障害のある子どもの学校学級経営
 Educational Administration of Handicaped Chirdren
 担当教員:川村 修弘(KAWAMURA Nobuhiro)
 担当教員の所属:大学院教育実践研究科
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):特別支援学校、特別支援学級、通級指導教室、通常の学級での担任経験のある教員が、その学級経営、教育課程、障害の特徴と教育的対応について、実践的に講義する。
 開講学年:1年,2年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
 特殊教育から特別支援教育へと転換されたことにより、従来の特殊教育対象の障害(視覚、聴覚、知的、肢体不自由、病弱、言語、情緒)だけでなく、新たに発達障害(LD、ADHD、ASD)を含めた全ての障害児の特徴を理解していく。また、インクルーシブ教育システムにより、障害児と普通児の共生社会を実現していくことも考察していく。このようなことから、それぞれの障害児に対する教育内容・方法を総合的に捉えながら学級経営を考察していくことを目的とする。それぞれの授業では、理解を深めさせるために、模擬体験やビデオ鑑賞を通して障害のイメージを捉えさせる。

【授業の到達目標】
 1.特別支援教育への転換やインクルーシブ教育システムの内容を把握することができる。
 2.各障害児の特徴を把握し、その障害に応じた具体的な指導が理解できる。
 3.障害児における個別の教育支援計画と個別の指導計画を作成することができる。

【授業概要(キーワード)】
 学校経営、学級経営、特別支援教育、障害児指導法、発達障害

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25%
D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:51~75%
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
 共通科目(学校と学級の経営)の必修科目、特別支援学校教諭専修免許状の必修科目により、特別支援教育の学級経営に関する高度で専門的な対応ができる幅広い知識を習得する。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を
04.質の高い教育をみんなに
16.平和と公正をすべての人に

【授業計画】
・授業の方法
 講義だけでなく、模擬体験やビデオ視聴をしながら障害児の学校学級の経営を学んでいく。
・日程
 第1回:障害児の人権と共生教育(ノーマリゼイション、障害者の人権、インクルーシブ教育システム)
 第2回:日本の障害児教育の歴史的変遷(戦前戦後における障害児教育、特殊教育から特別支援教育への転換)
 第3回:校内支援体制と学校学級経営 (障害の見極め、専門家チームの巡回相談、関係機関との連携、特別支援教育コーディネーターの役割)
 第4回:視覚障害児の特徴と理解および学級経営(視覚障害の理解と教育的対応、点字の意味理解と点字の読み実技、ビデオ・スライド視聴)
 第5回:聴覚障害児の特徴と理解および学級経営(聴覚障害の理解と教育的対応、手話の意味理解と手話を使った会話の実技、ビデオ・スライド視聴)
 第6回:知的障害児の特徴と理解および学級経営(知的障害の理解と教育的対応、言語発達遅滞・ダウン症等、ビデオ・スライド視聴)
 第7回:肢体不自由児の特徴と理解および学級経営(肢体不自由の理解と教育的対応、脳性麻痺・多指症等、ビデオ・スライド視聴)
 第8回:病虚弱児の特徴と理解および学級経営(病虚弱の理解と教育的対応、筋ジストロフィー・血友病等、ビデオ・スライド視聴)
 第9回:学習障害児(LD児)の特徴と理解および学級経営(学習障害の理解と教育的対応、読み・書き・計算障害等、模擬体験、ビデオ・スライド視聴)
 第10回:注意欠陥多動性障害児(ADHD児)の特徴と理解および学級経営(注意欠陥多動性障害と教育的対応、多動性・衝動性・不注意等、模擬体験、ビデオ・スライド視聴)
 第11回:自閉症スペクトラム障害児(ASD児)の特徴と理解および学級経営(自閉症スペクトラム障害と教育的対応、社会性・想像性、模擬体験、ビデオ・スライド視聴)
 第12回:言語障害児・場面緘黙児の特徴と理解および学級経営(言語障害と教育的対応、構音障害、場面緘黙、ビデオ・スライド視聴)
 第13回:二次障害としての不登校の特徴と理解および学級経営(不登校と教育的対応、不登校改善会議、別室登校、引きこもり、事例紹介)
 第14回:個別の教育支援計画と個別の指導計画の作成(書式、障害種別に応じた支援内容、関係機関との連携)
 第15回:まとめとプレゼンテーション(障害種別に応じた教育的対応と学校学級経営の方向性)

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
 模擬体験やビデオ視聴を通して、障害児をより深く理解すると共に、実際の学級の場面で活用できるようになってほしい。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
 これまでの障害体験(担任・担当、ボランティア等)、あるいは授業で実施した障害体験を教育現場や実生活に生かしてほしい。
 予習・復習に必要な学修時間の目安は、それぞれ1週間当たり1時間程度になります。

【成績の評価】
・基準
C(合格に必要な最低限度)基準 
 学部卒院生:子供の特性に応じた学校学級経営案を作成できる。学校経営の目標を作成できる。各障害児の特徴的な内容を理解し、その課題を考察しながら学級経営の方向性を示すことができる。
 現職院生:子供の特性に応じた学校学級経営案を作成できる。学校経営の目標を作成できる。各障害児の特徴的な内容を理解するとともに、簡略化された個別の支援計画を作成することができる。
・方法
 以下の観点から、授業中の口頭による発表や討論、支援計画のレポートなどを中心に総合的に評価します。
 ①各障害の特徴やその具体的支援方法を理解することができたか。(30点)
 ②模擬体験については、講義の中でディスカッションを積極的に行ったか。(30点)
 ③支援計画の作成については、障害種別に合致した目標-内容-方法-評価が一体となった具体的な計画であったか。(40点)

【テキスト・参考書】
テキスト:川村修弘・三浦光哉『特別支援教育総論』(ジアーズ教育新社,2024)
販売については、大学生協から購入してください。
参考書:玉村公二彦・清水貞夫・黒田学・向井啓二編『キーワードブック特別支援教育』(クリエイツかもがわ,2019)。

【その他】
・学生へのメッセージ
 通常の学級に在籍している各種別の障害児への基本的な対応と学級経営について、理論と実践の両面から学んでほしい。「教育実践実習」の期間には休講となるので補習することがあります。
・オフィス・アワー
 相談がある場合には、事前に川村までメールで連絡をしてください。

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