【授業の目的】
初等及び中等学校における理科教育の現状や学習指導要領等を踏まえ、物理学領域における各学校・学年段階に適した具体的なテーマを設定し、教材開発の実践を行う。 特に、小中学校を貫く科学の基本的な見方や概念の4つの柱の一つである「エネルギー」概念に関する教材について取り上げる。次に、教材開発の基礎となる教師の専門性の育成に関しては、物理学を中心とした科学の発達史及び現代物理学の研究成果と理科の内容とを関連付けながら学習し、さらに、物理学を基盤とする科学技術の発展と実社会・実生活との関係についても総合的に理解する。以上のことより、理科の物理学領域の教材開発のための教科内容に関する専門性の向上を図る。そして、科学的な思考力・表現力の育成をめざし、観察・実験の結果を整理し考察する学習活動、科学的な概念を利用して考え説明する学習活動、探究的な学習活動を充実させるための教材の開発能力の育成を図る。
【授業の到達目標】
初等及び中等学校の理科(物理学領域)における科学的概念,特に「エネルギー」概念の育成を中心に,実生活との関わりも含めた教材を開発することができる。
【授業概要(キーワード)】
物理学、教材開発、科学的概念
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
B-1.学生同士の話し合いの中で互いの意見に触れる機会がある。:1~25% C-1.自分の意見をまとめて発表する機会がある。:1~25% D-1.演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25% C-2.事前学習(下調べ、調査等含む)をした上で、プレゼンテーションを行い、互いに質疑応答や議論を行う機会がある。:1~25% D-2.事前学習(下調べ、調査等含む)で習得した知識等を踏まえて演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25% D-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型の演習、実習、実験等を行う機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
この授業は教材開発を実際に行うことで、教科の専門性と教材開発能力を身につけるものである。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに 07.エネルギーをみんなにそしてクリーンに 09.産業と技術革新の基盤をつくろう
【授業計画】
・授業の方法
○ 初等及び中等学校における理科の教材開発の目的を明確にするため、理科教育の現状について、学習指導要領も含めて考察する。(演習) ○ 理科の教科内容の背景にある近代自然科学史及び理科教育研究成果の検討を行う。(演習) ○ 初等及び中等学校の理科の物理的領域の中から、具体的なテーマを設定して教材開発を行う。 ○ 各グループで作成した教材についてプレゼンテーション(模擬授業も含む)し、相互評価する。(グループ活動)
・日程
第1回:オリエンテーション/授業の方法と評価に関するガイダンス、物理学に対する興味・関心の調査 第2回:理科教育(物理学領域を中心として)の現状(演習) 第3回:理科教育における教材開発の目的と授業における役割(演習) 第4回:理科:物理学領域における教材開発の課題(討論・演習) 第5回:理科の物理学領域における専門性の育成1-近代自然科学及び物理学の史的変遷-(講義) 第6回:理科の物理学領域における専門性の育成2-古典物理学におけるエネルギーの概念-(講義) 第7回:理科の物理学領域における専門性の育成3-現代物理学におけるエネルギーの概念-(講義) 第8回:理科の物理学領域における専門性の育成4-エネルギー概念に関する教材について-(演習) 第9回:理科の物理学領域における専門性の育成5-科学技術の発展と実生活とのかかわり(1)-(演習) 第10回:理科の物理学領域における専門性の育成5-科学技術の発展と実生活とのかかわり(2)-(演習) 第11回:理科:物理学領域における教材作成とプレゼンテーションの準備(演習) 第12・13回:プレゼンテーション(1)・(2)(発表・模擬授業・討論) 第14回:作成した教材(指導案を含む)の改善(演習) 第15回:授業のまとめ
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
物理的な視点で現象を観察し、講義内容の理解に努めるようにして下さい。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
・講義内容や演習問題についての不明な点は積極的に質問するなどしてその日のうちに解決するよう心掛けて下さい。予習・復習に必要な学修時間の目安は、それぞれ1時間週程度です。 ・課題として指定された問題は必ず提出するとともに、テキストや参考書などに目を通して内容の理解に努めて下さい。
【成績の評価】
・基準
C(合格に必要な最低限度)基準:【学部卒院生】物理学領域の諸理論や諸法則を理解した上で、科学的概念を育成する教材を構想することができる。【現職教員院生】物理学領域の諸理論や諸法則を理解した上で、科学的概念を育成する教材を開発することができる。
・方法
次の評価の観点に則り、レポート(30%)及び発表内容(70%)を中心に、総合的に判断し評価します。1)演習やディスカッション等に主体的・積極的に参加し,設定された目標の到達に向けて努力しているか。2)演習や課題発表の内容等が設定された目標に到達しているか。3)内容に対する理解や工夫等が見られたか。
【テキスト・参考書】
参考書:小学校学習指導要領解説 理科編、中学校学習指導要領解説 理科編
【その他】
・学生へのメッセージ
高等学校で物理学を履修しなかった学生にも理解できる講義を行います。基礎的な数学の知識を必要としますが、その都度講義で説明します。
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」は津留研究室(地教2号館5階534室)において、原則、授業終了後の昼休みとしますが、これに限らず在室している時は随時対応します。
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