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 青森中央学院大学 :木村 峰子 


2020年秋、教育現場で思う由無し事

 哲学者のカントの弟子であるリンクが、カントの4回の教育学の講義内容をまとめた『教育学講義』という本があります。 その中でカントは「人は人によりてのみ人となり得べし、人より教育の結果を取り除けば無とならん」という言葉を残しています。 カントが本当にこのように述べたかどうかの真偽はわかりませんが、この講義で話された内容はとても印象的です。 すなわち、人間が行う「実践的教育」が人間を形成するすべてとなり、人間は教育によってのみ、初めて人間になることができるというのですから。 看護教育の一端を担う身として、人が行う教育の重要性を考えさせられる内容であると思っています。

 2020年は新型コロナウイルス性肺炎が世界的に流行し、最初の発生から7か月以上たった現在においても流行の終息は認められない状況となっています。 そのような中で、教育現場では授業の変更を余儀なくされ、教育方法において新たな模索をする必要性が生じました。 特に人とのかかわりが重要である看護教育の場では、全国的にみても病院や施設という実践の場を失い、臨地実習が行えない状況となりました。 わが大学においても4月から7月の臨地実習はすべて中止となり、学内実習に切り替え行うという方法をとりました。 しかし看護は実践の科学です。 実際の人(患者)と接することでしか看護の本質は学ぶことができません。 まさに人間(患者・家族及び、教員・指導者他すべての医療従事者)が行う、実践的看護教育が人間(看護学生)を形成するすべてとなり、人間(看護学生)は教育によってはじめて人間(看護師)なることができると考えられます。 今後も新型コロナウイルス性肺炎の流行が持続し、これまでのような教育形態がとれないのであれば、教育目的・目標達成のための新たな方法論が必要となります。 あるいは看護教育の考え方そのもののパラダイムの転換が必要となるのかも知れません。

 また本校では看護教育以外においても、教育方法、研修形態では多くの工夫を余儀なくされました。 特に8月に行った全大学職員(教員及び、事務職員他)対象である新SD研修とも呼ぶべき研修会では、対面での研修を避け、かつ受講者の間隔もあけたリモート形式での研修方法としました。 新たなSD研修は、大学教職員に必要な能力及び資質を向上させることが目的です。 従来のFD研修、SD研修の内容及び方向性を再検討するとともに、今後の研修会の在り方についても新たな検討が必要になるでしょう。

 私たちは大学教育に携わる者として、時代の変化に対応しつつ、それでも大学教育の本質を見失うことなく学生たちに向き合っていく必要があります。 今回のコロナ禍は、自分自身の教育の在り方に向き合うよい機会となりました。 改めて、教育の本質を見つめつつ、教育とは何かということを捉え直し、看護教育及び研修会の企画に向き合っていきたいと思います。


   
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