【授業の目的】
障害児の課題を改善・克服するためには、授業作りと共に教材教具の工夫や代替機能の活用が重要である。この授業では、①指導見学、②障害種別の教材・教具の工夫や代替機能の理解、③事例検討と教材・教具の開発の3単元から成り、障害児に教材を開発し活用できる実践力を身につけさせることを目的とする。指導見学では、実際の障害児の指導場面でどのような教材・教具が使われているかを学習する。障害種別の教材・教具の工夫や代替機能の理解では、それぞれの障害児の特徴に応じて、教材が開発され日常で使用されていることを学習する。事例検討と教材・教具の開発では、最初に教材・教具の事例報告をし、次に、障害児応じた教材・教具を構想しながら作成する。最後に、発表して更なる改善を図っていく。
【授業の到達目標】
1.障害児の指導見学を通して、様々な教材・教具が使用されていることが理解できる。 2.各障害児の特徴を把握し、その障害に応じた教材・教具が使用されていることを理解できる。 3.障害種別に応じた教材・教具を作成することができる。
【授業概要(キーワード)】
教材開発、教材・教具、支援具、特別支援教育
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:51~75% C-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を発表し理解してもらえるようプレゼンテーション、質疑応答、リフレクションを行う機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
共通科目(学習指導)の必修科目、特別支援学校教諭専修免許状の必修科目により、特別支援教育の指導方法や教材づくりに関する専門性を高めることを目指す。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を 04.質の高い教育をみんなに 16.平和と公正をすべての人に
【授業計画】
・授業の方法
障害児の授業を見学して、どのような教材・教具が使われているかを学ぶ。そして、実際に自分の手で教材・教具を作成して活用の仕方を学んでいく。
・日程
〇発達障害児や知的障害児等の指導見学 第1回:実際の指導場面の見学①(指導目的、指導全体計画を中心として)【川村・早川】 第2回:実際の指導場面の見学②(教材教具の工夫、教材の内容を中心として)【川村・早川】 〇障害種別の教材教具と代替機能の理解 第3回:視覚障害の理解と教材教具(視覚障害の特徴、教材教具の活用<点字、白杖、音声拡張器など>)【川村・早川】 第4回:聴覚障害の理解と教材教具(聴覚障害の特徴、教材教具の活用<手話、シンボルマークなど>)【川村・早川】 第5回:知的障害の理解と教材教具(知的障害の特徴、教材教具の活用<国語・算数教材など>)【川村・早川】 第6回:肢体不自由の理解と教材教具(肢体不自由の特徴、教材教具の活用<歩行器、車椅子など>)【川村・早川】 第7回:病虚弱の理解と教材教具(病弱の特徴、教材教具の活用<温度調整、空調設備、健康保持器具など>)【川村・早川】 第8回:学習障害(LD)の理解と教材教具(LDの特徴、教材教具の活用<読み書き・算数、絵・写真など>)【川村・早川】 第9回:注意欠陥多動性障害(ADHDの特徴、教材教具の活用<教室環境、ブロックなど>)【川村・早川】 第10回:自閉症スペクトラム障害(ASDの特徴、教材教具の活用<SSTカード、ソーシャルストーリーなど>)【川村・早川】 〇事例報告と教材教具の作成 第11回:事例検討会・・・・教材教具の事例報告(個人ごとに発表し討論する)【川村・早川】 第12回:教材教具の作成①(教材教具を作成するために障害児の特徴と課題を整理し、構想を練る)【川村・早川】 第13回:教材教具の作成②(各自で障害に応じた教材を作成する)【川村・早川】 第14回:教材教具の作成③(各自で障害に応じた教材を作成し完成させる)【川村・早川】 〇発表とまとめ 第15回:プレゼンテーション(障害種別の応じた教材教具の発表)【川村・早川】
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
実際に自分自身で教材・教具を作成することで、障害児の支援具として活用することができるかを学んでほしい。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
特別支援学校や福祉施設などで学習したり生活している障害児が、どのような代替機能を持つ教材・教具を活用しているかを見学したり調査してほしい。 予習・復習に必要な学修時間の目安はそれぞれ1週間当たり1時間程度である。
【成績の評価】
・基準
学部卒院生:教師と学習者の思考を解釈した授業記録を書ける。授業改善の議論をリードすることができる。今日的課題に応える新しい教材・教具を開発し、その到達点と課題を明確にできる。障害に応じた教材・教具を作成し、発表することができる。 現職院生:教師と学習者の思考を解釈した授業記録を書ける。授業改善の議論をリードすることができる。今日的課題に応える新しい教材・教具を開発し、その到達点と課題を明確にできる。障害児の課題分析を通して、障害の改善・克服となるような適切な教材・教具を障害児に適応しながら発表することができる。
・方法
以下の観点から、授業中の発表や事例報告、教材教具の作成などを中心に総合的に評価します。 ①障害児には、その障害種別に応じた様々な教材・教具が使用されていることを理解したか。(発表・報告30点) ②障害児を想定しながら、その障害の課題の改善・克服のための教材教具を作成し完成させることができたか。(作成70点)
【テキスト・参考書】
参考書:三浦光哉編著『知的障害・発達障害の教材・教具117』(ジアース教育新社,2016)
【その他】
・学生へのメッセージ
教材・教具として幾つか作成した支援具を教育現場に持ち帰って活用してください。
・オフィス・アワー
相談がある場合には、事前に川村修弘および早川隆までメールで連絡をしてください。
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