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 桜の聖母短期大学 : 土屋 久美


「マイルストーン」

 平成9年の保健体育審議会答申「生涯にわたる心身の健康の保持増進のための今後の健康に関する教育及びスポーツの振興の在り方について」において、 児童生徒には「食に起因する新たな健康課題が増加している。」ところから「学校における食に関する指導の充実」を図る必要があると提言されました。 これまで、「給食指導」「栄養指導」と称されてきたものが、「食に関する指導」と総称され、平成10年文部省体育局長通知「食に関する指導体制の充実」では、 学校栄養職員が担当教諭とティームを組んで「食に関する」効果的な指導を教科等で行うことが要請されました。 ここから学校栄養職員は、教壇に立ち、栄養教諭の道も開かれました。 専門知識の授業での活用等、皆で手探りをしながら考えてきました。 既に20年以上が経過し、現在、栄養教諭の養成に携わることに感慨深いものがあります。

 その当時、体育科保健の領域「病気の予防」で、おやつを食事がわりにすると栄養が偏ることを示す授業を担任の先生と行いました。 ジュースの糖分、スナック菓子や即席麺の脂質、塩分の量を包装の表示から読み取り、実物の砂糖、油等を使い量らせていきました。 「生活習慣病の予防には、栄養の偏りのない食事が大切であることを理解させる。」と指導要領の解説にはありましたが、専門性を出すこと、印象深い授業にすることに主眼がおかれ、 量るという「手段」にばかり時間をかけていました。 これと類似の指導案を、現在でも「学級活動」でみることがあります。 学級活動(2)は、「児童自ら努力目標を自己決定し、その実現に取り組めるよう生徒指導の機能を生かす展開を工夫することを通して、自己管理能力を育てる。」とあります。 おやつにどれだけ砂糖や油が含まれているかを知らせるところに時間をかけていては、学級活動にはなりません。

 おやつの授業をする前にアンケートをとります。 どんなおやつを食べていますか。 おやつはいつ、誰と、何をしながら食べる事が多いですか。 おやつのいいところは。心配なところは等です。授業の答えはそこにありました。 子ども達は「楽しい」「おいしい」「ほっとする」とおやつのいいところをあげ、「むし歯になる」「太る」「ごはんが食べられなくなる」と心配を書きます。 兄弟や親など誰かと一緒に食べる子どもは、いいところを多く書き、一人で、ゲームをしながら、漫画を読みながらと答える子ども達は、心配なことを多く書いてきます。 この結果を知らせて子ども達に考えさせます。どう心配事を解決していったら、おやつのいいところだけを味わえるのか。 「ゲームをしながら食べない」「袋ごと食べない」「食べたら歯をみがく」おやつは悪いことではなく、生活の潤い。大事なのは食べ方であることに自分達で気づいていきます。 自分の生活を振り返って、自分でできることを決めていきました。

 児童生徒の食の課題も個別化・複雑化し、学校に対する課題解決の期待も大きく、栄養教諭を取り巻く環境には厳しいものがあります。 悩んだら子ども達に寄り添い聞きましょう。おやつの心配なところは、「弟に先に食べられていないかが心配です」時に子ども達は癒してもくれます。



   
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