教育の現場あるいはコーチングの現場でも、その考え方や教育方法の正解は一つではないと考えている。だから、日々の授業に試行錯誤しながらもおもしろいと感じる。さて、これからより良い授業をつくる中で、気づいたことや心がけていることを紹介したい。
初めての大学の90分講義、一方向の多人数講義スタイル。授業改善アンケートで学生の声を聞くことができるが、双方向でコミュニケーションをはかることは少ない。自分の伝えたいことを学生に伝えていたが、学生が理解したかを私自身が理解することでコミュニケーションは成立し、信頼関係の基礎となる。が、全く学生の理解度を把握できていなかった、もっと学生と信頼関係を築くべくコミュニケーションをするべきであったと気づいた。そこで、「話す力」よりも「聞く力」を増強する。常にフラットな目線を保つことを心がけた。
月日が経ち、ふと一冊の本に出会う。「脱皮しない蚊は破滅する。人間もまったく同じだ。古い考えの皮をいつまでもかぶっていればやがて内側から腐っていき、成長することなどできないどころか死んでしまう。常に新しく生きていくために私たちは考えを新陳代謝させていかなくではならない。」超訳ニーチェの言葉の引用である。同じ学問であれ、変化に富んだ工夫が必要とされる。例えば、スポーツにおけるCOACHの意味は、「teach教える、educate教育する、wait待つ」で構成されている(2004, 関岡 康雄著)。TeachingとWaitingのバランスを考えると、Waiting中の教員の視点は待つそして育む、学生の視点はその間に実践的に行うといった主体性が生まれる。ゼミナールなどの少人数となると学生に対して結果よりも変化、見通す姿勢を持つことも重要であると考える。
最後に私はこの仕事が好きである。したがって、授業をMissionとすると、情熱を持って日々の試行錯誤は教育改善につながることを信じて取り組んでいきたい。
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