【授業の目的】
本授業は、地域に生きる社会人としての教員の役割、倫理を強く自覚した、コミュニケーション力のある教員を養成することを目的とする。 道徳心や公共の精神を重視する教育基本法に則り、第7次山形県教育振興計画の目標「ウェルビーイングを目指し、多様性あふれる持続可能な社会の実現を担う山形の人づくり」を具体的に実現できる教員を養成する。「体罰の根絶」「いじめ・不登校の未然防止」「保護者対応」「働き方改革」等の学校現場における今日的課題について、グループで検討することによって、社会情勢の理解しその状況に対応が出来る教員としての資質・能力の向上を図る。
【授業の到達目標】
「いじめ・不登校未然防止」「体罰の根絶」「保護者対応」「働き方改革」等の学校現場における今日的課題についての講義と演習を通じて、下記3つのことをできるようにする。 1)現職教員院生の事例をもとにした学校現場における今日的課題について、経験や年代の違いを越えて討議することができる。(態度・習慣) 2)学校現場における今日的課題への対策提案について、「事例→問題の所在→方向性の模索・対策」を組み入れたロールプレイングで表現することができる。(技能) 3)現代社会における学校教育の役割について深めたことをもとに、教員としての人間味のある賢明な判断力、高い倫理観、強い使命感をレポートにまとめることができる。(知識・理解)
【授業概要(キーワード)】
教員の倫理、コミュニケーション力、道徳心、体罰、いじめ、保護者との連携、教員の在り方・働き方
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25% D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25% A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25% B-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、他の学生の意見を尊重しつつグループとしての結論を出すために議論をする機会がある。:1~25% D-2.事前学習(下調べ、調査等含む)で習得した知識等を踏まえて演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25% A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25% C-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を発表し理解してもらえるようプレゼンテーション、質疑応答、リフレクションを行う機会がある。:26~50%
【科目の位置付け】
(共通科目で必修) ・本授業は、学校における今日的な課題解決に対し、学部卒院生は実践的指導力を、現職教員院生は指導的役割を果たすスクールリーダーとしての資質・能力を身につけるものである(山形大学大学院教育実践研究科ディプロマ・ポリシー)。 ・本授業は、現職教員院生と学部卒院生の学び合い等を効果的に実施し、実践的指導力の育成に特化した教育内容、事例研究、ディベート、ロールプレイング等を実施するものである(山形大学大学院教育実践研究科カリキュラム・ポリシー)。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに 08.働きがいも経済成長も
【授業計画】
・授業の方法
ディベート、ロールプレイング、プレゼン、省察等を中心としたアウトプット型の学習活動で、主体的、対話的で深い学びに向かう授業を行う。具体的には、「いじめ・不登校防止」「体罰の根絶」「保護者対応」「働き方改革・職場づくり」それぞれの授業において、下記の計画(方法)で進める。 1)学校現場における今日的課題についての講義・解説 2)現職教員院生の事例をもとにしたグループディスカッション 3)今日的課題に対する教員のあり方・生き方に対する探究 4)探究した内容をロールプレイング、プレゼンテーション等で提案し、討論 5)これまでの学習をもとにグループ及び個人での省察
・日程
第1回 :本授業の目的・概要についての説明(オリエンティーション) 学習テーマ1:体罰と教員の倫理 第2回:体罰と教員①/テーマの問題点についての考察 第3回:体罰と教員②/学校現場や自己体験の振り返り 第4回:体罰と教員③/ロールプレイング 第5回:体罰と教員④/省察(ディベートと個々の省察)
学習テーマ2:保護者と教員の倫理 第6回:保護者対応と教員の倫理①/テーマの問題点についての考察 第7回:保護者対応と教員の倫理②/学校現場や自己体験の振り返り 第8回:保護者対応と教員の倫理③/ロールプレイング
学習テーマ3:教員の在り方・働き方 第9回:教員の在り方・働き方①/テーマの問題点についての考察 第10回:教員の在り方・働き方②/働き方改革の中での教員の在り方の協議 第11回:教員の在り方・働き方③/プレゼン・総合交流と省察
学習テーマ4:いじめ問題と教員の倫理 第12回:いじめ問題対応と教員①/テーマの問題点についての考察 第13回:いじめ問題対応と教員②/学校現場や自己体験の振り返りいじめ問題対策 第14回:いじめ問題対応と教員③/ロールプレイング 第15回:いじめ問題対応と教員④/省察(ディベートと個々の省察)
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
授業時間では、下記のことに取り組んで下さい。 1)授業で示されるパワーポイント、資料を参考に講義内容をノートに筆記するなどして内容の理解に努めて下さい。 2)学校現場における今日的な課題「いじめ・不登校防止」「体罰の根絶」「保護者対応」「働き方改革」等について、事例をもとに現職教員院生と学部卒院生による活発なディスカッションをして下さい。 3)グループによるロールプレイングを通して課題を探究していきます。提案されたロールプレイングを通して全体討議を行い、教員としての経験、児童・生徒としての経験など多様な立場から考察、提案テーマに対する考えを深めていきます。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
授業時間外で各自、下記のことに取り組むこととする。授業のための情報収集や準備のために必要な学修時間の目安は週あたり1時間程度です。 1)学校現場における今日的な課題に関して、国や県等がホームページ上に掲載している資料(テキスト・参考書)について、各課題における授業の前に読んでおくなどの予習をしてください。 2)今日的課題に関する問題提起のロールプレイングについて、発表の準備は各グループで時間を確保し協力して進めてください。 3)各課題探究後に学習のまとめ・表現としてレポートを課します。個人レポート課題の提出に向けて、必要な文献を読んできてください。 4)事例や討議・検討の中で、「自分だったら」「自分の学校だったら」「自分の子どもや兄弟だったら」など、「自分ごと」として多様な立場や角度から事象を捉える、考えることを意識するよう心がけてください。
【成績の評価】
・基準
C基準(最低合格基準) 「授業の到達目標」に準じて、下記のことを最低合格基準とする。なお、到達目標の内容に応じては、現職教員院生と学部卒院生、それぞれの基準を設定する。 1)現職教員院生の事例をもとにした学校現場における今日的課題について、討議することができる。(態度・習慣)について (最低合格基準) 〈現職教員院生〉今日的課題に対する事例の提示と質問に対する回答ができる。 〈学部卒院生〉 事例に対して質問したり、学校の対応についての意見を言える。 2)学校現場におけるおける今日的課題への対策提案について、「事例→問題の所在→方向性の検討・対策」を組み入れたロールプレイングで表現することができる。(技能)について (最低合格基準) 〈共通〉提案テーマの設定、その事例、問題の所在、対策を踏まえたシナリオを考えていること、そして、そのことを協力してロールプレイングで表現していること、さらには、質問等に回答できる。 3)現代社会における学校教育の役割について深めたことをもとに、教員としての賢明な判断力、高い倫理観、強い使命感をレポートにまとめることができる。(知識・理解)について (最低合格最低基準) 〈現職教員院生〉実務経験から自己課題を設定し、授業及び文献等で学んだことをもとに今後の教員としてのあり方・生き方をレポートにまとめることができる。 〈学部卒院生〉学部での学習から自己課題を設定し、授業及び文献等で学んだことをもとに教員としてめざすべき姿をレポートにまとめることができる。
・方法
学校現場の今日的な課題ごと、3つの到達目標に準じて下記により評価します。 1)事例に基づくディスカッション(20%) 2)協議・プレゼン・3回のロールプレイング(32%) 3)課題探究後の省察としての個人課題レポート(48%)
【テキスト・参考書】
下記の文献から必要な資料を抜粋し授業に活用します。 『信頼される学校教育を推進するために』(2011 山形県教育委員会) 『体罰等の根絶と児童生徒理解に基づく指導のガイドライン』(2013 山形県教育委員会) 『研修テキスト:保護者との信頼関係に基づく安心・安全な学校づくりのために』(2011.3 山形県教育センター) 『いじめの防止等のための基本的な方針』(2017.3.16 文部科学省) 『学校における働き方改革に関する総合的な方策についての中教審答申』(2019.1.25 文部科学省) 『若手教員育成ハンドブック 若手教員とともに育つ』(2021.3 山形県教育委員会) 『不登校児童生徒支援ハンドブック』(2022.3 山形県教育委員会)
【その他】
・学生へのメッセージ
教員は、自分も周りも幸せにすることができる存在です。 そのためには、相手の立場や苦しさを理解したり、教師自身が自ら問いを立て、「より良い方策を模索」し、無限の可能性を持つ子ども達を地域を豊かにする存在でなければなりません。そうあるためには、どうあるべきか、様々な事例をとおして、共に考えていきましょう。
・オフィス・アワー
授業の進め方に関すること、教員としての自己課題や学校の教育課題等に関する相談は、担当教員代表の澁江へまで問い合わせ下さい。 授業時間外に学生の質問に答える「オフィスアワー」を、澁江研究室(地教2号館4階437号室)において、毎週授業日(火曜日)午後に設けます。会議や出張等で不在となることもあるので、確実に面談した場合は事前に予約をお願いします。連絡先は、初回の授業でお知らせします。
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