学校で行われている介入の悪循環の構造を理解し、効果的な教育的援助サービスについて整理し，一次的・二次的援助サービスを効果的に行うことができるようにする。また，解決志向アプローチの考え方とその具体的な方法を，演習を通して学習し，二・三次的援助サービスを実践できるようにする。

(1)学校の課題を整理し，児童生徒の実態や特性に応じた心理教育的援助サービスについて説明することができる。
(2)子供の特性に応じたかかわり方と具体的なコミュニケーション技法を身につけることができる。不登校などへの支援の実践的方法として，チーム援助とそれを機能させる解決志向アプローチ（SFA）の技法を身につけることができる。
(3)学校における心理教育的援助サービスを包括的に機能させる方向性を検討し，議論することができる。

一次的・二次的援助サービス，ＳＦＡの考え方と基本技法，“問題モード”から“解決モード”へ

A-1．ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。：1～25％
B-1．学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。：1～25％
D-1．演習、実習、実験等を行う機会がある。：1～25％
B-2．事前学習（下調べ、調査等含む）をした上で、他の学生の意見を尊重しつつグループとしての結論を出すために議論をする機会がある。：26～50％
D-3．習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型の演習、実習、実験等を行う機会がある。：1～25％

共通科目群の「教育相談・生徒指導」に位置する必修科目である。本研究科の理念である「理論と実践の融合」およびすべてのＤＰに関連する科目である。

04.質の高い教育をみんなに
10.人や国の不平等をなくそう

演習（グループ討議，具体的場面での支援に関する事例研究，ロールプレイ等を含む）を中心に進めます。

第１回：オリエンテーション　学校の抱える生徒指導・教育相談の諸問題
第２回：心理教育的援助サービスとは
第３回：心理教育的援助サービスの実際
第４回：援助スキルを磨く「カウンセリング」
第５回：援助スキルを磨く「援助チーム」
第６回：前半のまとめとSFA（解決志向アプローチ）について
第７～10回：SFAの演習「リソース探し，例外探し，未来志向，アプローチ外在化」
第11，12回：解決に向けての演習　「ピアサポート，保護者対応」
第13，14回：チームで援助する　「チーム会議」
第15回：全体的なまとめと学習の成果と課題について考察

新しい考え方と方法を学ぶとき，これまでの自分の中に根付いた考え方と方法がその学習に抵抗を示すときがあります。その中で，自分なりにどう整理していくかが重要です。また、毎時間リフレクションを通して，自己の変容や他者理解を図っていきます。

1）準備学修に必要な学習時間の目安は以下のとおりです。
　１時間／週
2）テキストや配付された資料において，わからないところや専門用語など，調べるなどして，授業の理解を深めるように努めてください。

最終評価では，それぞれの理論や概念の理解と学びにおける取り組みへの応用，内面的には実践への意欲と教育観・子ども観等の見直しと整理の進み方などに評価のウエイトを置きます。
Ｃ（合格に必要な最低限度）基準：実態に応じてカウンセリングを実践できる(現職)。カウンセリングの意義とその方法を説明できる(ＳＴ)。その応用可能性や自己の見直しの程度や実践への可能性については，より発展的な評価（Ｓ・Ａ・Ｂ）に対応するものとします。

以下の評価の観点に則り，総合的に評価する。
①主体的に討論や演習に参加し，集団へ貢献しているか（毎レポート，30%）
②演習における発表の内容等が，設定された目標に到達しているか（演習，20%）
③学校における援助サービスについて理化し，自己の変容がみられたか（50％）【レポート課題】

［テキスト］
黒沢幸子(著)『スクールカウンセリング・ワークブック』金子書房2011
石隈利・家近早苗(著)『スクールカウンセリングのこれから』創元社2021
〔参考書］
佐藤節子（著）『ホワイトボードでできる解決志向のチーム会議』図書文化2021
赤坂真二（著）『アドラー心理学で変わる学級経営』明治図書2019
森俊夫・黒沢幸子(著)『解決志向ブリーフセラピー』ほんの森出版2006
嶋﨑政男（著）『入門学校教育相談』学事出版2014
河村茂雄(著)『日本の学級集団と学級経営』図書文化社2010

自分の教育実践を束ねることのできる理論的枠組みをもてるようになることを願っています。

授業について質問がある場合は、ウェブクラスのメッセージからお知らせください。折り返し、お返事いたします。学校現場における人間関係に関する相談も可能です。