「授業改善アンケートの結果と成績は相関しない」
「授業の質を高めれば、学生の満足度や意欲が高まり、主体性も向上、成績も向上するはずだ」と普通は思うはずです。しかし、本学の過去のデータを解析してみると、
授業改善アンケートの結果とGPAは単純に相関しないことが分かります。むしろ、授業改善アンケートの平均値が高い科目・分野ほど学生の成績は低い傾向にあります。
我々教員は、学生の理解度を高めようとシラバス構成から授業の進行方法を吟味し実施しています。しかし、教員が考える"質"と学生が捉える"質"は若干異なるようです。ましてや学生間でもその捉え方には差があります。
より難易度の高い講義や演習に対して満足感を抱くものもいれば、点数が取りやすい、やさしい、課題等の負担が少ない授業に関して満足度を高く持つものもいます。主体性という意味では、実技を含む科目、いわゆる動作が伴う内容に関して、
飽きを感じず主体的に取り組めている反面、自身の意見が求められたり、集団で考えをまとめたりするような演習科目では若干消極的な態度や意見がみられます。
これらの点において、授業改善アンケート結果の解釈には幅広い検討が必要と考えています。本学では、科目毎の集計のみでなく、授業形態や分野毎での解析、GPAとの関連の検討も行っています。得られた結果が冒頭の内容です。
さらには学生参加のFD研修を開催し、学生が感じる"いい授業"や主体的に取り組める授業について意見を吸い上げることにより、授業改善アンケートの自由記載に書ききれない、多くの生の声を聴くことが出来ています。
何を指標とし"いい授業"を作っていくのかは答えが見つかりませんが、学生が興味・関心を持ち人生の中で意味のある時間を提供できることが出来れば、それは"いい授業"なのではないかとも思います。やはり学生のための授業であることは忘れてはいけないのではないでしょうか。
授業改善アンケートにおいても、調査をすることが目的になるのではなく、その数字から何を考えるかが大切だと思います。