移民社会における多文化共生(歴史学)
 Multicultural Conviviality in Immigrant Societies (History)
 担当教員:中村 篤志(NAKAMURA Atsushi)
 担当教員の所属:人文社会科学部人文社会科学科人間文化コース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:1年,2年,3年,4年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
日本はすでに移民大国です。外国人労働者の増加は少子高齢化の日本において構造的に不可避であり、一時的な現象ではありません。これまで外国人労働者の数が比較的少なかった東北でも全域で技能実習生等が急増しており、特定の産業には深い影響を与えています。この状況を踏まえ、今日、自治体・企業・コミュニティにおいて「共存」への知見が求められています。
この授業では、移民をめぐる日本そして山形の現状を把握するとともに、モンゴルの事例を中心に、身近になりつつある「外国人」をいかに理解し、共生していくべきか?そして、そもそも「日本人」「モンゴル人」とはなにか?を学ぶことで、将来の移民や多文化共生を考えるために必要な知識・考え方を身に付けます。

【授業の到達目標】
この講義を履修した学生は、
1)日本社会における移民の現状を説明することができる【知識・理解】
2)特定の学問分野から移民をめぐる課題を捉えることができる【態度・習慣】
3)自分自身の考えを述べ、文章に表現することができる【技能】

【授業概要(キーワード)】
移民社会,多文化共生,モンゴル

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:51~75%
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25%
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:26~50%

【科目の位置付け】
この授業は、特定の学問分野から移民をめぐる諸課題を考察することを通じて、個々の学問分野における基本的な課題や問題意識について理解するとともに、諸問題を自己に関わる問題として思慮し、人間としての生き方や考え方を自省することができる態度や能力を養うことを目的とする基盤共通教育科目(教養科目)です(基盤共通教育の基本方針)。
なお、この授業は「移民社会における多文化共生研究ユニット」の活動の一環です(ユニットの詳細はhttps://yu-imin.labby.jp/を参照)。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
01.貧困をなくそう
02.飢餓をゼロに
03.すべての人に健康と福祉を
04.質の高い教育をみんなに
05.ジェンダー平等を実現しよう
08.働きがいも経済成長も
09.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう

【授業計画】
・授業の方法
この授業は原則対面で行われますが、一部オンデマンド形式で行う場合があります。
第1回の授業は担当教員によるガイダンス・解説を行います。
※授業に関連する外部の専門家・研究者を招き、講義をしてもらう場合があります。その場合、開催時間帯が夕方や土日など変則的になる場合もあります。
・日程
第1回 ガイダンス
第2回 日本における移民の現状:「移民」イメージと統計データ
第3回 山形における移民の現状
第4回 多様な職場で働く外国人労働者
第5回 山形で外国人材を受け入れるには?
第6回 山形でモンゴル人を受け入れるには?
第7回 日本で働くモンゴル人
第8回 近年の外国人材・モンゴル人材の動向
第9回 モンゴル国の現状
第10回 モンゴルの遊牧生活とその特徴
第11回 モンゴルの近現代史と日本
第12回 「モンゴル人」とは何か?「日本人」とは何か?
第13回 改めて、山形でモンゴル人材を受け入れるには?
第14回 壁となる日本語、壁を壊す日本語
第15回 まとめ:これからの多文化共生社会を考える
※各回で扱う内容については、変更する可能性があります。

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
講義の内容を丸暗記することは求めません。講義で取り上げた事柄が自分自身とどのような関わりがあるのかを考えながら聴講しましょう。
またワークや講演では自分の考えを発表したり質問を行う機会があります。積極的に自分の意見や問いを発する構えで講義に臨みましょう。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
単位制度の実質化のため、以下の点に留意して授業外における予習・復習等の自主的な学修に取り組んでください。
1)準備学修に必要な学修時間の目安は 4.5時間/週 です。
※大学設置基準で、1単位の授業科目は45時間の学修を必要とする内容をもって構成することが標準と定められています。
2)日頃から新聞やテレビで報道されている移民問題について関心を持つようにしましょう。
3)参考書や授業のなかで紹介した文献に目を通すことで、授業で扱った事柄に対する知識をさらに深めることができます。

【成績の評価】
・基準
授業の到達目標で示した3つの目標に対応し、下記の3つの条件を満たすことを合格の基準とします。
1)日本社会における移民や多文化共生の現状を説明することができる。
2)特定の学問分野から移民や多文化共生をめぐる課題を指摘することができる。
3)積極的に自分の意見を発信することができる。
・方法
期末レポート(60点):授業内容にもとづくレポートを課します。
コメント(40点):各回の授業終了後にコメントの提出を求め、その内容から授業への参加姿勢を評価します(1回の授業につき4点程度)。何もコメントをしなかったり(「特になし」も含む)、内容が当日の授業を踏まえたものでなかった場合は点数を与えません。

【テキスト・参考書】
テキスト:特定のテキストは指定しません。各回の授業でレジュメを配付します。
参考書:
国立社会保障・人口問題研究所編『 国際労働移動ネットワークの中の日本:誰が日本を目指すのか』(日本評論社、2022年)
是川夕『移民受け入れと社会的統合のリアリティ 現代日本における移民の階層的地位と社会学的課題』(勁草書房、2019年)
加賀美常美代『多文化共生論 ―多様性理解のためのヒントとレッスン―』(明石書店、2013年)
※このほか、授業内で関連する文献を紹介します。

【その他】
・学生へのメッセージ
他人事を自分事として考えることができるようになることが多文化共生の第一歩です。この授業で他者の立場に立って物事を考えられるような態度を身につけましょう。
また山形大学「移民社会における多文化共生研究ユニット」では各種イベントを開催しています。興味がある人は授業外のイベントにもぜひ参加してみてください。
・オフィス・アワー
水曜日 13:00~14:40 中村研究室(人文社会科学部1号館4階)
※上記時間外においても相談を受け付けますが、その場合は事前に連絡してください。連絡先は初回授業時にお知らせします。

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