ICT活用と授業改善
 ICT Use and Class Improvement
 担当教員:佐久間 大(SAKUMA Dai)
 担当教員の所属:地域教育文化学部地域教育文化学科児童教育コース
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:1年,2年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
  昨今の学校教育では児童・生徒の学習環境を支援するため、ICT機器・環境の整備が進められている。ICT機器・環境の構成を理解し、活用することで、教師の授業設計や児童・生徒の学習の水準をより高めることができる。そこで本講義の目的は、ICT機器・環境を活用した授業の設計・実施・評価に求められる知識と技術について、理論と実践を融合させた学びの場を提供することである。具体的には、ICT機器・環境を活用した演習を通じて、授業設計-実施-評価のプロセスを学び、授業改善のための理論的枠組み(視聴覚教育、CAI、CSCL、遠隔教育など)と実践的手法(コンセプトマッピング、授業分析、データベース活用)を統合的に理解することを目指す。

【授業の到達目標】
 本講義を通じて、以下の4点を達成する。
(1)教師及び児童・生徒の学びの周辺にあるICT環境の状況を把握できる
(2)自身が設計した学習課題の特徴を言語化し、適切なICT機器・環境を活用ないし設定できる
(3)各授業・学習へのICT機器・環境の効果的な利用方法を考案できる
(4)授業・学習を改善するための思考の枠組みを身に着ける
 これらを達成することで、受講者の学校におけるICT機器・環境の特徴と教育内容との関連や配慮事項や操作・設定に関する技能(知識・技能)、効果的に活用するための分析力・意思決定力(思考・判断・表現)、そして授業改善に対する継続的な意思・意欲の形成(主体的に学ぶ力)の向上を図る。

【授業概要(キーワード)】
授業研究、授業改善、教材研究、学習環境、ICT

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25%
C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:1~25%
D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%
B-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、他の学生の意見を尊重しつつグループとしての結論を出すために議論をする機会がある。:1~25%
C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:1~25%
D-2.事前学習(下調べ、調査等含む)で習得した知識等を踏まえて演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%
B-3.習得した知識を活用する中で、学生グループがテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、互いの考えを理解し合う中から新たに独自の意見や考え方を創り出す機会がある。:1~25%
C-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を発表し理解してもらえるようプレゼンテーション、質疑応答、リフレクションを行う機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
教員の免許状取得(大学が独自に設定する科目:教育の基礎的理解に関する科目)の選択科目
この授業は、学習科学と教科内容の特段な専門性にもとづき、授業改善を進めるこができる(教育実践研究科ディプロマポリシー)ことに寄与する科目である。そのため、学習の構造・メカニズムに関する学習科学を基盤として、確かな「授業力」を備えた教員を養成するため、ICTを活用する資質・能力を学び合いにより相互に実践的指導力を習得するものである。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに

【授業計画】
・授業の方法
 本講義では、前半では、教師の授業設計ないし児童・生徒の学びの周辺にあるICT機器・環境の状況を把握・活用するための知識・技能を獲得させると共に、授業設計-実施―評価及び改善の手法の習得を目指すため体験的な学習課題・活動を提供する。例えば、思考支援ツールとしてのコンセプトマップを用いるなどして、単元設計・授業設計(教材開発含む)を行う機会を提供する。
 また、後半では遠隔通信技術を用いた模擬授業を実践させると共に、授業・学習記録を用いた分析(S-T分析、S-P表分析など)の機会を与えることで、授業改善のためのアイデアを自ら創り出す体験を提供する。
・日程
第1回:オリエンテーションと教育DX:授業改善の視点とデジタル変革
第2回:デジタル教材とアプリの活用:インターネット・マルチメディア教材の可能性
第3回:学習ログとAIの教育活用:データを生かした指導の実際
第4回:遠隔教育と協働学習:CSCLとインターネット活用の実践
第5回:情報モラル・リテラシーとインクルーシブ教育
第6回:教育測定・評価の理論と実際(テストデータ、e-ポートフォリオ含む)
第7回:授業デザインの基本:目標設定・学習活動・CAIを活用した教材設計
第8回:単元設計ワーク:目標に基づいた学習の構造化
第9回:授業設計ワーク:具体的な指導案の作成
第10回:教材開発・授業準備(デジタル教材を含む)
第11回:模擬授業(1):講義-演習系の授業実践
第12回:模擬授業(2):探究的な授業の実践
第13回:ビデオ記録を用いた授業分析と省察(S-T分析、刺激再生法含む)
第14回:学習評価の実践演習(S-P表の活用含む)
第15回:まとめと振り返り:ICT機器・環境と学びの最適化

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
 学校におけるICT機器・環境の利活用について、問題意識をもって授業に取り組むようにしてください。与えられた条件(設備・時間)の中で授業を構想し発表してください。発表者以外の人は積極的に質問するようにしてください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
 授業時間外において、ICTを活用している県内の学校を施設見学・授業参観等で訪問すること、授業におけるICTの活用に関する学外の有識者を招聘して講習を実施することがあります。
 授業の予習・復習に必要な学修時間の目安は、予習に1コマ90分、復習に1コマ90分の見当になります。具体的な内容には以下のとおりです。
1)適宜、予習・復習レポートを課します。課題に沿って、設定された必要文字数にまとめて提出できるよう、毎回、しっかり準備するようにしてください。
2)指定された課題は必ず提出するとともに、テキストや参考文献に目を通して、内容の適切な理解に努めるようにしてください。

【成績の評価】
・基準
○成績評価基準:C(合格に必要な最低限度)基準
学部卒院生:、ICT機器・環境を活用した授業の設計・実施・省察(模擬授業を含む)ができる。
現職院生:学習者の特性に応じて、、ICT機器・環境を活用した授業の設計・実施・省察(模擬授業を含む)ができる。
・方法
 定期試験および授業中の受講態度を含めて総合的に評価します。
 レポート・作成した教材(80%)計2回、授業時の発表・模擬授業(20%)を合わせて総合的に評価します。

【テキスト・参考書】
[テキスト]下記のいずれかを準備しておいてください
 ・文部科学省、小学校指導要領解説(総則編)
 ・文部科学省、中学校指導要領解説(総則編)
[参考書等]必要な資料やプリントを授業ごとに配布し、授業進度、受講学生の理解に合わせて、適宜、参考書を紹介します。

【その他】
・学生へのメッセージ
 本講義では,皆さんの有する関心・問題意識が、本講義における学びの出発点となります。テクノロジー(ICT機器・環境)と関連する「現代学校教育が抱える様々な問題点」についても言及します。自分自身が受けてきた授業を思い出しながら、それらの問題点の改善に真摯に取り組み、有効な方策を考えてみてください。
【注意】本授業の授業担当者・開講時期・授業計画が変更となる場合があります。あらかじめご留意ください。授業履修者および授業履修を検討しているものは、必要に応じて掲示等をご確認ください。
・オフィス・アワー
  授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」は、火曜日の昼休み(12:10~12:50)とします。これに限らず在室している時は随時対応します。研究室の場所は、最初の授業でお知らせします。

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