物理化学特論
 Advanced Lectures on Physical Chemistry
 担当教員:臼杵 毅(USUKI Takeshi)、 天羽 優子(AMO Yuko)
 担当教員の所属:理学部理学科
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:1年  開講学期:前期  単位数:2単位  開講形態:講義・演習
 開講対象:理工学研究科(理学系)博士前期課程  科目区分:分野専門科目(化学分野) 
【授業の目的】
原子、イオン、分子の集合体である凝縮系物質は驚くほど多様な物理・化学的な特性を示します。本授業では、物性物理化学の理論体系の中で、凝縮系物質の多様な性質がどのように理解できるかを学びます。特に、凝縮系物質の静的・動的構造と物性の相関に焦点を当て、構造を調べる手段である回折実験や分光実験および計算科学的手法について解説するとともに、凝縮系物質の構造と物性の関連について理解する事を目的とします。

【授業の到達目標】
(1)物性物理化学の基礎や関連する実験手法について説明できる。【知識・理解】
(2)構造解析手段である回折実験、分光実験について、その測定原理と得られる静的・動的構造情報について関係づけることができる。【知識・理解】
(3)実在の凝縮系物質に対して回折実験、分光実験、分子動力学計算等をどのように適用し、物質科学研究の推進に利用するかについて述べることができる。【知識・理解】

【授業概要(キーワード)】
凝縮系物質,構造物性,電気物性,光物性,熱物性,計算化学,学生主体型授業

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%
A-3.習得した知識を活用する中で、学生自身がテーマや目的などを主体的に定めて課題探究型学習を行い、その成果を記述する機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
専門分野における高度な知識及び技能を体系的に習得する(理工学研究科(理学系)カリキュラムポリシー)。

【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに
09.産業と技術革新の基盤をつくろう

【授業計画】
・授業の方法
教員からの一方進行の授業ではなく、学生参加型演習(学生の発表・質疑応答など)によって授業を進め、凝縮系の物性について知見を深めます。凝縮系物質の構造および物性を研究する手法の詳細について学びます。
・日程
第1回目 全体概要
第2回目 固体物性の基礎(自由電子論)
第3回目 固体物性の基礎(バンド理論)
第4回目 固体物性の基礎(半導体)
第5回目 固体物性の基礎(熱力学)
第6回目 不規則系固体の基礎
第7回目 量子ビーム実験
第8回目 計算科学
第9回目 複素関数論とフーリエ変換
第10回目 フーリエ変換の応用
第11回目 確率過程・揺動散逸定理・線形応答理論
第12回目 時間依存量子系・摂動論
第13回目 振動分光
第14回目 量子散逸系・開放系 1
第15回目 量子散逸系・開放系 2

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
取り扱う事項に関する能動的な学習を心がけてください。
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
1)準備学修に必要な学修時間の目安は次の通りです。 4時間/週
2)授業中にメモしたノートをもとに、その日のうちに内容を再整理して、理解度をアップしてください。テキストや補足資料の該当箇所を理解できるまで繰り返し読むこと、ノートに再度書き出すことも重要です。
3)講義動画をwebclassを通じてアップする場合があります。繰り返し視聴できますから、予習や復習に活用し学修を深めてください。
4)授業の進行に応じて関係する事項について調査課題が課されます。与えられた課題について図書館やインターネットを活用し各自で知識を整理し理解を深めることが求められます。

【成績の評価】
・基準
授業の到達目標で示した以下の項目の基礎的な事項について適切に説明できることを合格の基準とします。
1)物性物理化学の基礎的内容を理解し、諸事象を論理的に説明・考察できること
2)凝縮系物質の構造研究手段である回折実験、計算機シミュレーションおよび分光実験の原理の理解度および実際の物質研究にどのように適用されるかについて説明・考察できること
・方法
授業内の演習参加度(50%)、授業に関する課題レポート(50%)を基に成績評価を行います。

【テキスト・参考書】
事前にテキスト・参考書として個別に指定するものはありませんが、必要な資料やプリントを授業毎に配布し、授業進度、学生の理解に合わせて、適宜、指定します。

【その他】
・学生へのメッセージ
様々な物理化学的現象や高度な研究手法に興味を持って学習することが重要です。
・オフィス・アワー
授業時間外に学生の質問に答える「オフィス・アワー」を担当教員の研究室において、授業終了後に設けます。会議や出張等で不在にすることもあるため、確実に面談したい場合は事前に予約をお願いします。連絡先は授業でお知らせします。

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