「壁画を通して」
私は東京造形大学の絵画専攻領域で指導をおこなう傍ら、銭湯や公共の場での壁画の制作を行っています。
2017年に大学が在る八王子市の市制100周年を記念して「第34回全国都市緑化はちおうじフェア」が開催されました。その一環として、
八王子医療刑務所の壁画を都市緑化はちおうじフェア実行委員会から委託を受け、高さ4メートル、幅140メートルの医療刑務所巨大壁画プロジェクトを立ち上げました。
ハイブリッド特別演習A9「八王子医療刑務所壁画を現場体験する」の授業を開講し学生と共に制作を行いました。
制作にあたり学生と話し合う中で、「地域の人々に愛される壁画」というテーマを掲げました。それにはまず、医療刑務所近くに暮らす方々が大切に思える絵にすることを考え、
約一年かけてお集まり頂き話し合いを行いました。初めは明るいものや、楽しくなるものを描いて欲しいという漠然とした意見が多かったですが、学生と下絵を描き進める中で、
140メートルの壁画は一箇所からでは全体を観る事ができず、歩きながら観ていく特性から、八王子の歴史を歩きながら鑑賞する歴史絵巻に決定しようという事になり八王子歴史絵巻に決定しました。
そこから地域の方々に八王子の歴史について伺いながら下絵を完成させ、壁画の最後部分には八王子の未来として、子供達に未来の八王子を想像しながら描いてもらうため小学校を訪れ、
共に制作を行い壁画に描き加えました。こうして過去・現在・未来の八王子の歴史絵巻が完成しました。
壁画は本学と地域の多くの方々とが協働して成し遂げられたものであり、地域社会と連携し、信頼関係を構築しながら制作したことは、
これからの本学が地域で社会連携活動を展開することに対して自信を深めることとなりました。
学生にとっても、大学で得た技術がどのように活かす事が出来るのか、
体験を通し知ることができたと思います。これから地域に対し、社会に対し積極的に関与していければと思います。