教員表彰を巡っての紆余曲折
学生同様、「褒める」ことは教員のモティベーション向上に繋がる。実際、多くの大学で様々な教員表彰制度が設けられている。
本校では従来教員表彰を、比較的選考基準が明確な「ベストシラバス賞」として実施していたが、FD委員会で「ベストティーチャー」を選ぶこととなった。
学生の評価による表彰であること、金銭的な褒賞がない名誉勲章的なものであることが決まり、
平均して7割の学生が回答する授業評価に「この先生をベストティーチャー賞に推薦しますか。」という項目を追加し、その数で選ぶことが検討された。
しかし、学部生では「楽しい先生」「甘い先生」という基準のみで選ぶことが懸念されたため、授業評価項目の中で、総合的な教師の力量に関わる2項目の得点で選定することとなった。
また、少人数クラスの方が高評価になるという明らかな傾向が見られたため、授業評価の回答数により、25以上74以下と75以上という2つに区分し、それぞれの区分から1名ずつ表彰することとした。
加えて、FD委員等の恣意が働かないよう、「同点の場合は、全員表彰する」「2つの区分で同じ教員が選ばれても、次点の教員の繰り上げ表彰はしないで、その1名のみを表彰する」という細則も設けた。
これだけ透明性を担保し、実行可能性の高い選考基準を作ったが、「良い先生」が定義されないまま、授業評価のみで「ベストティーチャー」を選ぶことの妥当性に対し疑問が残った。
授業が高く評価されるのは、「良い先生」の一要素ではあるが、イコールではない。再検討の末、名称を「ベストティーチャー賞」から「学生の選んだベスト授業賞」に変更した。
少々格下げになってしまった印象は否めないが、選定方法に疑問が残る「ベストティーチャー賞」では、受賞する先生も心から喜べないのではないか。
いつか、会津大学なりの「良い先生」が定義されたら、真の「ベストティーチャー賞」の設立が可能となるだろう。