学校研究推進の実際と課題
 Facts and Tasks of Research Promotion at School
 担当教員:澁江 学美(SHIBUE Manabi),井上 敦夫(INOUE Atsuo),金澤 彰裕(KANAZAWA Akihiro)
 担当教員の所属:大学院教育実践研究科
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):担当3名全員が、学校教育における教員、研究主任として実務を行っている。また教育行政職、研究発信校において学校研究の指導、助言を行うなど豊かな経験を持っている。現在も各学校の研究についての指導・助言を行っている。この経験を活かし、学校の現状と課題を踏まえた学校研究の進め方について実践力を身につけていくようにする。
 開講学年:1年,2年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分:分野別選択科目(学校力開発分野) 
【授業の目的】
本授業は、学校教育の質を高める上で,また授業改善を行う上で不可欠の要素である学校研究を推進するスクールリーダーとして必要な資質や能力を身に付けることを目的とする。

【授業の到達目標】
授業の目的に準じ、下記により到達目標を設定する。
1)学校研究推進上の実際と課題等について「現状認識」「課題」「課題の要因分析」「今後の展望」の視点から整理できる。(知識・理解)(技能)
2)アクションリサーチ型フィールドワークにより学校における授業研究会の実践を考察し、討論することができる。(態度・習慣)
3)勤務校における課題題解決のために授業研究の具体的な推進方法を考えることができる。
4)資質・能力を育むカリキュラム・マネジメントを基軸にした学校研究について理解することができる。(理解)

【授業概要(キーワード)】
学校研究推進の課題 学校研究推進の基本的な考え方 アクションリサーチ型フィールドワーク カリキュラム・マネジメント

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25%
C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:1~25%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%
C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:1~25%
C-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を発表し理解してもらえるようプレゼンテーション、質疑応答、リフレクションを行う機会がある。:26~50%

【科目の位置付け】
(分野別選択科目:学校力開発分野)
・この授業は,学校研究についての的確な現状理解に立って望ましいあり方について考察することのできる専門的な能力を身に付けるものである。
(山形大学大学院教育実践研究科ディプロマ・ポリシー)。
・この授業は、「理論と実践の融合」をめざし、アクションリサーチ型フィールドワークを実施するものである(山形大学大学院教育実践研究科カリキュラム・ポリシー)。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに

【授業計画】
・授業の方法
講義、演習、フィールドワーク、討論等、下記により授業を進めていきます。
1)講義と思考ツールを活用したディスカッションにより、授業研究の現状と課題をより深く認識していく。
2)アクションリサーチ型フィールドワーク(山形市内学校等と連携)により、学校経営と一体的に進める授業研究のあり方を考察していく。
3)講義とワークショップにより、勤務校における授業研究の推進方法について考察・立案していく。
4)資質・能力を育むカリキュラム・マネジメントに基づく授業研究の進め方の今日的な意味・意義を理解するとともに、推進上の課題を考察していく。
・日程
第1回:オリエンテーション
学習テーマ1【授業研究の現状と課題】(講義・演習・討議)
第2回:授業研究の評価と考察①-現状認識-
第3回:授業研究の評価と考察②-一般的課題-
第4回:授業研究の評価と考察③-課題の要因分析-
第5回:授業研究の評価と考察④-今後の展望-

学習テーマ2【学校研究推進の調査と考察】(実習・討議)
第6回:アクションリサーチ型フィールドワーク①
・山形市内小学校における授業研究の進め方を調査
第7回:アクションリサーチ型フィールドワーク②
第8回:・山形市内小学校における授業研究会・事後研究会参加
(授業・事後研究会の観察、分析・考察)
第9回:アクションリサーチ型フィールドワークの考察

学習テーマ3【提案、勤務校における授業研究の進め方】(講義・演習・討議)
第10回:授業研究を進めるための視点①
・勤務校における校内授業研究の課題整理
第11回:授業研究を進めるための視点②
・勤務校における校内授業研究の推進方法の考案と作成
第12回:授業研究を進めるための視点③
・校内授業研究推進方法の提案・発表

学習テーマ4【カリキュラム・マネジメントを基軸にした授業研究】(講義・討議)
第13回:新学習指導要領とカリキュラム・マネジメントの理解
第14回:カリキュラム・マネジメントを基軸にした授業研究の進め方
・先行研究とその事例を考察
第15回:総合省察

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
本授業は、学校研究推進の現状と課題に把握し、勤務校の課題を設定、課題解決の情報収集、第一次プランの作成、発表、議論、最終プランの作成と探究的に進めるので、下記のことに努めて下さい。
1)授業で示される資料、パワーポイントを参考に講義内容をノートに筆記するなどして内容の理解に努めて下さい。
2)課題探究における情報収集として、勤務校の学校評価や取組等について管理職と話をし、そのことをプラン作成に活用して下さい。
3)課題解決のプランは根拠をもとに論理的に発表すると共に、聞き手は積極的に質問するよう心がけてください。
自校や先駆的実践の情報収集等、1時間程度の事前準備の時間が必要となります。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
効果的な学習にするために,学校の現状を実態に即して丁寧に把握し,その解決策を具体的に構想するように努めることが大切です。
1)勤務校の研究概要及び学校研究の進め方を把握しておいて下さい。
2)テキスト,参考文献等を読み,自ら学校教育の成果と課題を整理してください。また、フィールドワークをとおしての観察を丁寧に記録し考察し、授業で討議できる準備をしてください。

【成績の評価】
・基準
C(合格に必要な最低限度)基準
授業における到達目標に対応する合格基準は下記のとおりです。
1)学校研究推進上の実際と課題等について、思考ツールを活用して「現状認識」「一般的に言われている課題」「課題の要因分析」「今後の展望」の視点から整理し、そのことを説明できる。
2)アクションリサーチ型フィールドワークで、校長や研究主任等への調査や授業研究会への参加を通して、学校研究推進の理解と課題等を考察し、レポートにまとめることができる。
3)課題題解決のために授業研究の具体的な推進方法について、勤務校等の「課題整理」「課題解決」「実践」の視点からプランを作成し説明できる。
4)資質・能力を育むカリキュラム・マネジメントを基軸にした授業研究の意味・意義を理解するとともに、推進のための課題等を考察し、レポートにまとめることができる。
・方法
授業は,複数の教員による共同方式により行う。担当教員は,授業の到達目標及びテーマの観点から,作成した改善プラン等を下記により評価します。
1)授業研究の現状と課題の整理と説明(25点)
2)市内小学校等の授業研究会の考察レポートと討議(25点)
3)授業研究の現状と課題を踏まえた今後の進め方の提案書(25点)
4)資質・能力を育むカリキュラム・マネジメントの理解と推進上の課題の考察のレポート(25点)

【テキスト・参考書】
参考書①:・日本教育方法学会(編)『授業研究と校内研修-教師の成長と学校づくりのために-』(図書文化社,2014年)
参考書②:・福岡県教育センター(編)『校内研修のすすめ方』(ぎょうせい,2013年)

【その他】
・学生へのメッセージ
主に現職教員院生の履修を想定していますが,学部卒院生でも関心がある者は受講可能です。授業や研究の批評・批判家ではなく、推進者を育てるための授業を行います。
・オフィス・アワー
授業の進め方に関すること、学校研究に関する質問等は、担当教員の澁江へまで問い合わせ下さい。授業時間外に学生の質問に答える「オフィスアワー」を、澁江研究室(地教2号館4階437号室)において、毎週授業日(火曜日)に設けます。会議や出張等で不在にすることもあるため、確実に面談した場合は事前に予約をお願いします。連絡先は、初回の授業でお知らせします。

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