Japanese/Englishリンクお問い合わせ

特色ある教育の開発、教育力の向上をめざして

週刊・授業改善エッセイ
つばさとは?
つばさ連携校
事業内容
FDカレンダー
週刊・授業改善エッセイ
 
 

 明海大学 : 福井 英次郎

 コロナ禍からの大学生活の復旧と復興

2020年度と2021年度は、コロナ禍のため、これまでの大学教育は大きな影響を受けました。私の所属する学科では、遠隔授業だった時期から、隔週で対面授業と遠隔授業を交互に実施する時期を経て、2022年7月現在、対面で授業が実施されています。新型コロナウィルス感染症の感染者数は増減を繰り返しており予断を許さない状況ですが、少しずつ日常の生活も始まっています。このような時期なので、コロナ禍の2年を検証したいと思います。
 ところで、大規模な自然災害後には、復旧と復興のプロセスがあります。復旧は被害前の状態に戻すこと、復興は長期的な視点に立って新しい街づくりを目指すことを意味します。この復旧と復興をコロナ禍の大学教育に当てはめて、検討してみたいと思います。
 まず復興を考えてみましょう。コロナ禍では、大学構内への立ち入りを制限する必要があったことから、遠隔授業が大幅に取り入れられることになりました。生中継のようにリアルタイムで授業をする形式や授業の録画を都合のよい時間に視聴する形式など、多くの方法が実施されました。開始前には、学習効果を含め多くの懸念がありましたが、実際には、学生のペースで勉強できたり、質問をしやすかったりといった遠隔授業のメリットも多かったようです。遠隔授業などの教育方法はコロナ後でも有益でしょう。コロナ後に、何もかもコロナ以前に戻すのではなく、新しい知見を用いた教育方法を検討する必要があります。まさに教育の復興のプロセスです。実際に、今後の教育を見据えて、大学内だけでなく教育系の学会でも議論が続いています。
 それでは復旧についてはどうでしょうか。感染拡大の対策をしつつ、コロナ前の活動を再開することはできるでしょう。しかしコロナ前の大学生活に戻すのは難しく、努力が必要なのではないでしょうか。対面授業が再開され、部活やサークルの活動を再開することにより、マスクの有無はありますが、一見すると大学生の生活は元に戻っているように見えます。しかし以前の大学生の生活にはあり、現在は欠けているように感じることがあります。
 それは大学生同士の自由な交流を土台にした、学年を越えて継承される伝統です。例えば私の所属する学科では、コロナ前には、意欲ある学生は多言語コミュニケーションセンターに集まり、教員や友人と英語でコミュニケーションをとり、技能を高めていました。さらに、英語に習熟した上級生が下級生に、熱心に英語を教える景色がありました。そして下級生が上級生になると、新たな下級生に教えるようになる伝統がありました。
 これらの伝統の継承が、コロナ禍で途絶えようとしています。2020年度と2021年度というコロナ禍の2年間が意味することは、現在の4年生が1年生のときだけがコロナ前であるということです。つまり3年生以下はコロナ以前の大学生活の様子を知りません。そのためコロナ前の大学の伝統を継承してもらいたいのであれば、2022年度の1年間が重要であり、学生と教職員は熱心に取り組む必要がありそうです。
            

   
  Copyright 2009 Yamagata University higher education research project center , All Rights Reserved.
 
このホームページに関するご意見・お問い合せは、山形大学教育開発連携支援センターまで。
山形大学 教育開発連携支援センター
〒990-8560 山形市小白川町一丁目4-12
TEL:023-628-4720 FAX:023-628-4836
yu-syugaku@jm.kj.yamagata-u.ac.jp