【授業の目的】
物性物理学への理解を深めるため,外部から加えられた電場・磁場に対する物質の応答について学ぶことを目的とする. 講義では,電気双極子、磁気双極子をもつ固体の電気的・磁気的性質、外場に対する応答、双極子の協力現象と相転移、強誘電体・強磁性体に代表される双極子の長距離秩序状態について述べる.特に電子のスピンについては、その起源、合成、秩序等詳しく紹介する.
【授業の到達目標】
種々の物質の物性物理現象の理解を深めること.具体的には, 1. 誘電体内部の電場と電気双極子の関係を理解し,ベクトル解析を用いて定量的な計算ができる. 2. ランダウの相転移理論を理解し,強誘電体の相転移温度等を定量的に計算できる. 3. 角運動量の交換関係を理解し,磁性体の磁気モーメントを計算できる. 4. 平均場近似の概念を理解し,強磁性体の相転移温度や磁化率を定量的に計算できる.
【授業概要(キーワード)】
物性物理学、誘電体、磁性体、スピン、双極子、相転移、長距離秩序
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
専門領域に関連する基礎的な分野を担う,各専攻共通の科目である。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
09.産業と技術革新の基盤をつくろう
【授業計画】
・授業の方法
以下の科目の初歩的知識を前提としているが、これらの科目についてもある程度の復習と解説を交えながら授業を進める. 電磁気学、量子力学、熱力学、統計力学、物性物理学
・日程
授業計画 1. 秩序と無秩序 電気双極子と磁気双極子、双極子の協力現象と長距離秩序 2. [誘電体と強誘電体] 巨視的電場と局所電場、反分極場とローレンツ場、 3. [誘電体と強誘電体] 誘電率と分極率、 4. [誘電体と強誘電体] 強誘電性体と構造相転移 5. [誘電体と強誘電体] 相転移のランダウ理論 6. [磁性体] 電子スピン・軌道・原子核による磁気モーメント 7. [磁性体] フントの規則、LS多重項 8. [磁性体] スピン軌道相互作用とJ多重項 9. [磁性体] 多電子系の有効磁気モーメントとキュリーの法則 10. [磁性体] 結晶場による準位分裂と軌道角運動量の消失 11. [磁気秩序] 交換相互作用と強磁性 12. [磁気秩序] 平均場近似とキュリー・ワイス則 13. [磁気秩序] 結晶磁気異方性と磁化曲線 14. [磁気秩序] 秩序と対称性の破れ 15. [まとめ] 相転移と臨界現象
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
講義は原則として対面で実施するが、レポート提出等はWebClassを用いる。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
講義内容に関連する資料,図書,文献等を自ら探索し,レポート課題等に取り組むこと.
【成績の評価】
・基準
授業の到達目標に基づいて出題された複数のレポートに対して,提出されたレポート内容を精査して達成度を定量化する.
・方法
提出されたレポート内容を精査して達成度を定量化し,総合点が60%以上になった場合を合格とする.
【テキスト・参考書】
参考書:キッテル「固体物理学入門 下」宇野、津谷、森田、山下 訳(丸善)
【その他】
・学生へのメッセージ
自ら課題について詳しく調査して,その成果をレポートとしてまとめる経験は,修士論文や学術論文の執筆に際して大いに役立つでしょう.
・オフィス・アワー
WebClassのメッセージ機能や電子メールを使って質問を受け付けます.
|