教材開発と児童生徒理解(言語系)
 Teaching Materials Development and Student Understanding(Language)
 担当教員:三浦 登志一(MIURA Toshikazu),井上敦夫(INOUE Atsuo)
 担当教員の所属:大学院教育実践研究科
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):学校現場及び教育行政機関における勤務経験のある教員が、その経験を活かして、学習指導に関する今日的な課題について指導する。
 開講学年:1年,2年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
中央教育審議会答申等が指摘する,「各教科等における言語活動の充実」を図る観点から,スクールリーダーとして必要な資質や能力を身に付けることを目標とする。そのため,児童生徒の言語の発達を踏まえた国語力の育成の観点から教材を開発し,各教科等との関連を図った年間指導計画や学習指導案を構築できるようにする。また,協力校との連携のもと,授業作りのプロセスに即して校内研究に参加する機会を取り入れることで,PDCAのマネジメントサイクルを活かし,児童生徒の実態に応じて柔軟かつ連続的に授業改善を推進する力を養成する。

【授業の到達目標】
各教科等において育成する国語力を明確に位置付けた学習指導案を作成することができるとともに、授業実践と事後の検討を通して、授業改善の効果を客観的に検証したり、更なる改善案を提案したりすることができる。

【授業概要(キーワード)】
教材開発 児童生徒理解 学力調査

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:1~25%
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25%
B-3.習得した知識を活用する中で、学生グループがテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、互いの考えを理解し合う中から新たに独自の意見や考え方を創り出す機会がある。:51~75%

【科目の位置付け】
児童生徒の適切な理解に立った言語系教科の教材開発を行う専門的能力を身に付けるものである(山形大学のディプロマ・ポリシー)。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに

【授業計画】
・授業の方法
①課題発見型ワークショップ,②講義と演習の組み合わせ,③事例検討(学習指導案や授業記録VTR等を活用した分析),④アクションリサーチ型フィールドワーク,⑤実践プレゼンテーション(Before-After方式による提案)
※授業は対面で実施する。
・日程
第1回:「教科を貫く国語力」の実像/各教科等で育成する国語力の具体像を明らかにするための見通しをもつ。(課題発見型ワークショップ)
第2回: 「国語力」の規定/「言語活動の充実」,OECDのPISA調査の「読解力」等の検討を通して「国語力」の概念を修得する。(講義・演習)
第3回: 各教科等における国語力/学習指導要領に位置付けられた国語力を把握し,系統性や相互関係について検討する。(講義・演習)
第4回: 「評価規準」を位置付けた学習指導案/国語力育成のための「評価規準」を位置付けた各教科等の学習指導案を作成する。(演習)
第5回: 評価を生かした授業改善/言語の学習の「螺旋的・反復的」という特性を生かし,評価結果を反映させた学習指導案を作成する。(演習)
第6回: 年間指導計画の改善/評価重点一覧マトリックスを活用して年間指導計画を作成する。(事例検討・演習)
第7回: 授業改善における「成果把握」の意義/ PDCAサイクルに即した授業改善の道筋を分析し,改善の成果を次の実践に活用可能な形で把握するために開発された「Before-After方式」の特徴を踏まえて,成果把握の演習を行う。(事例検討・演習)
第8回: 教材開発システムの検討/学習指導案をもとに,「教科を貫く国語力」としてどのような力を育成すべきかを検討し,授業参観の視点を明確にもつ。(アクションリサーチ型フィールドワーク)
第9回~第10回: 教材開発システムの検討/設定した視点に基づき,協力校における授業参観を行う。発話や記述などの言語行為を中心に,ねらいに応じて授業におけるデータを把握する。(アクションリサーチ型フィールドワーク)
第11回~第12回: 教材開発システムの検討/授業研究協議の場への参加を通して、国語力の育成に関する論議の方向性を理解し、授業の成果と課題を検討する。(アクションリサーチ型フィールドワーク)
第13回~第14回: 国語力育成に関する授業改善成果の把握/事前研から事後研までの継続的な参加を通して,国語力育成の視点から授業改善の成果を把握する。授業のねらいに即して,課題の解決方法や検証データの在り方を解明する。(事例検討)
第15回: 国語力育成に関する授業改善成果の意味付け/参観した授業の成果を検証する。

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
「実際の授業」を常に念頭に置きながら,中央教育審議会答申等にみられる理念についての理解を深めるようにしてください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
1)準備学修に必要な学修時間の目安は 1時間/週 です。
2)わからないことや疑問に思ったことは自分で調べるなどして、授業の理解を深めるように努めてください。

【成績の評価】
・基準
C(合格に必要な最低限度)基準
(ストレートマスター):児童生徒の発達段階を踏まえ、付けたい力を明確にした学習指導案を作成し、その効果を検証することができる。
(現職教員):児童生徒についての多面的な理解を踏まえて学習指導案を作成し、改善効果の有無や改善方策の妥当性を検証することができる。
・方法
以下の評価の観点に則り、学習指導案作成及びプレゼンテーションの内容を中心に、総合的に判断,評価する。
・ 「国語力」についての理解の状況を,事例検討(25%)及び討論の状況(25%)によって評価する。
・ 言語活動を明確に位置付けた教材開発の実践的能力について各教科等の学習指導案作成状況により評価する(25%)。
・ 児童生徒の言語発達の理解を踏まえた授業改善の実践的能力について,プレゼンテーションと作成までの取組状況によって評価する(25%)。

【テキスト・参考書】
参考書
・ドミニク・ライチェン,ローラ・サルガニク『キー・コンピテンシー』(明石書店,2006)
・松下佳代編著『〈新しい能力〉は教育を変えるか』(ミネルヴァ書房,2010)・国立教育政策研究所『生きるための知識と技能7』(明石書店,2019)

【その他】
・学生へのメッセージ
PISA調査,全国学力・学習状況調査,国際的・全国的な学力に関する調査問題や調査結果も踏まえた授業を行います。
・オフィス・アワー
原則として月曜日~金曜日の12:00~13:00とします(各教員の研究室)。授業時間外での個別質問を希望する場合は、ウエブクラスのメッセージからその旨お知らせください。個別に時間を設定して対応します。

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