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 札幌学院大学 経済経営学部経済学科 : 森田 彦

 遠隔授業顛末記 〜コロナ収束後の新たな授業に向けて〜

新型コロナ感染拡大を受けて、本学でも、2020年度からMoodleを活用したオンデマンド型の遠隔授業を導入し、翌2021年度に亘って一部面接型授業を交えながらも、様々な試みがなされました。そこで、この2年間を振り返り次年度へ備えるべく、筆者が担当した科目での取り組みの一端を簡単に紹介させて頂きたいと思います。
 筆者は経済学科学生を対象とするIT系科目を担当しているのですが、まず2020年度前期に行った「データベース基礎」を採り上げます。データベースはIT系では重要な内容ですが、文系学生には馴染みのない専門用語が頻出し、敬遠される傾向があります。そこで、まず従来の講義で使っていたスライドに付加的なコメントを書き加え、理解を促すよう配慮しました。その結果、スライドの枚数は増え、週によっては70枚に達することもありました。そして、Moodle上に単元毎の小テストを用意し、正解するまで解くことを促しました。その結果、9割の受講生が単位取得でき、成績も全体の7割が80点以上だったので、教育効果は上がった、と単純に喜んでいたところ・・・。講義後に書いてもらったアンケートを見ると「スライドが多くて大変だった」、「遠隔授業は苦しいものだと理解しました」、「指示通りに学修したけど何が身についたか分からない」など、悲惨な感想が書かれていました。どうやら、『学修内容の詳細をスライドに示し、小テストに正答するまで反復学修させれば理解度が向上し学生も満足する』という考えは私の独り善がりだったようです。これを受け、その後「音声による説明がないと理解が難しい」など学生から直接寄せられた意見や、学科内のFDで得た知見を採り入れ徐々に改善して行きました。その結果、最終的にスライドだけではなく、当該週の講義概要を10分程度で解説した動画を作成し、小テストも過度の負担にならないよう厳選することとしました。その他細かな改善点は、紙幅の関係上割愛させて頂きます。
 改善例として2021年度後期の「情報と職業」という科目を挙げます。この頃になると、学生側も遠隔授業に対する目が肥えてきて、最初に要望を書いてもらうと「難しいところは動画や音声などで詳しく説明してほしいです。」、さらには「解説動画の再生時間が長時間になるのはなるべく避けていただきたいです。PDFを見る時間+動画再生時間+課題の時間で講義時間の90分くらいにしていただけると大変助かります。」とかなり具体的になって来ました。そこで、これらの要望を念頭に、上に述べたような方式で授業を進めた結果、講義最後のレポートに書かれた感想では「パワーポイントだけではなく音声があることにより、より深い学びを感じることができました。」など学生の感想も好意的になり、受講生の約7割が8割以上の課題を提出してくれました。改善は、一定程度うまく行ったと受け止めています。
 ところで、学生側はこの2年の遠隔授業をどう受け止めているのでしょうか?2021年7月に本学で行った遠隔授業に関するアンケートを見ると、「個人的にオンデマンド型の方が分かりやすい授業もあるし,対面の方がよい授業もある」、「これからの授業はオンラインと対面を混ぜたり,希望者のみ対面といった形で、コロナ明け後に以前の形に完璧に戻るのではなく,新たな体制になるとよいと思います」という意見が見られました。どうやら、学生側は、遠隔授業,面接授業双方のメリットあるいは特性を生かした(柔軟な)授業運営を求めているようです。
 次年度は原則面接型授業となる予定ですが、この点を肝に銘じて、「オンデマンド型の学修環境+面接授業」という枠組みで、遠隔授業の経験を生かした新しい授業を展開したいと考えているところです。

   
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