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週刊・授業改善エッセイ
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 文教大学 教育学部学校教育課程音楽専修 : 三谷 亜矢

 コロナ禍の後には

2020年春以来、新型コロナ(COVID-19)の影響を受け大学の授業は大きな変化を余儀なくされた。文教大学教育学部においては、学校教員養成に必須な実技系・実験系科目が有り、各教員はこれまでの授業方法を大きく見直さざるを得なかった。
 オンライン授業の必要に迫られ、担当科目である「声楽」では、Wi-Fi環境の影響を受けずに指導が行いやすい「弾き歌い」と「コールユーブンゲン(無伴奏で歌唱する練習曲集)」で、演奏録画データをやり取りして実施した。演奏の問題点を言葉で指摘し、それを踏まえて演奏し直した録画を送ってもらう。指摘がうまく伝わっていない場合は、こちらのアドバイス動画や音声データを送り理解を促した。指導者以外には見られていない一対一の指導であるため、学生は恥ずかしがることなく集中して取り組め、質問もし易かったようである。「コールユーブンゲン」は、無伴奏で正しい音程・リズム感を養う目的の教材で、従来はグループレッスンであった。このたびのオンライン授業で学生は演奏動画データで教員の指導を受けた後4〜6人グループで動画データを共有した。学校教員への入口として他者の演奏に対して「良い所」「アドバイス」のコメントも必須。コロナ禍前のグループレッスンでは埋没していたかもしれない学生にも細かく対応出来たことは、オンライン授業での収穫である。また、客観的に自らの演奏を振り返ることが出来るためこれまでも演奏動画撮影を学生に勧めてはいたが、習慣的に取り組む学生は少なかった。しかし、オンラインでのやり取りにより学生はその有効性を理解し、動画収録に対するハードルは下がり、必要な場面で活用することが出来るようになったのもオンライン授業の成果と言えよう。
 オンライン授業によって他者の目を気にせずに過ごす時間が長かった学生たち。多くが対面授業になった今、これまでに感じたことのない不思議がおこりつつある。大学入学後他者との接触が少なかったせいか、周囲への影響を気にしない行動、自分の考えを声に出して言いにくい(その分SNSが活発)、異年齢・異世代に対してどのような行動が適切かをイメージしづらい、という学生が2020年入学生を中心に散見されるようになって来た。理由を聴くと悪意は無く「そういうものだとは知らなかった」というのが大多数である。部活動やアルバイトもままならず、大学生として叱られる経験も少なかったことが今になってじわじわと効いてきているのかもしれない。大学教員としては、授業以外で育てられている部分が多い、ということを思い知らされた形である。
 さて、この世代の学生たちは今後どのように名付けられるのだろうか。失われた他者との貴重な触れ合い体験をどう補って行くのか。我々をはじめ周囲の大人たちは、心して接していかねばならないと考える。
            

   
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