教材開発のための教科内容研究(漢文学領域)
 Curricurum Contents for Teaching Material Development (Sino-Japanese Literature)
 担当教員:三上 英司(MIKAMI Eiji)
 担当教員の所属:地域教育文化学部
 担当教員の実務経験の有無:
 担当教員の実務経験の内容(有の場合):公立高等学校教諭 国立高等専門学校講師・助教授 国立教育政策研究所調査分析委員 検定教科書編集者 
 開講学年:1年,2年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義
 開講対象:  科目区分: 
【授業の目的】
学習指導要領では、「言語文化としての古典に親しむ態度を育成する指導」として、「漢詩・漢文について音読や暗唱を重視する」としている。また、漢字は、我が国において継承されてきた言語文化の基盤の一つである。本授業では、戦後(昭和20年以後)の国語科教育における漢字・漢文教材の変遷について、学習指導要領をはじめ、自らの調査・分析により概観し、漢字・漢文教育の役割と今日的課題を理解した上で、国語使用の礎石となる漢字学習、及び初等・中等教育における古典分野漢文教材の開発と授業実践を、学習者の立場に立って行う能力を身につける。

【授業の到達目標】
小・中学校の学習指導要領を踏まえ,漢字・漢文教育の役割と今日的課題を理解し、学習者の実態に応じた言語文化としての古典に親しむ態度を育成するための漢字・漢文教材を構想することができる。

【授業概要(キーワード)】
漢字指導 漢文教育 教材開発 学生主体型授業

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%
C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:1~25%
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
教科教育高度化野の選択科目の一つであり、指導者の主体的教材開発法の能力を高めるための基礎的教材感を養う科目です。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに

【授業計画】
・授業の方法
以下の能力を身につけるために,講義・演習・プレゼンテーション・討議・ワークショップを行う。全授業において、自己評価と相互評価を取り入れ、自らの実践を多角的に見つめる視野を身につける。
○ 学習者の実態に応じた漢字・漢文教材の開発が自力で行える。
○ 開発した教材をもとに、言語運用能力の向上に資する授業を組み立てることができる。
○ 漢字・漢文領域の教材の特質を理解し、多領域の学習に活用する応用力を身につける。
・日程
第1回: 授業概要の解説。漢字・漢文教育における評価方法に関する講義。漢字習得度合いの確認に関する評価法作成の演習。
第2回: 小学校現行教科書における漢字指導法の分析演習。小学校現行教科書における漢字取り立て教材の効果に関するプレゼンテーション。
第3回: 中学校現行教科書における漢文教材の分析演習。
第4回: 昭和前期漢文教育の軌跡に関するプレゼンテーション。現在の漢字・漢文教育と比較しての討議。
第5回: 昭和後期漢文教育の軌跡に関するプレゼンテーション。現在の漢字・漢文教育と比較しての討議。
第6回: 平成以降漢文教育の軌跡に関するプレゼンテーションと討議。
第7回: 小学校における漢字学習導入教材の開発演習。漢字の指導については、「実生活や他教科等の学習における使用や、読書活動の充実に資するため、確実な習得が図られるよう指導を充実する」とされている。これに加え、言語文化としての漢字に関心を高めてもらえるよう導入期の教材を開発する。
第8回: 中学校における漢文導入教材の開発演習。漢文については、「訓読の仕方を知り、古典特有のリズムを味わいながら、古典の世界に触れること」が重視されている。導入期にリズム感をもって漢文の世界に入ることのできる教材を開発する。
第9回: 韻文教材の開発演習。
第10回: 散文教材の開発演習。
第11回: 史書教材の開発演習。
第12回: 授業の組み立てと様々な評価方法に関するプレゼンテーション。
第13回: 授業の組み立てと様々な評価方法に関するワークショップ。
第14回: 授業の組み立てと様々な評価方法に関する討議。
第15回: 授業全体のまとめこれからの漢字・漢文教育の使命に関するグループ討議とプレゼンテーション。 教材作成レポートに関する説明。

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
毎回、学習指導要領(小・中・高)と漢和辞典を持参し、必要な事柄は自主的に調べ、自主的学修において学習事項を実際の授業に適用するために具体的な教材を選定して授業案を作成するようにしてください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
提出を要求された課題に関する資料(含む先行実践記録)の収集を図書館ならびにインターネットで行い、授業時に指摘された問題点を解決し、次の授業時に改善案を提出できるようにしておいてください。予習・復習に必要な学修時間は、それぞれ1.5時間/週です。

【成績の評価】
・基準
C(合格に必要な最低限度)基準:
・学部卒院生:漢字・漢文教育の役割と今日的課題を理解し、学習者の実態に応じた漢字・漢文教材を構想できる。
・現職教員院生:漢字・漢文教育の役割と今日的課題を理解し、学習者の実態に応じた漢字・漢文教材を開発できる。
・方法
演習・ワークショップ時の提出物(40%)、プレゼンテーション・討議の内容(30%)、最終時間に示される教材作製(30%)の到達度を合算して評価します。

【テキスト・参考書】
事前のテキスト参考書として個別に限定するものはありませんが、必要な資料を授業ごとに配布し、授業の進度、学習者の理解度に応じて適宜解説します。

【その他】
・学生へのメッセージ
主体的で対話的な学びを常に求めます。知識を実際の授業方法に活用することができる汎用的な力を養い、深い学びを自ら実現してください。
・オフィス・アワー
月曜日12:00~13:00をオフィスアワーとしますが、出張や会議が入っていない時は、随時、相談や質問を研究室で受けます。事前の予約を取ることをお願いします。連絡先アドレスは初回の授業の時にお知らせします。

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