学生の「主体的・対話的な深い学び」の実現に向けて
平成28年8月に中央教育審議会教育課程企画特別部会は「次世代学習指導要領に向けたこれまでの審議のまとめ」を公表した。
その中で、社会において自立的に生きるために必要な「生きる力」の育成に関して3つの柱が掲げられた。
さらに、「どのように学ぶか」という学習過程の質的改善を図る視点として「主体的・対話的で深い学び」の視点が示された。
それを受けて、本学においては、一昨年度から、その具体的な取り組みとして、質的な評価と学習方法が一体化した実践モデルである「ICEモデル」を取り入れた授業改善の取り組みを始めている。
ICEモデルとは、基本的知識の学習(Ideas)、学びをつなげること(Connection)、体験に結びつけた知の応用(Extension)という学びの3つの発展過程の各頭文字をつなげたものである。
具体的な取り組みとして、専任教員は、FD研修でICEモデルについて学び、その主旨を共通理解した上で、各教員が担当する科目の中から1つ以上選び、ICEモデルを取り入れたシラバスを作成して取り組んでいる。
私は、担当科目の全てにICEモデルを取り入れて授業改善を試みた。その結果、学生の反応は、以下の通りであった。
・各科目のオリエンテーションでは、「授業の目的が,具体的で分かりやすい」。「何のために課題レポートを書くのか、授業の途中で確認テストをするのか、その理由が分かった」など、授業中に出される課題について、学生自身が、その目的を理解して取り組もうとする姿勢が見られた。
・課題レポートでは、ICEモデルを活用したルーブリックを作成し、学生へ評価の観点を示した。そのことで、学生のレポートの質が上がった。学生からは「評価の観点が示されたことで、何を求められているのか、目的が明確になったので、取り組みやすかった」という意見が多く寄せられた。
まだ発展途上の「ICEモデルを活用した授業改善」であるが、学生自身が自らの学びを「自己評価し、省察できること」は、『主体的・対話的な学び』の実現に向けての第一歩と考える。