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 北里大学薬学部 : 奥脇 暢

 学生の質?教員の質?

本エッセイでは薬学部教員の立場から、FDとはなぜ必要か、実質的に役に立っているか、という視点で少し考えてみたい。FDとは大学教員の資質向上を目指した活動であると理解している。大学教員としての資質とは何か?大学教員の重要な任務は学生を教育し、社会に送り出すことである。同時に研究活動も重要な役割であり、目先の成果に縛られない研究を推進することが大学教員の役割だと思う。さらに、大学の運営業務、社会貢献活動も大学教員に期待される役割だろう。これらの役割を適切に遂行する能力が、大学教員の資質ということになる。また、大学では教育においても研究においても人(主に学生)とのかかわりが必須であり、人間力、コミュニケーション力も大学教員が持つべき資質となる。したがって、FD活動で扱うべきテーマは、教育能力、研究能力、運営能力、人間力の向上ということになるだろうか。
 本学の薬学部は2006年より6年制が導入され、教育カリキュラムが大幅に変更された。教育はモデルコアカリキュラムに沿って実施されることから、教員はその内容を理解していることが求められる。2024年度からはモデルコアカリキュラムの改訂が予定されており、これから改訂コアカリキュラム周知のためのFDセミナーを開催する必要がある。本学薬学部でのFDセミナーの開催履歴を見てみると、やはり教育システム周知に関するテーマが多い。ここ数年は講義、実習のICT活用法などの説明会も増えた。さらに、ハラスメントやLGBTに関するDoやDon’tの講演会など、必要不可欠なセミナーの開催も続く。上述のような「大学教員の資質」すべてをFD活動で網羅することは難しいのが現状である。
 大学教員の主要な任務である学生教育におけるFDの役割についてさらに考えてみたい。学生数の減少によって、学生の質の低下が十分予想され、実際にその傾向は最近の会議の話題ともなってきた。学生の質の低下を教育の質の向上でカバーできれば、大学の教育機関としての役割を果たし社会に貢献できる。FD活動によって個々の教員の教育の質が向上できれば、入り口での学生の質の低下があったとしても、出口でこれまでと同じ質の学生を排出できる、と理想的には考えられる。これこそがFD活動の最も明確なアウトプット(成果物)だと思う。
 学生の質を嘆く前に、果たして教員の質は維持されているのだろうか?カリキュラムを理解しているだろうか?時代に合った教育方法を取り入れているだろうか?教員が自身の教育活動を十分省察し、教員としての資質向上に真剣に取り組まなければならない。それを後押しするのが、FD委員長としての役割なのかもしれない。といったことを、真剣に考え始めると荷が重く憂鬱になる。第7回薬学教育学会大会で、薬学教育におけるFD活動をテーマとするシンポジウム開催の機会を頂いた。薬学に限らず大学教員の資質向上を議論する場としたいと考えている。宣伝となり恐縮だが、ご興味のある方はぜひご参加いただきたい。

   
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