学社融合の実践と課題
 Practice and Tasks of School/Society Fusion
 担当教員:江間 史明(EMA Fumiaki),井上 麻美子(INOUE Mamiko)
 担当教員の所属:大学院教育実践研究科
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):学校現場における教諭及び管理職の経験を有する実務家教員が、その経験を活かして、学校と地域の連携について指導を行う。
 開講学年:1年,2年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
地域の教育力の低下が指摘される中で、学校と家庭・地域社会が適切な役割分担と連携を図りつつ、学社融合を円滑に推進していくことが課題となっている。これは、学校と地域社会の間に、双方にメリットが生まれる関係をつくることを意味する。本授業は、山形県戸沢村の地域づくり学校づくりの実践に参加し、学社融合の実践の効果とそれを支えるシステムについて学ぶ。学校と地域社会の学習活動をコーディネートする教師の役割と方法の基礎を、学社融合の実践をもとに身につけることを目的とする。

【授業の到達目標】
1 学社融合実践の事例から、学校と地域の連携による教育効果を、自分の言葉で説明できるようになる。
2 学校と地域社会の学習活動をコーディネートする教師の役割を、実地調査をもとに説明できるようになる。
3 学校(現任校等)と地域を結ぶアクションプランを提案できるようになる。

【授業概要(キーワード)】
学社融合、地域連携、地域の教育力

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:76~100%

【科目の位置付け】
教職の専門性の高度化に対応して学校力開発分野に設けられた「分野選択科目」の一つである。地域社会を連携して学校改革を進められる能力を育成することを目指す。エリアキャンパスもがみの専門科目として、戸沢村をフィールドとして活用する。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに

【授業計画】
・授業の方法
○戦後日本の「地域社会と教育」実践を歴史的にたどると同時に、今日の学校地域支援本部や学校と地域の連携実践の検討を行い、今日の学社融合の課題について理解する。あわせて「学力」「カリキュラム」概念の再検討を行う。
○ 学社融合の実践が子どもの育ちと保護者・地域住民の意識に与える影響については、山形県戸沢村のアンケート調査を検討する。
○以上をふまえて戸沢村での調査実習を行う。戸沢村における学社融合の実践に参加するとともに、地域住民に対する面接調査を行う。学校のコーディネーターの役割については、現地において実務家教員が担当する。
○ 受講者のとりあげた学校および地域を対象にしたアクションプランとしてまとめる。
・日程
第1回: オリエンテーション/学社融合とは何か、山形県戸沢村の実践から(江間、井上)
第2回: 山形県におけるコミュニティスクールと地域学校協働活動の現状と課題(井上、江間)
第3回: イギリスにおける学校と地域・保護者の関係を『ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー』を用いて検討する。/(江間、井上)
第4回: 『物語る校長』の検討①(江間、井上)
第5回: 『物語る校長』の検討②(江間、井上)
第6回: マイヤー『学校を変える力』の検討①(江間、井上)
第7回: マイヤー『学校を変える力』の検討②(江間、井上)
第8回: 実地調査実習①/戸沢村への実習を行う。地域住民との懇談会と面接調査,(江間,井上)
第9回: 実地調査実習②(江間、井上)
第10回: 実地調査実習③(江間、井上)
第11回: 実地調査実習の「ふり返り」レポートの相互検討(江間、井上)
第12回: 学校と地域をむすぶアクションプラン発表準備(江間、井上)
第13回: 学校と地域をむすぶアクションプラン発表準備(江間,井上)
第14回: 小学校アクションプラン・レポート発表と検討(江間,井上)
第15回: 中学高校アクションプラン・レポート発表と検討(江間,井上)

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
学社融合とは、学校が教育活動に地域の人材を活用したり、地域が学校の子どもを地域活動に参加させようとする関係とは、次元が異なるものです。「学校と地域の互恵性」(相互にWin,Win の関係となること)をどのように具体化するかを考えながら、授業にのぞんでください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
調査実習が講義の一つの中心である。そこで質問したり、考えたりしたい課題を前半の講義で見つけるようにしてください。地域の教育力は、ある地域にはあって、別の地域にはない、という実体的なものではない。その地域でどのような学校と地域によるプロジェクトが動いているかによります。そうしたプロジェクトのありようとそれを支える教師の役割を考えることに、毎回の授業内容を関連づけていってほしいです。
授業外の学修時間の目安は、1コマの授業について、予習準備が90分、復習が90分です。

【成績の評価】
・基準
C(合格に必要な最低限度)基準:
学部卒院生:学校と地域連携の教育効果を具体化するプラン(地域教材など)を提案できる。
現職院生:学校と地域連携の教育効果と教師の役割を自分の言葉で説明し、学校と地域をむすぶアクションプランを現任校を対象に作成できる。
・方法
・文献検討レポート 36%
・実地調査(戸沢村の学社融合)にもとづくレポート 24%
・学校と地域をどう結びつけるかについてのアクションプランレポート 40%

【テキスト・参考書】
・デボラ・マイヤー『学校を変える力 イースト・ハーレムの小さな挑戦』岩波書店、2011年
・ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトでちょっとブルー』新潮社、2019年
・牧田秀昭・秋田喜代美『物語る校長 新しい教育リーダーシップ』左右社、2021年

【その他】
・学生へのメッセージ
くらしや地域との関係があって、子どもの力は伸びます。学校や教室から自分の視野を広げるようにしてください。
・オフィス・アワー
江間:後期水曜の9:00-10:00です。場所は、地域教育文化学部2号館の江間研究室。

22114210-2025-18-29421