人体の仕組みと病気(健康・スポーツ科学)
 How diseases were induced? Homeostasis and its disorders in human body (Health and Sports Science)
 担当教員:濵本 洋(HAMAMOTO Hiroshi)
 担当教員の所属:医学部医学科
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):医師や医学研究者として実務経験のある教員が、その経験を活かして、健康に関する講義を行う。
 開講学年:1年,2年,3年,4年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:演習
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
生命科学の研究は近年著しいスピードで進展しています。私達を取り巻く医学、医療の世界でも新たな知見が次々に生まれ、大きく変化しています。本講義では、本学医学部医学科の基礎研究部門で実際の研究に携わっている教員が、各々の専門分野の基本的事項と最近の話題をわかりやすく概説します。人の身体の仕組みや働きと、それらに関連した様々な病気について最新の知見を学ぶことを目的としています。

【授業の到達目標】
1)がんにより命が失われるのはなぜか?
がんにより命が失われる原因について記述できる【知識・理解】
がん転移のメカニズムを調べることができる【技能】
がん細胞が治療抵抗性を獲得する機構について推論できる【知識・理解】

2)性・生殖と薬
性と生殖に関する身体の構造や仕組みを列挙できる【知識・理解】
SRHRに関連する薬剤について記述できる【知識・理解】

3)体内時計と健康
体内の時計である概日時計の仕組みを推論することができる【知識・理解】
概日(サーカディアン)リズムと概日時計の仕組みを関係づけることができる【知識・理解】
概日(サーカディアン)リズムの生物にとっての意義を調べることができる【技能】

4)中毒と病気
毒と中毒の定義について述べることができる【知識・理解】
化学物質中毒の仕組みを分類できる【知識・理解】
酒に強い人と弱い人が陥りやすい中毒とそれによって引き起こされうる病気について関係づけることができる【知識・理解】

5)私という概念を形成する免疫学
免疫系はどのようにして「私(自己)と異物を区別しているか?」記述できる【知識・理解】
「私とは何か?」について推論できる【知識・理解】

6)人類史に刻まれた微生物たち
人類史における重要な感染症を理解できる【知識・理解】

【授業概要(キーワード)】
がん転移、治療抵抗性、性・生殖と薬、SRHR、体内時計、サーカディアンリズム、中毒、酒に「弱い人」が陥りやすい病気、自己と異物を区別、免疫、健康に役立つ微生物、感染症との戦い、微生物との共存

【科目の位置付け】
この授業は高等学校で学んだ知識を基に、人体の構造や機能の異常に基づく傷病についての基礎理論を学ぶ。基礎理論は複雑な傷病を理解する上で不可欠であることを知ることが本授業の狙いである。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を

【授業計画】
・授業の方法
がん、性・生殖と薬、体内時計と健康、中毒と病気、自己と異物を区別する免疫学、および微生物と感染症、という私達にとって身近なテーマを取り上げ、1つのテーマを2回ないし3回にわけて講義します。講義はパワーポイントなどを用いたプレゼンテーションで行います。
・日程
1)「がんにより命が失われるのはなぜか?」 (担当 二口 充)
がんとは何か、その遺伝子変化、がん転移のメカニズムおよび治療抵抗性を獲得する機構について、最新の研究成果を踏まえて解説する。

2)「性・生殖と薬」 (担当 永嶋 美華子)
性と生殖に関する身体の構造や仕組み、SRHRに関連する薬剤について、医学的観点から解説する。

3)「体内時計と健康」(担当 岡野 聡)
「概日(サーカディアン)リズム」の生物にとっての意義と,それを生み出す体内の時計である「概日時計」の仕組みを,ヒトの健康との関わりに力点をおいて概説する。

4)「中毒と病気」(担当 水野 大)
「毒」と中毒の定義について概説し、私たちの周りに存在する様々な化学物質中毒の仕組みを紹介する 。さらに、酒に「強い人」と「弱い人」が陥りやすい中毒とそれによって引き起こされうる病気についても解説を行う 。

5)「私という概念を形成する免疫学」 (担当 武田 裕司)
免疫系はどのようにして「私(自己)と異物を区別しているか?」その「私とは何か?」について、免疫学的立場から解説する。

6)「人類史に刻まれた微生物たち」 (担当 濵本 洋)
微生物による感染症の歴史や発見などをひもときながら、ヒトの健康と微生物の関係、また、その微生物の性質を解説する。さらに、人類が微生物による感染症をいかに克服していったか、その栄光の歴史と決して明るくはない近未来を示す。

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
受講者は講義を聴講し、不明な点があれば遠慮しないで積極的に質問をして理解を深めてください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
予習のあり方:生命科学についての一般的な事柄、あるいは高等学校で学習した内容について、あらためて整理しておくことが望まれます。
復習のあり方:講義のノートや配付資料等を整理し、復習に努めてください。興味のある問題については、一般教養書や専門書等を参照し理解を深めてください。授業で習った内容に関連することを図書館やインターネットで自分なりに調べて、理解を深める努力が不可欠です。

【成績の評価】
・基準
各講義内容の基礎的な事項について、主体的に考察し、論述できることが合格の基準とします。講義範囲内のレポート提出などにより講師毎に評価します。
・方法
各講師20点満点で評価し、その合計点により最終評価を行います。合計100点満点に換算し、60点以上を合格とします。

【テキスト・参考書】
武田裕司 好きになる免疫学(講談社サイエンティフィック)、休み時間の免疫学(講談社サイエンティフィック)、免疫ペディア(羊土社)

【その他】
・学生へのメッセージ
将来の進路や職業に関わらず、現代を生きる者として私達の身体の仕組みと病気を理解することは大切な教養の1つです。これらを理解することにより、人が健康に暮らすためにはどうすればよいのかを皆さんで考えてください。
・オフィス・アワー
特にオフィスアワーは設けていません。質問などがある場合は飯田キャンパス基礎校舎3階感染症学講座(内線5249)まで照会下さい。

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