).『現場が動き出す会計 ―人はなぜ測定されると行動を変えるのか』日本経済新聞出版社.
【その他】
・学生へのメッセージ
会計以外にもマネジメント・コントロールの手段は多数ある。たとえば、もっとも身近なところで言えば「成績」は学生が授業目的に沿って行動するようコントロールするための強力な手段である。さまざまなマネジメント・コントロールのあり方について感度を高めてほしい。
・オフィス・アワー
質問は Webclass のメッセージを通じて受け付ける。基本的に平日の日中に確認する。業務の都合上すぐに返答できない場合もあるので、余裕を持って送信すること。
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