【授業の目的】
天然有機化合物とバイオファインケミカルを題材に有機化合物の分子構築法、立体制御法の基礎、不斉合成法、バイオセンシングについて理解する。天然物化学はもはや単離、構造決定、全合成にとどまらず機能解析、創薬などに直接関与する複合領域であることを学び、様々な応用研究を理解する。バイオテクノロジーを活用したバイオファインケミカルズの生産やバイオセンシングついても学び、酵素が関わるキラル識別や物質認識について理解する。
【授業の到達目標】
ねらい:大学院修士課程の学生として生命科学研究に必要な有機化学の知識を学ぶ授業である。学部で学んだ内容が如何に基礎であったかを実感し、今後の研究、仕事に密接に関わる内容を理解していく。題材は天然有機化合物と酵素を主題とする触媒であるが、実際に身につけてほしいことは、複雑な有機分子を自分の手で設計し、合成まで実行できる能力を培うことである。
目標: 1)天然有機化合物について分類でき、生合成についてある程度の予測が立てられる。2)標的とする有機化合物の合成ルートを考案できる。3)基礎的な生化学の用語、代謝について説明できる。4)基礎的な医薬品開発の手順について説明できる。5)不斉合成について説明ができる。6)酵素反応について説明ができる。7) 生体触媒について説明ができる。8)電子移動を伴う生化学反応について説明ができる。
【授業概要(キーワード)】
天然有機化合物、コンビナトリアル化学、阻害剤創成、ケミカルバイオロジー、不斉合成、生体触媒,酵素反応,バイオセンサー
【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
【科目の位置付け】
この講義は有機化学系の応用科目であり、化学バイオ工学専攻の高度専門科目IIです。
【SDGs(持続可能な開発目標)】
03.すべての人に健康と福祉を 09.産業と技術革新の基盤をつくろう
【授業計画】
・授業の方法
授業の方法:授業はPCを使ったプロジェクターを主に使用し、必要に応じて板書する。聴講者はその内容が記載された配布プリントをノートとして用い理解を深める。
・日程
第1回:天然有機化合物の分類(今野) 第2回:天然有機化合物の生合成(今野) 第3回:液相法と固相法 (今野) 第4回:生体高分子の合成法(今野) 第5回:医薬品の分子設計(今野) 第6回:医薬品の合成と評価(今野) 第7回:ケミカルバイオロジー(今野) 第8回:バイオファインケミカルズの基礎1 酵素反応と有機合成(木島) 第9回:バイオファインケミカルズの基礎2 生化学反応と電気化学(木島) 第10回:材料とその応用 アミノ酸・有機酸,脂質(木島) 第11回:酵素によるキラルシントンの創製(木島) 第12回:有機溶媒中での生化学反応(木島) 第13回:バイオセンサーの原理と設計(木島) 第14回:バイオセンサーのマテリアルサイエンス(木島) 第15回:試験とその解説(今野、木島)
【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
受講のあり方:講義中はPC、板書、テキストに集中してほしい。授業中は私語、飲食等で他の受講生の迷惑となる行為を行った場合は、受講を遠慮してもらいます。途中、教室の出入りは禁止します。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
予習のあり方:あらかじめ予習を必要としない 復習のあり方:講義後、プリントを読み返しながら理解できなかった部分について参考書などで調べておく。
【成績の評価】
・基準
天然物などの生体分子や自身で設計した分子の合成と評価方法について説明できることを合格の基準とします。また、不斉合成に関する内容について説明できることも合格の基準となります。
・方法
2回のレポート(各々30点)と簡単な小テストを含んだ平常点(40点)で評価し、合計で60点以上を合格とする。それぞれのレポートの課題は講義の中から出題する。ただし、出席が3分の2に満たない学生は評価の対象外とする。
【テキスト・参考書】
【テキスト】特に指定しない。必要に応じてプリントを配布する。 【参考書】有機合成のナビゲーター、丸善(3800円)、入門ケミカルバイオロジー、オーム社(1890円)、モレキュラー・キラリティー、化学同人(3600円)、有機合成のための触媒反応103、東京化学同人(3800円)
【その他】
・学生へのメッセージ
将来、有機化学を基礎に研究、開発などを希望する学生には聴講をお勧めします。特に、製薬、ファインケミカルなどの生命科学分野の研究には立体制御合成に関する理解ならびに生体高分子との関わりに関する理解は必須です。
履修にあたっての留意点:学部で有機化学Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、生化学I, IIを履修し、基礎生物有機化学の知識を習得しておくことが望ましい。
・オフィス・アワー
水曜日16:00~17:00、3号館3階3205号室(今野),月曜日16:00~17:00 3号館1階1201室(木島)
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