先進生命システム工学特論
 Advanced Bio-Systems Engineering
 担当教員:湯浅 哲也(YUASA Tetsuya)、羽鳥 晋由(HATORI Kuniyuki)、馮 忠剛(FENG Zhonggang)、渡部裕輝(WATANABE Yuki)
 担当教員の所属:大学院理工学研究科(工学系)機械システム工学分野
 担当教員の実務経験の有無:
 開講学年:1年、2年、3年  開講学期:後期  単位数:2単位  開講形態:集中講義(4人の教員のオムニバス形式)
 開講対象:地球共生圏科学専攻  科目区分:専門科目・選択 
【授業の目的】
生命科学研究から取り上げた以下の4つのテーマを工学的観点から解説し,最先端の研究動向を紹介する.
テーマ1:再生医療工学
テーマ2:生体分子モーターの機能と応用
テーマ3:光による生体計測
テーマ4:MRI(Magnetic Resonance Imaging)

【授業の到達目標】
生命科学は,生命という複雑な対象に対して物理・化学・情報などに基づくさまざまな⼯学的手法を駆使して生命の実体に迫る学際的な研究分野です.本講義では,生命科学を習得するために必要な基本的な工学的考え方を身につけることを目標とします.
テーマ1では,21世紀の先端医科学を牽引すると⾔われる「再⽣医療⼯学」についてその現状と将来性を理解し、これまでに把握された工学的知識・技能を如何にこの分野に応用できるかをインスパイアする.
テーマ2では,生体運動の根源である生体分子モーターの性質と仕組みを理解し,生体システムへの洞察力を得る.
テーマ3では,生体計測に利用されている様々な光測定技術の基礎知識と理論を理解する.
テーマ4では,臨床現場において不可欠であるMRI(Magnetic Resonance Imaing)について,その撮像原理について学ぶ.

【授業概要(キーワード)】
テーマ1:バイオマテリアル,組織構築,バイオリアクタ
テーマ2:モータータンパク質,細胞骨格,化学⼒学エネルギー変換
テーマ3:パルスオキシメーター,光コヒーレンストモグラフィ(OCT),OCTアンギオグラフィ
テーマ4:MRI(Magnetid Resonance Imaging), Bloch方程式,画像化⽅程式

【学生主体型授業(アクティブラーニング)について】
A-1.ミニッツペーパー、リフレクションペーパー等によって、自分の考えや意見をまとめ、文章を記述し提出する機会がある。:1~25%
A-2.小レポート等により、事前学習(下調べ、調査等含む)が必要な知識の上に思考力を問う形での文章を記述する機会がある。:1~25%

【科目の位置付け】
著しい発展を遂げる生命科学を⼯学的な観点から俯瞰する

【SDGs(持続可能な開発目標)】
04.質の高い教育をみんなに

【授業計画】
・授業の方法
各教員が専門とする5つのテーマを取り上げ,オムニバス形式で講義する.各教員が2〜3コマの講義を担当する.
テーマ1(再生医療⼯学):再生医療⼯学の幾つの重要課題を取り上げ,関連する最近の重要⽂献を選び,内容を紹介し議論する.
テーマ2(生体分子モーターの機能と応用):スライドを用いて研究手法の原理を説明した後,実際の顕微鏡映像を交えて具体例を紹介する.また,最新の関連文献を読み議論する.
テーマ3(光による生体計測):光の特性,波長,光と生体との相互作用,光計測、光⼲渉の原理,光による画像計測と画像処理法について,講義を行う.最先端の研究について,調査報告し,ディスカッションする.
テーマ4(脳型情報処理と人工知能):人工知能関連技術の実装事例を取り上げ、その理論基盤と社会におけるインパクトについて議論する.
テーマ5(MRI):生体内での物理現象からいかに信号を取得し,最終的に3次元画像を再構成するかを議論する.
・日程
テーマ1(再生医療⼯学):
1時間目 生体材料の脱細胞技術
2時間目 再生組織構築
3時間目 再生医療⼯学におけるバイオリアクタの応用
テーマ2(生体分子モーターの機能と応用):
1時間目 生体分子モーターの構造と機能
2時間目 生体分子モーターの研究方法
3時間目 生体分子モーターの応用
テーマ3(光による生体計測):
1時間目 光の特性、波長、光と生体との相互作用、光吸収、光散乱
2時間目 光計測、光⼲渉の原理
3時間目 生体光イメージングの原理と応用
テーマ4(MRI):
1時間目 MRIの概略
2時間目 Bloch方程式と核磁気共鳴現象
3時間目 画像化方程式

【学習の方法・準備学修に必要な学修時間の目安】
・受講のあり方
各教員がテーマごとの資料を配布あるいはWebClass上にアップロードしますので,事前に資料に目を通しておくことを強くお勧めします.
・授業時間外学習(予習・復習)のアドバイス
とくに予習の必要はありませんが,講義で学んだことがらで興味を持ったテーマについては積極的に本やWebなどで知識を深めてください.さらに,将来生命科学研究に携わりたいと考える人には,研究を遂行するためにどのような基礎知識を身に着けるべきかを講義担当教員に個別に相談することをお勧めします.

【成績の評価】
・基準
それぞれのテーマについて用いられる工学的研究手法を理解できたかを評価基準とする.
・方法
各教員の課す試験またはレポートの評点(100点満点)の平均点を本講義の評点とする
テーマ1(再生医療工学):レポート
テーマ2(生体分子モーターの機能と応用):レポート
テーマ3(光による生体計測):レポート
テーマ4(MRI):レポート"

【テキスト・参考書】
各テーマごとに教材および参考資料を配布します

【その他】
・学生へのメッセージ
生命科学は生物学だけでなく,物理・化学・情報に基づくさまざまな工学的研究手法を導⼊して発展してきました.さまざまなバックグランドを有する研究者たちがそれぞれの持ち味を発揮しながら力を合わせて生命の実体に迫る生命科学研究のダイナミズムをこの講義を通して味わってください.
・オフィス・アワー
とくに設定しませんので,質問はWebClassへメールしてください.担当の教員が対応します.

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