新任教員withコロナ
私は今年度より仙台大学に着任し、教員として勤め始めました。
大学教員1年生です。
その1年目はコロナの渦の中、右も左もわからずに始まりました。
担当する1つ1つの授業名やその授業のイメージを掴むのもままならない状況の中、入学式が延期され、授業開始日も延期となり、授業も遠隔授業での開始決まり…と荒波にもまれながら最初の1か月が過ぎていきました。
そして世の中が外出自粛、ステイホーム期間の最中、私も自宅にこもり、ひたすらに授業スライドと遠隔授業用の動画作りに励みました。
仙台大学ではGoogleのclassroomを基軸に遠隔授業が進められることが決まり、後の方法(オンデマン形式で行うのか、Googleのmeetを使ってリアルタイムで行うのか)は教員の裁量に任せられていました。
私が前期担当した心理学概論の授業は3クラスの合計が400人弱の大人数授業でしたが、こちら側からの動画提供という一方通行だけの授業となることは避けたいと思い、時間割に合わせて授業時間内にmeetを繋げ、授業動画を共有するという形式をとりました。
それと同時にGoogleフォームのアンケートで授業に関する簡単な問い(発問)を投げかけ、学生たちに答えさせる時間を設けました。
Googleフォームはアンケートの集計結果を瞬時に見やすくまとめてくれるという利点があります。
今回はこれを活用して、学生たちが答えた集計結果をリアルタイムに学生たちと共有しました。
円グラフや棒グラフ、自由記述であればその回答内容といったものが、どんなに離れた場所で学習していたとしても瞬時に集約され、共有され、可視化されました。
遠隔授業を受けていると教員と学生が1対1であるかのような感覚になるといった声も聞こえてきましたが、本来大学で学ぶ中では必ず仲間がおり、相互に影響をし合っているはずです。
自宅でモニターを前に、学習をしているのは一人だったとしても、実際には共に学んでいる仲間がいて、その人たちの存在や意見に触れることで感じることや広がる視野というものが必ずあるのではないかと思います。こういった取り組みは学生からも一定の評判を得られました。
8月に入り前期全ての担当授業と試験が終わり、ようやくほっと一息付けたというのが本音です。
この前期は1つ1つが手探りの中、学生からフィードバックをもらいながらよりよい方法を模索し続けた前期の授業でした。
7月からは実技科目など一部が対面授業となり、何名かの学生とは会うことができましたが、担当した心理学概論の授業の学生の顔は結局見れずに終わってしまいました。
メールでのやり取り、日々の課題の書き様から少しずつ見えて来る雰囲気はありましたが、もちろんそれは全てではありません。
ですが、毎週学生から送られてくる課題(+感想)即ちフィードバックを励みにしながら(1つの指針にしながら)なんとか舵を取り、やってきたという感じがあります。
しかし、文面だけでのやり取りにはきっと限界があります。
教室でやるから、対面でやるから、感じ取れる雰囲気というものがきっとあったのではないかと想像します。
自分の伝えたいことが「伝わっている」とか「伝わっていない」とか、そういった学生の"まなざし"とそれに伴って感じたであろう自分自身の"感情"を感じとれなかったというその事実は、なんだかとても惜しいことだったのではないかとも感じています。
今の私にとって、異例ともいえるこのオンラインでの遠隔授業は、ある意味でスタンダードになっています。
そこには強み、弱みどちらもあるとは思いますが、まずはこの経験を自分自身の基盤にして、これからよりよい授業を学生たちと共に作っていけるように励んでいきたいと思います。