昨年度に引き続き、リレーエッセイを担当します、関東学院大学の杉原と申します。昨年度は対面授業におけるICTの活用について報告しました。今年度は趣向を変えまして、本学の社会人向けの公開講座における地域に関わるオープンデータをテーマとした授業実践についてご報告します。
関東学院大学が実施している2020年度秋学期公開講座として、「自宅で学ぶデータサイエンス入門 ?Zoomによるオンライン講座」(全3回)を実施し、講師は筆者が担当しました。近年、いわゆるビッグデータを分析し施策を提案する活動としてデータサイエンスの重要性が認識されており、ビジネスだけでなく様々な分野で注目されています。この講座では、まずは現代社会におけるデータサイエンスの位置づけを講義し、RESAS(地域経済分析システム)及びe-Stat(政府統計)などオープンデータを活用した基礎的な分析をワーク中心で行いました。なお、時間の関係上、難解な統計手法やソフトウエアの使い方については取り扱いませんでした。また、この講座は、Zoom(遠隔会議システム)での実施となりましたが、オンラインでの対話や、受講者同士のグループワークによるディスカッションを重視しました。
紙幅の関係で、全てを詳細に報告することはできませんが、一例として、国の統計調査(オープンデータ)について基礎的な説明をし、それを踏まえてe-Stat(政府統計)を活用した演習を実施しました。この講座でe-Statの全てを扱うことは時間の関係上難しいことから、受講者全員が住民として当事者意識を持つことができる「統計でみる市区町村のすがた」を扱い、その中で市区町村の主要な統計データやグラフが表示可能な「統計ダッシュボード」を活用しました。操作法の解説には神奈川県横須賀市を事例として取り上げました。受講生に「統計でみる市区町村のすがた」のURLをチャットで共有したうえで、関心がある市町村の統計ダッシュボードを閲覧させ、その後、調べた市区町村の傾向や特徴をオンラインで話し合いました。
参加者は企業勤務(もしくは退職者)であったため、自分の業務経験を踏まえて、熱心に話し合いに取り組んでいる様子で、オンラインでも熱が伝わってきました。独自アンケートでもディスカッションの満足度は高い結果となりました。
この講座の取り組みは、萌芽的で発展途上になりますが、今後のデータサイエンス教育などに活かしていければと考えています。
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