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 関東学院大学 :奥 聡一郎 


大学の授業改善に思うこと

大学における授業改善となると、昔ながらのノートをただ読むだけの何年も変わらない退屈な授業をどうにかしないといけないという視点から語られることが多かった。良い授業の類型を求めて同僚の授業を見学して良いところを真似し、昨今流行りのアクティブ・ラーニングを取り入れて「深い学び」を目指したりと、大学の教員になってから本当に忙しくなったという声を聴く。他業種から大学の教員になった同僚からも、中高の教育現場を経て大学に移った同僚も忙しい忙しいと声をそろえて言っている。 授業改善やFDだけでなく、加えて認証評価のための自己点検報告書、詳細なシラバス、学修成果の可視化、教学マネジメント、カリキュラムマネジメントとやら課題と文書作成が矢継ぎ早に降りかかる。働き方改革などと言っているのであれば、 この見かけ上の忙しさを何とかしないと本当の意味での授業改善などはできないのではないかと不安になってしまう。

教職科目の教科教育法を担当していると教壇に立つうえで至極当然の技法を再構築して、講義に取り入れることになるが、やはり基本は「大きな声で丁寧に説明する」「学生、生徒の顔をみて、内容や進度を柔軟に対応する」ことに尽きるのではないかと今更に感じる。シラバスでの決まりきった内容と評価基準を当てはめれば当然落ちこぼれが出てしまうし、 到達目標に達せない学生のフォローは大きな課題になる。ところが一人ひとりの学生の対応まで時間がとれないのでは元も子もない。

大学の講義は中高の授業と違って、検定済みの同じ教科書を用いるわけではなく、一人一人の(余人をもって代えがたい)教員が専門性の高い内容をすべて手作りで組み立てていくところにある。 その意味でのFDや授業改善であれば、十分な時間をかけて教材と講義内容を精査し、板書やパワーポイントの構成を考え、小テストや振り返りに対するフィードバックを丁寧にすることが第一であり、そのための時間と余力を確保することが質の高い大学での授業を保証することにはならないだろうか。今一度基本に戻って本来業務である教育と研究の両輪を回すためにも授業改善に本当に必要なことは何だろうか、考えてみるべきであろう。





   
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