【授業の目的】
物理化学は自然現象を記述する上で有用なだけでなく、化学工学をはじめとするさまざまな工学の分野の基礎となっている。本講義では、物理化学・化学工学の概念に基づいて、エマルション・泡・コロイド・スラリーにおける界面現象と粉体プロセスで用いられる装置の基本設計について幅広く理解し、知識を身につけることを目的とする。
【授業の到達目標】
(1)物理化学の概念に基づいて界面現象とその医薬品・化粧品・食品分野で利用されているテクノロジーを理解できる。【知識・理解】 (2)化学工学の単位操作の概念とともにコロイド・スラリーの分散・凝集の理論を理解できる。【知識・理解】 (3)粉体が関与する諸操作(粉砕、分離・分級、濃縮沈殿、集塵など)の基本原理を理解し、装置の基本設計にも対応できる。【知識・理解】
【授業概要(キーワード)】
自由エネルギー、エマルション、泡、スラリー、ゼータ電位、DLVO理論、粒子生成、粒子運動、分離・分級
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25% A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
この科目は、化学・バイオ工学専攻の学習・教育目標における「化学-バイオに関する高度専門知識の習得」に主に対応します。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに 09.産業と技術革新の基盤をつくろう
【授業計画】
・授業の方法
授業は、概ね授業計画に従って進め、必要に応じて教員が作成した授業用プリントを配布します。
・日程
第1回:物理化学の概念: エントロピー、エンタルピー、自由エネルギー (担当 野々村美宗) 第2回:エマルションの物理化学 (担当 野々村美宗) 第3回:可溶化・液晶の物理化学 (担当 野々村美宗) 第4回:泡の物理化学 (担当 野々村美宗) 第5回:産業界での応用 (担当 野々村美宗) 第6回:化学工学の概念 ・コロイド・スラリー (担当 木俣光正) 第7回:粉体の性質・付着性(担当 木俣光正) 第8回: ゼータ電位・吸着(担当 木俣光正) 第9回: DLVO理論 (担当 木俣光正) 第10回:身近な化学工学(担当 木俣光正) 第11回:粉体の生成 (担当 小竹直哉) 第12回:場の中での粒子の挙動(担当 小竹直哉) 第13回:分離・分級の基礎 (担当 小竹直哉) 第14回:濃縮沈殿 (担当 小竹直哉) 第15回:集塵 (担当 小竹直哉)
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
テキストは必ず入手し、本文に下線を引くなどして活用してください。黒板に記載されたものやパワーポイントで示された内容は、重要なところのみノートに筆記し、先生の説明をメモすること。応用事例と結びつけることにより、理解が深まります。この講義と学部で得られた知識とを組み合わせ、想像力を鍛えてほしい。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
あらかじめテキストに目を通しておくと、授業内容の理解が深まります。 課題(宿題)はできる限り自力で行い、前回の授業内容をテキストとノートを中心に復習すること。わからないことはそのままにせず、教員へ質問するか、友人と議論して下さい。その他、参考書の該当箇所を通読することを勧めます。
【成績の評価】
・基準
(1)物理化学の概念に基づいて界面現象とその医薬品・化粧品・食品分野で利用されているテクノロジーを理解すること。(2)化学工学の単位操作の概念とともにコロイド・スラリーの分散・凝集の理論を理解すること。(3)粉体が関与する諸操作(粉砕、分離・分級、濃縮沈殿、集塵など)の基本原理を理解し、装置の基本設計にも対応できるようになること、が合格の基準となります。
・方法
毎回行う演習またはレポートに基づき目標の理解度をそれぞれの教員が100点満点で評価し、その平均点が60点以上を合格とします。
【テキスト・参考書】
テキスト:野々村美宗著:「化粧品 医薬部外品 医薬品のための界面化学」フレグランスジャーナル社 (2018)、椿淳一郎、鈴木道隆、神田良照著:「入門 粒子・粉体工学」改訂第2版」日刊工業新聞社(2016) 参考書:北原文雄、古澤邦夫著:「分散・乳化系の化学」工学図書(1979)、J.N.イスラエルアチヴィリ著、大島広行訳:「分子間力と表面力 第3版」朝倉書店(2013)、粉体工学会編:「粉体工学叢書 第1巻 粉体の基礎物性」日刊工業新聞社(2005)、粉体工学会編:「粉体工学叢書 第4巻 液相中の粒子分散・凝集と分離操作」日刊工業新聞社(2010)、三輪茂雄著:「粉体工学通論」,日刊工業新聞社(1981)など
【その他】
・学生へのメッセージ
わからない専門用語を放置せず、質問したり、参考書を見たり、インターネットで検索するなど、積極的に行動すること。学部科目の物理化学Ⅰ、Ⅱ、粉粒体工学の単位を修得していると、授業内容がより理解し易くなります。
・オフィス・アワー
平時はWebClassのメッセージにより質問を受け付ける。 野々村美宗:水曜日16:00~17:00、工学部3号館3105号室。木俣光正:水曜日16:00~17:00、工学部3号館1208号室。小竹直哉:金曜日16:00~17:00、工学部3号館1210室
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